Mission4:契約-1
「…………は」
「だから、"一度"死ねばいいんだよ」
「はぁ……死ぬのは一回きりだと思うんですけど………」
「あたり前だ」
はぁ?
この男の言っている意味がわからない。
顔がイイだけで、実はもしかしてちょっとイッちゃってる……?
「唯一の方法は、
"戸籍上"死亡したことにする」
「戸籍上、お前は交通事故で死んだ。そうすれば、お前の存在はこの世から消滅する。"お前の名前が"という意味だが」
発想の奇抜さに頭が回らない。
「そんなので、本当にもう追われることはなくなるの?」
「『そんなの』って、お前はこの世にいない存在になるんだ。意味がわかってるのか?」
この世にいない存在………
会社の名簿からも家族の戸籍からも、私の名前が消える………?
なんでそこまでする必要があるの………
「どこかに手掛かりが残っていたら、奴らは必ず見つけだして追ってくる。そうすれば家族も、友達も、交遊関係を全て調べられて標的にされる。……お前を殺すまで」
そんな………
殺すとか死ぬとか、今まで全くの無関係だった言葉を、この男は平気で口にする。
昨日までは、そんな言葉はテレビや映画の中でだけのものだと思っていた。
なのに、突然そんなことを言われても、頭がついていかない。
「お前がもしそうしたいと言うなら、手を回して死亡診断書を書かせる。ただ………」
「匿うかわりに、手を貸してほしい。………『黒』の、エージェントになれ。…これが条件だ」




