Mission1:罪-1
――――あの日は、雨が降り続いていた。
私には、アパートで同棲していた恋人がいた。
日常生活は本当に充実していて幸せで、いつかこいつと、結婚しちゃうんだろな〜…とか、蓮司の顔を見るたび漠然と考えていた。
しかしたった一つだけ、交際を回りに祝福されない深刻な悩みがあった。
恋人の蓮司は、いわゆる『よろしくない』人で、なかなか危ない橋を渡って来たような男だ。
風貌も、普通の人ならお近づきになりたくないカンジだ。
少し童顔な顔なのに無理矢理3つも4つもピアスの穴をあけ、少し茶色がかった髪をワックスでガチガチに固めあげ、顔には少し似合ってない黒いスーツにシルバーのネックレスが光っていた。
頑張って大人に見せてる感ありありだった。
当時私は大手の外資系の会社に勤めていて、誰もがうらやむエリート街道を地で歩いているような経歴だった。
想像を絶するカップルだが、私は誰に何と言われようと、蓮司が好きだった。
クールな中にも優しさが潜んでいるような蓮司を、たまらなく愛していた。
彼も外見に反して、私を傷つけることなんて一切しなかったし、不器用ながらも大切に扱ってくれていた。
まさかあんなことが起こるなんて、1ミクロだって想像してなかった…………。
「お帰り!ご飯できてるよ」
アパートのドアが開いて、雨の中、ずぶ濡れの蓮司が帰って来た。
だいぶ疲れた様子で、青ざめた顔をこっちにむけ、突然口を開いた。
「………美月……愛してる」
「へ、やだな〜何よ突然……」
「…………いや、何となく」
今思えば、クールな蓮司のあんなに取り乱した様子に、どうして気付くことができなかったのだろう…。
蓮司の言葉に舞い上がってた私は、私を見つめる切ない瞳に、全く気付かなかった――――……。




