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極夜  作者: 奏多
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Mission5:訓練-1

「おはようございます」




朝目覚めると、枕元に昨日私を会社に連れてきた人がいた。



紅茶を出してくれた、あの初老の男性だ。




現在自分がおかれている状況を理解するのにしばらくかかり、ようやく頭がおいついたところで声を上げた。




「なんで、あなたがここに……ッ?!」



驚くのも無理はない。



昨日しっかり玄関の鍵をかけて寝たのに、朝目を開けると枕元で正座しているスーツ姿の彼がいたのだから。




「ご挨拶が遅れまして、申し訳ございません。レイ様の秘書をしております、春日と申します。仮の名、という意味ですが」



相変わらず無表情で淡々と話す。



「仮の名?」


「……私もあなたと同じ身ですから」




…どういうことだろう……。



私と同じってことは…彼も戸籍上はもういない人……?




「レイ様より、お目覚めになられたら会社まで来るようにと申し付けられております。初日ということで、朝食は用意させていただきました。……自殺、なんてされては困りますし」




無表情のまま、ものすごいことを口にする人だ。




上品な物腰はどこか上流な雰囲気だが、やはり彼も闇社会の人間だ。全く隙が見当たらない。




まだ昨日の疲れが残っているかんじはしたが、とりあえず彼には逆らわないほうが良さそうだ。









「よく休めたか」




昨夜と同じ最上階の部屋に通されると、昨日の男がこちらに向きかえった。




「………あまり」


「まぁいい。こちらへ」




言われたとおり奥の机のそばに寄ると、布の上に何丁かの拳銃が置かれていた。




大小様々だが、どれもみな一様に、黒く鈍い光を放っていた。




「この中から、好きなのを一つ選べ」




好きなの、って………どれが何かわかるはずがない。




そもそも拳銃なんて、生で見たことすらないのだ。




私が黙ったまま突っ立っていると、




「……選べるわけないか。全部に弾が1つずつ入っているから、あのボードに向かって撃ってみろ」


「はッ!?う、撃つんですか?」


「いらんことは気にするな。早く撃て」




撃て、って言われても……



仕方なく、手前にあった1つを掴み、ボードに向かって引き金を引いた。




と、腕に走った衝撃に驚き、思わず落としてしまった。




男は黙ってそれを拾い、代わりに違う拳銃を差し出した。




今度は少しマシだったが、それでも的からは大きく外れている。



3つめも4つめも、やはり同じ結果だった。




男は短い溜め息をつきながら、最後の1つを渡してきた。




これもどうせ外れるんだろう。




そう思いながら、初めよりかは少し慣れた動きで引き金を引く。




と、なんと弾はまっすぐ飛び、的に当たりはしなかったものの、実に惜しいところに跡を残したのだった。

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