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Mission0:プロローグ
深夜の市ヶ谷を、一人足早に歩く。
身に纏った黒いロングコートが、漆黒の闇に溶け込む。
コートの裏には、護身用の拳銃が息を潜ませている。
無論、警察ではないし、いわゆる違法の代物だ。
瀬名美月。
数カ月前までは、昼間の世界に生きていた。
会社に勤め、流行の服や化粧を研究し、彼氏もいる。
そんな生活があたり前に思っていた。
なのに、まさか自分が、こんな闇社会に生きるようになるとは………。
コートの内側に手をそっと入れ、拳銃に触れる。
重たい黒い塊が、妙な冷たさをもっていた。
自分の足音と息遣い以外は、何も聞こえない夜道。
午前2時をまわると、さすがの市ヶ谷も息を潜める。
すっと路地に入り、立派な建物に吸い込まれるようにして入っていく。
夜の闇と同化して、グレーの質素な色が、さらに漆黒に紛れている。
私がこの"Night Mare"に呼ばれたのは、ほんの数カ月前のある夜だった。
私はある罪を犯し、警察からも国民からも追われる身になった。
なるはずだった。
あの夜、私を匿うかわりに手を貸してほしいと言われた。
そして、私は秘密結社NIGHT MAREの、エージェントになった。
助かりたかった。
守りたかった。
家族を。友達を。彼との思い出を…………。
たとえ自分の存在が、この世から消えると知っていても――――…。




