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猪あいてにがんばる

さて、前話で落とし穴に落とした獲物を片付けます

 僕はハンター見習い。二年前にハンターの叔父さんに弟子入りして、いろいろ教えてもらってる。

とは言え、もう二年も教わっているので、小さな獲物は一人でも捕ることができるようになった。


 そう、小さな獲物はね……


 落とし穴にはまっていたのは、大きな猪。 叔父さんは『逃げるか、隠れるかだな。 穴に落ちても俺が帰ってくるまで、無理しなくていい。』って言ってたな。 う~ん、どうするか。


 とりあえず穴の横の木に登って観察。 穴から猪が逃げ出してもここなら安心。 うまいこと落とし穴の大きさが猪とほぼおなじでピッタリはまっているな。 猪もほとんど動けないので、逃げる心配は無さそう。


 よし、このまま木の上で隠れて、叔父さん帰るまで待っておこう。




 暇だ。 猪はまだジタバタしてる。


 そういや叔父さんは『鹿ぐらいなら毒矢で弱らせておけばいい』って言ってたな。 ふふふ、猪を倒せば一人前かな? よし決めた。こないだ吟遊詩人も歌ってたぞ。


 「倒してしまってかまわんのだろう?、俺は一人前ハンターになる!」


 さて、いつもの吹き矢に毒をつけて。 


「ふっ」


 はい、成功っと。 背中にしっかり刺さってる。 あれあれ? なんか暴れだしたぞ。

あっ、こっち見た。 怒ってる。 むっちゃ怒ってる。 

あっ、吹き矢抜け落ちた!。

あっ、暴れて鼻先で落とし穴を崩しだした。


 これはやばい、逃したりしたら一人前ハンターへの道が遠のく。 手持ちの武器はマチェットだけ、短槍持ってきたらよかったな。 えーと、えーと……


 木の上からマチェットで切りつけて倒す、これでいこう。

マチェットを両手でぎゅっと握って。えーと、首元を狙えばいけるか?いけるな?たぶんいける?


 せーのーでー。 とりゃ!


 木から飛び降りて、猪の首元にマチェットを叩きつける。 骨に当たった! 硬い、そして変に砕けたような感触が手元に!


 やったか!


 うん、大丈夫だ。 猪は動かなくなった、それ見て気が抜けて動けなくなった。


 手元見ると、マチェットも折れてる。 変な向きに力かけちゃったのかな。




 叔父さんが戻ってきた。

「待ってろと言ったろが!、マチェットまで折ってしまって。でもまあよく倒したな、偉いぞ」

「坊主、疲れたろうが引き上げるぞ、手伝え」


「あいよ、叔父さん」


 猪にロープ掛けて引き上げる、穴と猪のサイズがぴったりすぎて辛い。 もちろん吹き矢も回収した。 落ちた吹き矢に刺さって、毒にやられるのは勘弁だから。



 村に戻って、晩御飯。 自分で獲った肉は最高に上手い!



 あれ、なんか喋りにくくなってきた。あれ、手が震えてきた、あれ、目の前が真っ白に……



 目が覚めたら、叔父さんが拳骨を落としてきた。

「坊主、なんで猪に毒があるんだよ!」


「ほら、毒で弱らせろって、叔父さん言ってたでしょ」


「猪に毒使ったって聞いてねえぞ!」


「そりゃそうでしょ、気が抜けて言うの忘れてたから……」


ごちん!拳骨もう一発くらった。


「ちゃんと言わんか!、この半人前が!」



やっぱり言われちゃったか、一人前のハンターになるのはいつになるのやら……



----

「ところで叔父さん、猪はどう倒すのが正解だったの?」


「ん、もともと重い木で蓋してたろ?、 あれで穴を塞いで土を重しにして応援よぶんだ」


「叔父さん、ちゃんと言っておいて。マチェット損したよ……」



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