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パーティ結成

いろいろとゴタゴタしたが、クズのハンター登録も済んだ事だし、次はパーティ登録だ。コレは簡単に済むが…本人達が時間をかけるものがるんだなぁ。


「……パーティ名?」


「おう。お前リーダー嫌だろ。」


「嫌だ。」


だろうな。


「……うーん…」


パーティ名ってのは、俺らの顔になるからふざけたもんはつけられない。そして、カッコつけすぎると恥ずかしい。


「そんな悩む事?」


「あったりまえだろ!大事なパーティ名だぞ!」


興味無さげにクズは黒眼を動かして建物内を観察してる。俺が考えるとなると責任重大だ。パーティメンバーはクズだけだが、後からダサいなんて言われたらムカつくしな。


「……うーーーーーーーーーーーーーん」


「…………おじさんおそーい。そんな悩む事ないだろ。」


「いやだって…」


「適当で良いんだよ。適当で。」


「適当…でもよぉ、初めてのパーティなんだししっかりしたもんつけてえじゃんか。」


「女々しい!付き合いたてのカップルか俺らは!貸してみ!俺がつけてやるよ!」


変なツッコミをされた上に登録用紙を奪われた。コイツ絶対面白がって変なのつけるだろ!奪い返そうと腕を伸ばしたら、スルンと虚しく空振り。


「お願いしまーす。」


「はい。」


「あーお前ー!!」


俺の人生初のパーティを!!


「パーティ名は『旅人(ガリバー)』でよろしいでしょうか。」


「!」


「はい。よろしくお願いします。いいだろ?」


「……おう。」


結構、まともだ。なんだ、しっかり考えてんだな。ホッと胸をなでおろした。


「いいセンスじゃねえか。」


「……そうかね?なら、俺が死んだ後も使えば?」


「おめえな…」


「なははは!よし、依頼取りにこう。」


フードを目深に被り直して、ランクAの依頼の掲示版に向かうクズの後を追う。彼奴、死ねるかもしれないとワクワクしてやがる。困った餓鬼だ。


「ラララーンランドセル~は~」


「ん?なんだおめえ。餓鬼のくるとこじゃねえぞ。」


早速かよ。まぁ、彼奴小柄だしな。大斧のデカブツはランクAのハンターだろうが、皆が皆俺みたいに人格者なわけじゃねえ。あ?ツッコミは受け付けねえぞ。


「おいおい、俺の連れを苛めんでくれよ。」


「なんだ見ねえ顔だな。」


「今日ここに来たもんだ。」


「ほぉー」


屈強な男共が集まってくる。クズは気にしていないようだ。


「室内でフードはお行儀が悪いぞ。坊や。」


一人が面白がって、室内でフードを被っているクズのフードを捲った。俺は別になんとも思ってなかったんだが、クズに絡んだ連中は違うみたいだ。


「黒の髪…」


「…………。」


「おー珍しい髪 《ガッ》…なんだ?」


「っおい!!」


大斧を持った男がクズの黒髪をひっつかんだ。呼びかけた俺の声はざわつきに消される。


「黒の髪の野郎をなんて言うか知ってるか?」


「なんだろう。黒鬼髪?あ、でもアレ女性か。」


「成れの果てつーんだよ!」


《ブン》


力任せに床に投げ飛ばされる。鈍い音を立てて床に背を打つクズは、成れの果てと言われて、『あーわかるー』っと一人で納得している。すんなよ!!


「俺らの前に次現れたらぶっ殺すぞ!」


大斧のデカブツはそう言って、自分のメンバーを引き連れて依頼の紙を持って受け付けに向かっていった。彼奴を取り囲むメンバーもクズの黒髪に軽蔑の目線を向けている。なんなんだよ。いったい何が。


「いやぁーなはは、参ったねえ。クズちゃんモテモテ!」


「おい、大丈夫か?」


背の埃を払って起き上がったクズに駆け寄る。野次馬は興味を無くしたのか散り散りになっていった。


「大丈夫大丈夫。よくあるよくある。」


「…よくあるって……髪色だけで、あそこまでやるもんなのか?成れの果てってなんだ?」


「知らないの?ライゴウさんは学がねえですなぁ~」


「ああ!?」


クズはフードを被りなおし依頼を選別しながら、まるで『知ってる?明日雨降るんだってさ。』程度のお気軽な調子で話した。


「70年くらい前にね、黒髪の種族が無差別に戦争をそこらかしこに仕掛けて、人を殺すだけ殺して全滅したっていうおっかしな歴史があるんだ。だから、今では黒髪は珍しいし嫌うとこもあるわけなのよ。人間の成れの果てって意味で成れの果てじゃねえの?」


「なるほど、恨みを買いまくってるわけか…」


「おわかりいただけただろうか。もう一度」


「リプレイはいらねえよ。はぁーでも、戦争を仕掛けた黒髪の種族とお前は違うのに恨まれんのもおかしな話だぜ。」


「黒髪は全部一緒でしょ。本当に俺もその種族かもしれねえし。」


昔の先祖の所為で子孫が迫害される。迷惑な話だぜ。


「有難い事だよね。」


「お前そーゆー奴だったよ。」


「なははは」


そんな話をしている間に、クズは依頼の紙を選んだみたいだ。


「何にしたんだ?」


「近くの雪山に生えてる薬草の採取。」


「……………ええ…。」


「雪山だぞ。テンションあげろよ。」


「………はぁー…」


こりゃまた、大変な事になりそうだ。とりあえず、今日ではなく明日の朝出発となった。


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約70年前『人間の成れの果て』

それは不気味な黒の髪を持つ種族の狂気の行進。何百、何千、何万という人間が一つの生き物の様に蠢き、飢えた獣の様に手当たり次第に数々の村、街、国に至ってまで破壊活動を行った。ただ黒い人間達は殺すだけ、食料を奪うわけでもなく財宝を奪うわけでもなく老若男女問わず、命だけを奪っていった。仲間が死のうが気にもせず、己が致命傷を負ったとしても殺しにくる狂った恐怖の塊。

しかし、その行進は長くは続かなかった。徐々に減り始めた黒い人間達を一気に潰す為に3つの王国が協定を組み、進軍する黒い人間達に全方向から一斉攻撃を仕掛け、見事全滅に成功させたが黒い人間達の残した傷跡は大き過ぎた。幾つもの種族が全滅の危機に陥っていたのだ。そして、協定を組んだ中の1つの王国が全滅の危機にある種族の多くを国に受け入れた話は有名な美談である。


人間は様々な物を欲しがる。水、土地、食べ物、金、女、愛、地位、名誉……そして最後に辿り着く欲求は、命。

人間の成れの果ては命を欲しがる獣に成り下がる。哀れな獣に堕ちる。


命は皆平等に一つという事に耐えられなくなった弱くも恐ろしい種族として歴史に刻まれた。







何故こんな事を・・・何故だ!!!何故、水筒に柏餅を入れた!!!

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