龍王剣抜刀
まるで始めから自分の為だけにあったのではないかと思えるほどこの大剣は自分の手に馴染んでいると慎司は感じた。そして、向って来た1体に対して横薙ぎに振っていた。その動作には無駄な力は見られなく、豪快でありながらゴブリンの首を狙った1撃であった。
「はあああっ」
慎司はまるで自分の手足の様にバハムートを扱い、ゴブリンの群れと対峙していた。
(すっげえ、重いのに自然と扱えている。自然と身体が動く。)
そう頭が考える間にも、身体はバハムートを振るい、ゴブリンを屠っていた。それは、踊りの様な動きであったが自然な動きだった。
もし、ゴブリンに人間並みの知能がある奴がいたら、きっとこう思ったであろう、化物と。
しばらくして慎司はようやく最後の1体を倒し終えた。辺りを見渡してみると辺りはゴブリンの死骸で溢れ返っていた。そうして、自分の姿を近くにあった水溜りに映し見て言葉を失った。水溜りにはゴブリンの返り血だけで汚れてしまっていた自分が映ってる姿を見てようやく慎司はあることを自覚することができた。
(俺は生き物の命を奪ってしまったのか…)
『すごかったのぅ、わしの加護があるとはいえ、これ程までとは。これは戦闘と言うよりも、虐殺であったぞ。』
バハムートの言葉は慎司に届いたのかいなかったのか解るのは慎司一人しか知らない。




