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龍使いの切り札  作者: 椎名 綴
4/10

龍王

扉を開くとそこには、

白、白、白、白、白、白、白、白、白、白、白、白、白、白

兎に角、視界には、一面の銀世界が拡がっていた。

「?」

その時、視界の端に、黒い物体が見えた。

「あれは、何だ?」

不思議に思い、近づいている途中で彼は周囲の様子がおかしいことに気がついた。注意して周りを見てみるとそこには、白骨化した死体が落ちていた。

「うわっ、な、何でこんな所に死体があるんだよ。」

彼は、次々に起こる今まで経験した事の無いことに困惑していた。此処から出ようかとも考えたが、出口が解らないことに気がついて、諦めて前に進むことにした。

「兎に角、サッサと、さっき見つけた黒い物体が何か確認しなきゃな。」

そう言って、物音を殺しながら黒い物体に近ずこうとしたが、

ガッ

足元の石を蹴ってしまい、その石が黒い物体にぶつかってしまった。黒い物体が突然動きだし、彼の方を見た。

「うわっ、な、何で、何でドラゴンがいるんだ‼︎」

そこで彼は、気がついてしまった、此処が何処なのかを。

「ここって、もしかしてあのゲームの中か?」

『ほう、惜しいが違うな。』

「なっ、ドラゴンが喋った。」

『ドラゴンが喋ってはいけないというルールがどこにある!?ドラゴンにだって、人語を理解し、話せる者ぐらいキチンとおる‼︎』

「す、すまなかった。勝ってに決めつけてしまっていた。」

彼はドラゴンにそう、謝ると気になっていたことを聞いて見た。

「所で、さっき言っていた、『惜しいが違うな』とはどういうことだ?」

『ああ、そのことか。つい、忘れておった。さっきの言葉の意味はな、この世界は、お主がやっていたゲームの世界ではなく、そのゲームの元となった世界なのじゃ。つまり、簡単に言うとな、お主は、ゲームの世界ではなく、異世界に迷い込んだことになる。』

彼はドラゴンが言った言葉を理解するのに1分くらいの時間を要した。

「1つ、質問してもいいか?」

『うん、何じゃ?』

「元の世界に戻る方法はあるのか?」

彼は当然の事を聞いたつもりだった。だが、

『帰る方法か、わしには解らんな。』

「ハァっ⁉︎それは、本当か?」

『本当じゃ。特に嘘をつく意味もないしな。それよりも、お主は、元の世界に戻りたいのか?』

ドラゴンは、ふと思ったことを聞いてみた。

「うーん、よくよく考えて見ると、元の世界でやり残したこともないしな。それに、元の世界は退屈だった。なあ、あんた、正直に答えてくれ、この世界は退屈しないか?」

『ふむ、お主の元いた世界がどの様な所か知らないが、この世界は退屈しないことだけは、保証してやろう。何故なら、お主が元いた世界ではあり得なかった事が沢山あるからな。』

ドラゴンは、そう断言した。

「何故、断言できる?俺が元いた世界のことを知らないのに。」

ドラゴンは、笑いながら、

『そんなの、勘に決まっておろう』

と言った。そして、彼を見つめ、

『まあ、お主はこの世界のことは何も知らないだろうからな、わしがお主の力になってやろう。』

「良いのか?」

『ああ、別に良い。ここにいるのも飽きてきたことだしな。』

「なら、お言葉に甘えさせてもらう。これからよろしくな、相棒‼︎」

彼はそう言ってドラゴンに手を差し出した、

『相棒か、悪くないな。それでは、行くとするかの」

そう言うとドラゴンは光に包まれ彼の手に近づくと、一振りの大剣となっていた。

「お前、こんな姿にもなれるのか⁉︎」

『まあの、この姿の方がお主もいろいろと楽であろう。それにお主は丸腰じゃしな。』

その言葉を聞いて彼はふと疑問に思った。

「丸腰だと危険なのか⁉︎」

『何を言っておる、丸腰じゃとモンスターの餌食になってしまうぞ。』

「モンスターなんて出るのかこの世界は⁉︎」

『当たり前じゃ。それでは、はよう此処から出るぞ。』

彼は歩きだしながら思ったことを聞いてみた。

「これ、どうやって持ちあるけば良いんだ?」

『ふむ、それならばこれで良いか?』

と、言うとまた、光だして1枚のカードになった。

『これで良いか?』

「サンキュー、あとさ、今更なんだけど、お前の名前ってんだ?」

『本当に、今更じゃな。わしの名前は、バハムートじゃ。』

「ふーん、俺の名前は、慎司、草陰慎司だ。改めてよろしくな‼︎」


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