王様と王妃様のダンス
「王様、王妃様と一緒に踊ったらどうでしょう?」
「ボクたちの贈った靴をはいて、踊れば楽しめると思います」
王様と王妃様が、花瓶に飾られた花々を眺めている間に、大広間では音楽隊の演奏が変わっており、ふしぎの国の住民たちは思い思いに手を取り合い、ダンスを踊っていました。
「ふむ、そうだな。ちょうど妖精さんたちの贈り物があることだし、踊るとしよう」
「わたしも楽しみですわ」
王様と王妃様は、妖精さんたちからのプレゼントを使う機会がすぐに訪れたため、今はいていた室内用の靴から緑色の宝石をあしらった魔法の靴へと、はき替えました。
「なんだか、身体が軽くなった感じがしますね」
「そうだな。まるで蒼空を駆けれるような気持ちになるな」
妖精さんたちが贈った魔法の靴の効果は、はいた人の身体を羽のように軽く感じさせるものなのです。
だからといって、本当には蒼空は飛べないのですが。 ふしぎの国で蒼空を飛べるのは、チョウや鳥やドラゴンなどの、羽根や翼を持った住民たちなどです。
「ふふ、あなたったら。気持ちは分かりますけど、蒼空は駆けれるものではありませんよ?」
「それぐらいは分かっておるよ。君からのプレゼントの嬉しさがまだ残っているから、つい言ってしまったのだろうな」
愛する人からの贈り物は、どんな贈り物よりも勝るものなのです。
それは見えないお酒のようなものです。
お酒は、少ない量で済ませば楽しめるものですが、多い量になってしまえば悲しい結果しかありません。
王様はそのことを分かっていたので、悲しい結果を自身に招いたりはしませんでした。
「せっかく、靴をはき替えたのだから、踊るとしようか」
「ええ。ダンスのエスコートをお願いしますね」
王様と王妃様は笑顔を浮かべて、音楽隊の演奏に合わせてダンスを踊りました。
弦楽器の奏でるゆったりとした音色に、適度な速度で打たれる打楽器の音が響く大広間で、王様と王妃様は手を取り合い、軽やかにクルクルと廻りながら踊ります。
クルリクルリ、クルリクルリ。
円を描くように、リズムに合わせて。
互いに笑顔で踊ります。
幸せそうな笑顔で、誕生会が終わる夕方になるまで、ずっとずっと踊りました。
ふしぎの国の誕生会が終わっても、王様と王妃様は毎日を楽しく幸せに過ごしました。
二人の幸せは、二人が望む限りずっとずっと続くのでしょう。
終わることのない幸せのなかで、心から愛し合っているのですから――
めでたしめでたし。




