王妃様からのプレゼント
妖精さんたちからは、魔法の靴を。
エルフの少女と詩人さんからは、美しいダンスと余韻のこる演奏を。
ドワーフと竜人たちからは、虹色の宝石をあしらったペンダントとイヤリングを。
王様は誕生日プレゼントにもらいました。
ですが、一番欲しい人からは未だにもらっていません。
王様が一番欲しいのは、愛する王妃様からのプレゼントです。
ふしぎの国の住民たちからもらったプレゼントは、王妃様の分も含まれています。
いつになったら、王妃様は王様にプレゼントするのでしょうか――?
タッタッタッタッタッタッタッタッタ。
大広間へ至る通路を駆ける音が、お城に響き渡ります。
通路を駆けているのは、色とりどりの花束を白く透き通る手でつかんで。
蒼空と白い雲をイメージした豪奢なドレスに身を包み。
女神様のような微笑みを浮かべて。
鮮やかな緑色に輝く宝石をあしらった黄金のティアラを、金糸のような長い長い髪に乗せた美しい女性――ふしぎの国の王妃様です。
王妃様は息を切らせていました。
世界で最も愛している王様へ渡すプレゼントを選んでいたら、誕生会が始まってしまったからです。
迷った末に、中庭一面に広がる種々様々な花たちから、数種類を選んで束にして、急いで大広間に向かいました。
そして、大広間の扉を開けて、誕生会に入場しました。
「はぁ……はぁ……誕生会には……間に合いました……?」
大広間にいたふしぎの国の住民たちは、一瞬呆然としました。
なぜなら、ふしぎの国で誰よりも美しい王妃様が息を切らせて、現れたのですから。
驚くのも無理はありません。
「我が妃よ。息を切らせてまで、どうしたというのだ? 誕生会なら、すでに始まっておるぞ」
王様は水を注いだグラスを持って、王妃様のそばまでくると、王妃様が遅れた理由を訊きました。
王妃様は王様が持ってきた、水入りのグラスを空いている方の手でつかむと、コクンと少しだけ飲んで、言いました。
「ふぅ……落ち着きました。遅れてしまった理由は、愛しいあなたの誕生日に贈る、花を選んでいたのです」
水を飲んで、息切れによる喉の渇きを満たした王妃様は、遅れてしまった理由とともに王様に花束を見せました。
「それで遅れてしまったのか。手に持っているのがそれかい?」
「はい、わたしたちの思い出の花である、百合を中心とした花束です」
花束は黒百合と白百合を中心して、周りには黄色や青などの美しい花々が虹のように調和していました。
「我のためにありがとう。そうだな、この大広間の日光が良く当たる場所に飾ろう」
「それなら、花たちも喜びますわ」
王様は王妃様からのプレゼントである花束を、大広間に飾るために、大臣に頼みました。
ぽかぽかした陽気と、生きるための糧である水を得た花たちは、嬉しそうに咲き誇っているように見えました。




