ドワーフとドラゴンの贈り物
エルフの少女のダンスと詩人さんの演奏が終わったあと、音楽隊の演奏が再び大広間に響かせました。
「先ほどの詩人さんの演奏は、聴き終えたあとも胸に残っておるな」
「ええ、わたしも同じような感じです」
二人のダンスと演奏を観ていた、ふしぎの国の住民たちは、王様と周りを楽しませていた二人のことを褒めていました。
「曲に合わせて踊っていた娘も、すごかったよね!」
「うんうん! ボクたちとは違ったダンスだったよね」
「ボクたちには、あのような踊りは無理だね」
「ボクたちのは、みんなで楽しむ踊りだもんね」
妖精さんたちも周りと同じように、二人を褒めていました。
妖精さんたちの踊りは、みんなで輪になって、笑いながらぐるぐる回るものなのです。
だから、エルフの少女が踊ったものは、妖精さんたちには難しくて出来ません。
誰だって、自分に向いているのと、自分に向いてないのがあります。
そのことを、ふしぎの国の住民たちは理解しているから、少女のダンスを悪く言ったりはしないのです。
「さて、次は私たちと行きましょうか」
「そうだな。我らのプレゼントを王様に渡したいからな」
少女と詩人さんと入れ違うように、ヒゲを蓄えた子柄の男性と、たくましい体つきをした大柄な男性の二人が、王様のもとへと向かいました。
「王様。誕生日おめでとうございます」
「祝いの品として、これを受け取ってください」
「ドワーフ殿と竜人殿か。こちらこそありがとう。そのプレゼント、いただかせてもらおうか」
ドワーフはふしぎの国の地下に住まう妖精たちのことです。
彼らは手先が器用で、料理器具などの日用品から指輪などの装飾品まで、様々なものを作っています。
竜人たちはふしぎの国の山々に住んでいるドラゴンが、魔法で人の姿をしています。
なぜなら、本来のドラゴンの姿では、数頭だけでも大広間に入ったら、すぐにいっぱいになってしまうからです。
彼らは似たような場所に住んでいるからか、ドワーフたちと共にお酒を飲み交わすほどに仲が良いです。 そんな彼らが王様に贈ってプレゼントとはなんでしょうか?
「箱の中を見させてもらっても良いかな?」
「ええ、良いですよ」
「お気に召すと我らは思います」
王様はプレゼントの入った箱を開けて、中身を見ました。そこには、虹色の宝石をあしらったペンダントとイヤリングがありました。
「ほう、なかなか良い品だ。しかし、我はイヤリングは着けぬが、なぜ入っているのか、説明してもらっても良いかな?」
「それはですね。王様にはペンダントを付けていただいて、王妃様にイヤリングを耳に通してもらおうと思ったのです」
「そうかそうか。我だけでなく、王妃にまでもプレゼントをくれるとは、感謝しよう」
「はは、ありがたい幸せです」
王様はコホンと咳払いすると、ある疑問を口にしました。
「ところで、この宝石はどこから手に入れたのか、出来れば教えてもらいたいのだが?」
「王様、その宝石は我らドラゴンが住まう山の、奥深くにある鉱山の深き場所から採れたものです」
王様の疑問に答えたのは、ドワーフと共にいた竜人です。
「なんと! そのような場所から、この宝石を採ってきたのか! 我のために、わざわざすまないな。このプレゼントは大切に扱わせてもらおう」
王様は自分のために落盤の危険を冒してまで、宝石を採りにいった竜人と、宝石を美しい装飾品に加工したドワーフのために、ペンダントとイヤリングを大事にしようと決意しました。
「それほどまでに大切にしていただけるなら、宝石も喜びましょう」
「王様が喜んでくださり、我らも嬉しく感じます」
贈られたプレゼントを、大事にしてくれるというのは、贈った側にとっても嬉しいものです。
ゆえに、三人の顔には、自然と笑みがこぼれていました。




