少女のダンスと詩人の曲
「ねぇねぇ、詩人さん」
「なんですか、お嬢さん」
「お願いがあるんだけど、いいかな?」
「私に出来ることなら、いいですよ」
「ほんと! あたし、王様の前で踊りたいから、一曲お願いしたいんだ」
「それなら、大丈夫ですね」
「詩人さん、ありがとっ」
詩人さんに話しかけたのは、妖精さんたちと同じ、ふしぎの国の住民であるエルフの少女です。
少女は王様の前でダンスを踊るために、詩人さんに一曲お願いしました。
少女の頼みを受けた詩人さんは、少女とともに王様のところへ行きました。
「王様、お誕生日おめでとう」
「ああ、エルフのお嬢さん。こちらこそ、ありがとう」
「あたしの王様へのプレゼントはダンスだから、よく観てくださいね!」
「それは分かったが、曲はどうするのかね?」
「王様。誕生日おめでとうございます。お嬢さんのダンスのことについてなのですが、曲は私が奏でますので、音楽隊の演奏を一時中断させてもらえないでしょうか?」
エルフの少女のダンスと大広間に演奏されている曲は雰囲気にそぐわないと思った、王様の疑問を解かすように、詩人さんはダンスの曲を自分が奏でるといいました。
「そうかね。なら、大臣に頼んで曲を中断させよう」
エルフの少女と詩人さんの頼みを叶えるために、王様は大臣を呼んで、大広間に奏でられている曲を、自然な形で中断させました。
「王様、ありがとう! それじゃあ……踊ります」
「私も、一曲弾かせていただきます」
静かになった大広間で少女と詩人さんは王様にお礼を言うと、詩人さんは愛用のギターに手を沿えて数音弾き、少女はダンスを披露し始めました。
それは、鳥のような軽やかさから始まり、雪のようなはかなさを演じて、春に咲く花々のような暖かさを観る人に思わせました。
詩人さんもギターを巧みに操り、少女の踊りに合わせて曲調を変えます。
それはとても大変なこと。
初めて会った二人が、ぴったりと息が合った演奏をするなんて、例は少ないのです。
奇跡にも等しい出来事に、観客となっていたふしぎの国の住民たちと王様は、二人に惜しみない拍手をしました。
拍手を受けている二人は、踊り疲れと弾き疲れで、乱れた息を整えています。
「二人とも、素晴らしいダンスと曲をありがとう。とても、今日初めてあったとは思えぬ出来であった。お疲れのようだから、少し広間の片隅で休んでいなさい」
「はい、心使いありがとうございます」
「疲れちゃったから少し休憩〜」
二人の演奏の疲れを労うため、王様は広間の片隅に用意した休憩室へ二人を招きました。




