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主人公体質  作者: ろくす
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類は友を呼ぶ

「うがあああああ」


また死んだ。

死にかけのコボルトを殴り倒すと即座に計画性の無い呪文の詠唱に入る。


自己申告の通り、たなかはしょっちゅう死んだ。

それはもう凄い勢いで死んだ。

コボルトの攻撃7発で死ぬ前衛ェ……。


俺の未熟な黄泉帰りのせいでステータスが下がっているとはいえ、こんなに死にやすいとは。

その代わりにと言ってはなんだが、確かに状態異常にする確立が高い。

通常攻撃のひっかき?(正式名称不明)でも毒判定があるらしく、(喋れないため)スキルを発動できないのに頻繁に毒にしてくれる。

紙耐久低速度だがおつりがくる勢いだ。


あと、たなかと組んでから死霊(コボルトゾンビ)を使わずに、たなかに黄泉帰りを使いまくっているので経験値が分散しづらいのも良いことだ。

黄泉帰りのスキルは上がるし、たなかも経験値が入るのでなかなかいいパーティといえるだろう。


「うがあああ」


チョリーッス


もうたなかがウインドウを出さなくても何と言っているのか解るようになってきた。

それが良いことなのかは置いといて、無言でうなずくとレベリングを再開する。


しかし真面目に相性のいいパーティなので別れるのが惜しくなってきた。

パーティを募集する時はゾンビもなかなかだろう。






コボルトを虐殺しながら進み、ようやく最初の街についた。

スキルレベルも黄泉帰り12レベル、呪術13レベル、洗脳1レベルとなかなか上がった。

ちなみにアバター自体のレベルは5である。


暗雲の立ち込める、露骨におどろおどろしい魔界風な街の名前は魔都ガリアス。

なんと、現魔王の名前らしい。

人間の街で言う首都に位置する街の名前は魔王が決められるようだ。


【お疲れさまっしたーww】

「……本当によく死にましたね」

【ゾンビの宿命っすからねww低レベルの時はとにかく死ぬんでww】

「なかなかいい肉壁でした……ふふ(意訳:タンクありがとうございました)」

【こちらこそナイスアシストでしたwwやっぱ死霊使いとゾンビの相性はなかなかいいっすねwwあ、あと良かったらなんですけどギルド入る気ありません?ww】


草を減らせ。

しかしギルドか……。


【あぶれやすいマイナー属性の集まりなんすけど、なかなか愉快な面子がそろってますよww】

「マイナー属性の集まりですか……」


それはなかなか魅力的かもしれない。

最初に属性を変態にした時点でパーティを組むのが厳しいと解っていた。

かといって普通のギルドに入っても属性が変わってしまったり、腫れ物にさわるような扱いをされるだろうことが予測できていたのでソロで行くつもりだった。

しかしソロは厳しい。ゲームバランス的に不遇だ。

だがマイナー属性が集まっているならばもしかして……。


「……見学とか、大丈夫ですか」

【モチのロンでオッケーですwwwwギルマスはだいたいINしてんで、今から行きませんか?ww】

「今から……急ですが、大丈夫です」

【ようこそギルド†漆黒のトバリ†へ!ww】


早まったかもしれない。






ギルド、【†漆黒のトバリ†】はなかなか変……個性的なホームだった。

まず入口が裏路地のゴミ捨て場の奥の地下へ続く扉という時点で個性的だった。

その上、扉を開けるための鍵として設定された合い言葉が「我深淵を覗き込む者。叡智を求めるもの。死を恐れぬ者。」という厨二ワードである。

ギルマスは間違いなく厨二病だ、間違いない。


ちなみにたなかは街に入った瞬間見た目が修復されたので会話も可能だ。

街の中に入るとHPが回復する、なんてことは無いが一部を除きバフ、デバフ問わず解除されるらしい。

というかこれはグロ耐性の無いプレイヤーへの配慮だろう。


レベルの低い黄泉帰りというデバフから解放されたたなかは、驚いたことに緑色のツインテールが特徴的な、ごく普通の女の子だった。

あの草や話し方のせいですっかり男と思い込んでいたので思わず二度見した。

今までR18な見た目にしていたのが申し訳なくなったが、察したたなかのネカマ宣言により欠片も無くなった。

間違いなくこいつは愉快犯だ。


「さぁーどうぞジャキさん!ガリアス様ーっ!新メンバー連れてきましたぁー誉めてくださぁい!」

「えっ」


ガリアスって、現魔王の名前だったような……。


「うるっせぇーぞネカマ!×××××っぞ!(倫理コードの規制の為制限されます)」

「はぁぁぁあんっ」


貴方のが五月蝿いです。

てか、何たなかちゃっかりと新メンバーとか言ってんなよ。


「まだ入るなんて言ってないんですが……」

「あん?変態の死霊使いか、珍しいな。囲っといて損はないな。おら、承認しろ」


【ギルド、†漆黒のトバリ†に入りますか?】


咄嗟にNOを押してしまった俺は悪くないと思う。

押した瞬間のガリアスの顔が怖くてびびったりなんかしていない。

本当に。


「何で拒否ってんだよ。参加希望者だろう」

「あ、すんませんギルマス。そーいやまだお試しでした☆」

「ざけんなよ×××××!」

「あぁぁぁんもっと罵ってェ!」


何このギルド。

色々とヤバすぎる。


ガリアスの頭上を飾る属性は……カリスマで職業魔王。

どう見ても現魔王ですありがとうございました。


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