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おそろしい事実

とうとう美紀の体に異変が起こり始める…。

一体どうなるのだろうか…

「はい。今日はですね、イオンについて勉強していきましょう。」

皆はバサバサとノートと本を開いた。

でもあたしだけは違った。何だか知らないけど頭がまわらない。

「では、この前実験した通り結果を発表してもらいましょう。では田島君。」

「塩化物イオンがこちらに移動して亜鉛を溶かしていきました。」

「はい、有難う。では、今から復習していきたいと思います。では、こちらの席か

順に言っていってください。ではCuはなんだった?」

「えー、銅…?」

「では後ろ、Cl」

「塩素です!」

うー、頭が痛い。目の前が暗くなってきた…。何だこれ…。

「はい、続いてMgはなんですか?」

う…歪んでいく…世界が。

「次、美紀さん!」

な…声が出せな…。

「美紀さん?」

そして、突然視界が真っ暗になり全身の力が抜けた。


「大丈夫ですか?」

「何処ですか…ここは。」

周りを見渡したが認識できない。

「私を覚えているかね?」

「あ…安河内先生?」

「そうだ。保健室で休ましても意識が戻らなかったから先生がここまで連れてきてれたんだぞ。感謝せい。はははは!」

くっそ…よく余裕で笑えるな。

「あ、それと今日は母さんが迎えに来てくれてるから一緒に帰りなさい。」

「でも…まだ学校が…。」

「ダメだ。今日はもう帰りなさい。無理するとまた体に負担をかけるぞ。」

「はい。分かりました。」

ちょっと偉そうな口調で言った。

「よしよし。じゃ、下まで送ろう。」

そこまでしなくてもいいのに…ね。


「ゴメン美紀先車に乗ってて。ちょっと安河内さんと話があるので。」

「うん。」

母さんは、そのまま先生の前まで駆けて行った。

「で、何なんですか?早く帰らしたいんですけど…。」

「実はですね………………」

そのまま沈黙の時間が続いた。

「明日、美紀ちゃんを送った後病院によってください。詳しく話をいたしますので。」

「わかりました。」

家まで沈黙した車内に閉じ込められていた。


後日、美紀を学校に送った後母は急いで車を走らせた。

何だろう…。過去の経験が頭をよぎる。

「忙しい中来てくださり有難うございます。6階の会議室にて安河内先生がお待ちです。」

案内役のナースさんが出迎えてくれた。帽子の横からちょこんと出ていた髪の毛が気になったが…。

そんなこともつかの間、高速エレベーターで昇り会議室のドアを握った。

ドアの音と同時に母さんの心臓がドクッとなった。

入ってから右側に安河内がいた。安河内は深々と頭を下げた。

「あ…お忙しい中お越しくださいましてありがとうございました。」

「いえいえ。こちらこそ…。」

差し出された椅子に母は座った。

「今日はわかってますね。重要なお話が。」

「分かってます。さっそくお願いします。」

安河内の右頬には一汗垂れてきていた。

「えーっとですね、こちらは肺のレントゲン写真なんですけど、注目すべき点はここじゃないんです。」

母は焦った。

「そ、それってどういうことですか?」

「この下に移っているこの一部を見てください。ちょっと怪しい白い点が見受けられます。」

「それは…もしかして…」

「はい、こちら側で大まかな検査したところガンだと思われます。しかも、再発したがんではなく新しいがんです。」

「つまり…新しくできた…ガン?」

「はい。細胞腫から転移することはなかなかないはずです。それで、さっそく明日精密検査に来て頂きたいのですが…。」


「ねぇ美紀!今日の弁当何か張り切ってない??」

「そ、そんなことないわよ!!」

実際恥ずかしい…。ご飯にハート形の海苔。その上にピンク色のふりかけが乗ってある…。

全く…。人の気も知らないで。

美紀は箸に一つご飯をつかみゴクッと飲み込んだ。

グッッ!急に激痛が走った。

「痛っ!!」

美紀は思いっきり胸をつかんだ。何なのこの痛さ…。

「美紀?どうかしたの?」

「う、うん。大丈夫!」

「ちょっと心配なんだけど…何かここ最近あった?」

美紀は答えられなかった。

自分でも何が起こっているのかわからなかった。


「美紀、ちょっと話があるから座って。」

ソロッと美紀は母のそばに駆け寄った。

「単刀直入に言うと、体に何か異変が起きてるらしいのよ。検査結果でわかったの。」

「まさか、嘘…」

「まだ決まったわけじゃないのよ!明日、静先生が精密検査しに来いと…」

その途端、美紀は何かがおかしくなった。

「どうして!どうしてあたしばっかりこんな目に合わなくちゃならないのよ!」

お母さんは下を向いたまま黙っていた。

「ねぇ!何で?なんでなのよ!」

「美紀…今日はもう寝なさい。」

涙を流しもってまでも、美紀は言い張った。

「なんでなのよ…なんで・・・」

「美紀!黙りなさい!!!!」

母の声に美紀は一瞬で泣き止んだ。この日初めて母の怖さを知った…。

震えながらも自室へ向かっていったのであった。



ご覧いただきありがとうございます。

次回もお楽しみください。

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