数学とまた明日。
この章の中に出てくる「X」は
数学で使われる筆記体の「X」です。
「ねえねえ、聞いてよ!」
あたしは結衣・かんな・美佐に囲まれていた。
「何なのよ!」
「あたし…好きな人ができたかもしれない!」
え~!っと3人は大声を上げた。
恥ずかしさのあまりに美紀は顔を赤くして下を向いた。
って!あたしこんなんじゃダメ…。
美佐が堂々と声を出した。
「で、でで?誰なの?その好きな人って。」
3人はめちゃくちゃ知りたそうな顔をしていたが、教えたくないなー。
「誰!?誰なのよ!」
「ゴメン…ひ・み・つ。」
ガクッと3人は体の力が抜けた。
「何やそれ!教えてくれたっていいじゃん?」
「いやいや。こういうのは秘密主義っていうのかな?」
「さぁ!早く明かしたもう。美紀さま。」
「いやってったらイヤなの!」
かんなが何か言おうとしたとき、昼休み終わりのチャイムが鳴った。
一斉に教室の椅子に座り始めた。
「ではですね、今日はね方程式の公式についてねやっていきたいとね思います。」
パラパラと教科書とノートの開く音が一斉にした。この音…いや。
「ではね、AとBにね置き換えてやってみましょう。右辺はこのようにね因数分解ができるようになってますのでね、分解しましょう。えーとね、美紀さん。」
何故!?何故にあたし?
「は、はい!」
「この式を因数分解すればいくらになりますかね?」
「えー・・・・X2乗+81です。」
「はい、そうですね。座っていいですよ。」
はー。静かにため息をついた。
「そうですね。で、このX2乗を左辺に移行しますね。その時に、符号を変えるのをね忘れないようにねしましょう。では、この左辺はいくらですかね?えー、東野隆君」
その時、あたしはドキッとした。
なんで、こーゆータイミングで名前呼ぶかな!!
「ー3Xプラス√2です。」
すらすら答えていく隆に釘づけになっていた。
「はい、有難う。こういうことですね。でね、次にルートとXをね、まとめてね…」
あれからたんたんと授業は終わっていった。
「ねぇ、今回は「ね」を何回言ってたでしょうか!」
急に結衣が押しかけてきた。
「あたしが数えたところでは92回だったけど…。」
「いーや!今回は267回だったぞ!」
ぞ!…って。こいつのおかげで今数学の危機に立たされてるっていうのに…。
しかも、「ね」という言葉があの数学先生の口癖。
いい加減直してくれないかな!!
「とか思っちゃったり…。」
あっさりと美紀の口から続きがもれてしまった。
「ん?何か言った?」
「い、い、いやなんでもないよ!うん。」
その次の日。4人で話していた。暇なときにはこうして集まって、いわばガールズトークをする。
美佐、かんな、結衣、そしてあたしは今美佐の家で遊んでいた。
遊ぶって言っても、ガールズトークやゲームばっかなんだけどね。
「ねぇ、好きな人に何処で告白されたい!?特に美紀!」
「な、何なのよ!」
あたし以外の3人はクスクス笑っていた。今すぐ蹴り飛ばしたい気分だ…。
「場所よ!どこで告白されたいのかな!?」
「って!な・ん・で、こんなことになるわけなの!?」
「いいじゃん別に。今日は秘密のガールズトークショウってことで!」
ガールズトーク…ショウってなんだよ。ショウって!
「仕方ないなー。秘密にするんだぞ!」
ぞ、という言葉を初めて使った。案外似合うもんだなぁ。
イェーイ!と3人が叫んだ。お決まりの通りだ。
「えっと、あたしは…観覧車、かな?」
シーン。
「かんらんしゃ!!」
シーン…?
「何なのよシーンとして!」
「なーんだ。」
3人そろってまた言った。
「もっと面白い場所言ってくるのかと思った。」
「な!なんで面白い場所なのよ!せっかくまじめに言ったのに…」
「あーゴメンゴメン!つい興奮しちゃって…」
興奮。何故に興奮するの。美佐以外の人はまたクスクス笑った。ちなみにあたしも。
美佐はプイッと後ろを向いてしまった。
こんな状況が5分と続いてしまった…。
結局のちに外にみんなで遊びに行った。仲直りが早いあたしたちだったのだった。
「あーめんど!」
大きなため息を吐いた結衣はあたしと二人で登校していた。
「ちょっとうるさい!」
「どっちが?」
どっちが…って…。
結衣の声もうるさいし、結衣が今乗っている自転車の音もうるさい。
ギーギーと音がして、一番あたしが嫌いな音のパターンだ。
この黒板をこするような音…。どうにかしてほしいわ!
そう思いながら無言のひと時が続き学校についた。
なんだか今日一日がスラスラと過ぎてゆく…。
週明けにしては随分早く感じた。何かを待ちわびているかのように。
ただ、緊張はここから続いた。
「美紀、ゴメン今日委員会だよ。」
「えーみんな委員会!?あたしの所なんか先生いなくて休みだよ…。」
って!話しているのに聞け!(殴
何故に逃げるように去る…。
だが、東野隆だけは美紀と同じ委員会だった。
どうしようか…声かけようかなぁ…。一緒に…
と思った時には隆の隣にちょこんと立っていた。
「な…なんだい?美紀さん!?」
ちょっ…なんで立ってんのよ。先に体が動いてしまった…
「き、今日一緒に…帰らない?相手が…いないし…っていうか、でも…」
この変な言葉のつながりを止めたのは隆だった。
「いいよ別に。今日は何もないし。」
ウッヒャー!ラッキーだよ今日!一緒に帰れるなんて…。
「ねぇ。東野君って…何歳?」
って!!あたし初っ端から何聞いてんのよ!
「え…15歳だけど…。」
「う…うん。あ!それから隆君って…好きな人…いるの?」
ゲ…。何やってんのよ!あたしの口!
「え…どうしたの急に…。美紀さんそんなキャラだったっけ?」
「え…まぁ、そんな…。とにかく教えて!」
「俺はなぁ…」
俺は?何何何!!!!何なのよ!!
「俺は…いないかな?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。お!?チャンス?
「そうなんだ…。」
「ゴメン俺ここ曲がったら家だから。じゃあまた明日!」
「うん。バイバイ!!」
また明日…。いい言葉!また明日会えるんだもん。
ごらんいただきありがとうございます!
次回もお楽しみください!!