肥満症の終焉・その2(ブラジル編)
最初の短編
肥満症の終焉になる?
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『肥満が万病の元』
南米の大国、ブラジル連邦共和国。
日本人がするイメージはサッカー大国、リオのカーニバルと激しい踊りのサンバ、褐色で健康的な肉体美と常夏、治安の悪さ、スラム街、貧困、多民族国家、そして一部の人類・社会学者が世界最大の日系人人口を誇る国と思うことが多いだろう。
これはあくまでも日本人及び欧米人がブラジルに対して抱いている浪漫、幻想と現実が入り混じったイメージです。実際のブラジルは世界肥満人口第5位(2014年調査)で世界肥満率ランキングの第70位(32.6%の肥満率)の肥満大国である。
世界肥満連盟の公式なデータが掲載している「世界肥満アトラス2025年」によると、ブラジル人の3人に1人が肥満を抱えており、国際糖尿病連合のデータによると、1660万人が2型糖尿病を患っていることが判明している。
そんな糖尿病と肥満症が蔓延しているブラジルでは、2026年(これを書いている時点で来年)3月中にデンマークの製薬会社であるノボ・ ノルディスク社の最も有力なセマグルチドというホルモンを作用するGLP-1受容体作動薬医薬品である糖尿病治療薬オゼンピック及び同成分である肥満症治療薬ウゴービ(※)の特許が失効を迎える。
現在世界のトップに君臨し、各国市場で圧倒的なシェアを持っている米イーライリリー社の新薬のGLP-1とGIPという2つのホルモンに作用する二重のメカニズムを持つマンジャロ(及び同成分のゼップバウンド)に大きく差を付けられているものの、アメリカ合衆国、中国、インド、欧州連合とラテンアメリカ諸国にまだ高い保持力を持っているが、2026年1月4日を機にカナダで始まる特許失効のドミノ倒しの影響で、中国(同年3月20日)、インドとブラジル(同年3月中)での高いシェア率を失う危機に面している。
ブラジルでの場合、地元の大手製薬会社がジェネリック・バイオシミラーのオゼンピック・ウゴービに対して、大変意欲的であり、大手ブラジル新聞のオ・グローボの2025年8月25日の報道によると日本の厚生労働省に相当するブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)がこのセマグルチドのジェネリック・バイオシミラー医薬品等を優先的に承認する発表を行った。
少し遡って、今年の3月22日(金)、ブラジル大手製薬会社、HyperaPharmaが2026年の特許失効を見越して、オゼンピックのジェネリックを市場に出すと発表をしたあと、同社の株価は7%上昇し、ブラジルを代表する株価指数であるボベスパ指数で最大の上げ幅を記録した。
更に遡ると2024年にもう1社のブラジル大手製薬会社であるBiomm社がインドのジェネリック・バイオシミラー医薬品製薬会社Biocon社(※※)とブラジルにおけるジェネリック医薬品オゼンピック・ウゴービの販売に関するライセンスおよび供給契約を締結したと発表した。医学・医療支援および臨床開発専門コンサルティング会社IQVIAのデータによると、同国におけるオゼンピック・ウゴービの売上高は2023年に31億レアル(5億4156万米ドル)に達し、2021年から2023年にかけての市場でのCAGRは39%に相当すると報告、一般人から見たらめまぐしい数字である。
その熾烈なブラジル市場覇権を争う中、ノボ・ ノルディスク社はブラジルのミナスゼライス州のモンテス・クラロス市に2028年稼働開始予定の新しい工場の建設を含む複合的なインフラとロジスティクスの投資を発表、その金額は64億レアル(約11億8,500万米ドル)になると見られる。最初は2025年10月23日(この記事?駄文?を書いた日)のレートでの日本円を用意したものの、あまりにも現実味が感じられない額のため、米ドルのみを使用。
一方、EMS、Cimedなどの他のブラジル国内大手製薬会社も、ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)の財政支援を受けて、2026年のジェネリック医薬品市場覇権での競争に備えている。
ブラジルでのジェネリック・オゼンピックをめぐる熾烈な争いの背景について、一旦止めにし、核心に迫ります。
「それって日本関係ないくない?」
と勢いよくツッコんだあなたに拍手です。
海の向こうの市場争いの余波は日本にも届く・・・バタフライエフェクトではないですが・・・
GLP-1ホルモンであるセマグルチドのジェネリック・バイオシミラー医薬品の他国で大国の厚生労働省相当な機関での承認は現在の日本医療ダイエット界隈(糖尿病界隈にも)への影響が必須。
日本では米イーライリリー社のマンジャロ兼ゼップバウンドはほぼ無双状態ですが、減量に使用する場合、自費診療になることが多く、高額になりがち。
日本では若干落ち目と思われがちのオゼンピック・ウゴービでも同様、高額になり、継続が長ければ、長いほど、一般人の財布を圧迫する。
おそらく医師の一部は個人輸入をする可能性があります。
「ブラジルの厚生労働省は日本ほど慎重ではないので、安心して使用できない!!」
と考えたあなたに拍手。
それでもジェネリック・バイオシミラー医薬品(総じて後発医薬品)は先発医薬品よりの値段が安くなる。日本での場合、全国健康保険協会のサイトによる、3割~5割安くなることが多い。
輸入コストもかかるのだろうが、確実、先発医薬品であるオゼンピック・ウゴービよりが安くなる。
マンジャロとゼップバウンドで医療ダイエットするのは高くて厳しい、オゼンピックとウゴービも厳しいと喚く一部のユーザー(と肥満症の場合、患者かな)にとって、後発医薬品は魅力な選択肢として映る。
効果はマンジャロとゼップバウンドに劣る、成分は違うかも知れないと常に不安を感じる人もいるのは事実ですが、それでもどうしても痩せたいと常に考えている人々が使うと正直に思う。
日本での保険適用肥満症治療のハードルが非常に高く、希望する薬が処方されると限らないため、何割か安くなった後発医薬品の自由診療を利用する人が出てくるのはないのだろうか。
既に一世代前のリラグルチドというGLP-1受容体作動薬の糖尿病・肥満治療約である海外輸入医薬品であるサクセンダのジェネリックである同じく海外輸入医薬品のプラオベス(※※※)が自由診療で未だに医師による個人輸入・処方・販売されています。ちなみにサクセンダと同成分である国内製造のビクトーザは糖尿病治療薬として、厚生労働省の承認を得ている。
プラオベスはサクセンダより約3割安く、サクセンダはビクトーザより約1割安い。
今のセマグルチドやチルゼパチド効果に比べる明らかに落ちる上かなり緩やかなリラグルチドがまだ輸入・処方・販売されているのを見ると高い効果のセマグルチドの後発医薬品が医師による個人輸入されないのは考えにくい。
セマグルチド後発医薬品は市場に出るのは早ければ2026年後半になると予想している。
2026年のカナダ、中国、インド、ブラジル・・・は糖尿病・肥満症医薬品の多数選択肢爆発の戦場になる。
ならばジェネリック医薬品製薬会社の良い銘柄でも探すかな。
以上
(※)同成分の経口薬リベルサスも含む。
(※※)インドの大手ジェネリック医薬品製薬会社。
(※※※)製造元はインドの大手ジェネリック医薬品製薬会社のCipla社。
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