表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません  作者: ソニエッタ
異世界の仕事改革

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/76

あるのは二択

人間たちと共にタルーア村へ戻ると、まずは彼らを少し休ませることにした。


そのあいだ、エミリはチーム・エミリ――つまり、いつもの仲間たちを集めて、少し話をすることにした。


「そもそもなんですけど、森に魔物がいたんですね? アレイスさんもエルヴィンさんも、初めて会った時よくご無事で」


「俺たちも遭遇したが、運が良かった。それより、アレイスが“追っ手”にやられていたからな……あの時は、エミリ殿とピリカ殿が来てくれて助かった」


アレイスは静かに頷いた。




「エミリ様は知らないかもしれませんが、魔族の前には魔物は寄ってこないんです。だから、いつも私と一緒にいるエミリ様は遭遇することがないんですよ」


と、ピリカが説明する。



「なるほど、魔族補正ですか。奥が深いですねー」


エミリはうんうんと頷きながら、ふと思い出した疑問を口にした。


「ところで、魔石ってどこにあるんですか? 掘るんですか? 拾うんですか?」


その問いに答えたのは、村長デランだった。


「森のあちこちに埋まっとる。この辺りは魔素が濃いからのう」


「ということは……魔素がなんかして、石が魔石になると……」


「まあ、そんな感じじゃ。わしらにとっちゃただの石じゃが、人間にとっては魔法の代用にもなる資源らしい。迷惑な話じゃよ」



エミリは「なるほど〜」と呟きながら、エルヴィンの表情に気づいた。彼は黙って、何かを考え込んでいる。


「エルヴィンさん? 大丈夫ですか?」


「……ああ。ちょっと気になることがあってな。カリア王国には、もともと魔石の備蓄がそれなりにあったはずなんだ。召喚に使ったとしても、急いでかき集めるほど枯渇するとは思えない。何かが……おかしい」


「召喚が失敗して、もう一回やり直す必要があったとか…?」


アレイス言葉に、エルヴィンが目を細めて頷く。


その時、ずっと黙っていたエネルがぽつりと口を開いた。


「……お前ら、なんでそんなにカリア王国の事情に詳しい?」




その問いに、場が静まり返る。数秒の沈黙のあと、エルヴィンがため息をついて口を開いた。


「俺は…カリア王国の第二王子だ。そしてアレイスは、俺の護衛をしていた」


静かな告白だった。けれど、エミリにはその重みがずしりと伝わってきた。



(ギャップ萌え銀髪魔族ナンバーツーに、BL枠もしくはポリコレ王子とその恋人兼護衛、可愛いドジっ子魔法使い。

どう見ても全員キャラが立ちすぎでは?

……で、私はというと、能力的にどう考えてもセリフが多いだけの女A枠!!そろそろ……なんかこう、覚醒イベント来てもよいのでは?)


試しに自分の手を見つめ、ゆっくりと開いたり閉じたりしてみる。が――なにか炎が出るわけでも、光が灯るわけでもない。



「エミリ様、どうかされましたか?」


「いえ、しょうもないこと考えてました。お気になさらず」


軽く笑ってごまかしながら、エミリは王子の告白にざわつく心を抑えつつ、静かに場を見渡した。


全員が重たいものを抱えながらも、今この瞬間だけは同じ方向を見ている――そう感じた。


彼女は腰を上げ、みんなに視線を配りながら言った。



「じゃあ、今ある情報を整理しましょうか」


自然と、皆の視線が集まる。


「まず。召喚魔法のために、大量の魔石が必要になってる。その量は“普通”じゃない。それってつまり……召喚をやり直す必要があった――失敗した、もしくは“意図した結果”が得られなかった」



エミリは少し間を置き、言葉を丁寧に選ぶように続けた。


「たとえば――召喚は成功したが、呼び出す場所が違っていた……とか?」


その仮説に、全員が思わず息を呑む。


「だから、向こうは“予定外の結果”に焦って、もう一度召喚しようとしてる。で、そのためにまた魔石をかき集めてる……そう考えると、話が繋がりますよね」


エルヴィンが顎に手を当て、真剣な顔で言葉をつなぐ。


「……確かに、エミリ殿が魔族の森に現れたのはもしかすると…?」


それを聞いてエミリは頷く。


「……というわけで、いろいろ事情は見えてきました。召喚魔法がどうやら怪しい、魔石の備蓄は妙に減ってる、そして今ここには、疲れきった人たちが何十人と寝ていると。」


エミリは周囲を見渡し、真剣な声で続ける。



「とりあえず――人間の皆さんの現状を改善すること。それと、魔石を盗まなくても済む仕組みを考えること。まずはそこからだと思うんです」


少しだけ間を置いて、肩の力を抜くように笑った。



「手始めに、人間の皆さんの問題から着手しましょう。私の世界では…、職場に深刻な問題が起きたとき、選択肢は二つしかありません」


みんながじっと彼女を見つめる中、エミリはにやりと笑う。



「デモとストライキです!」(※あくまでも森沢エミリの考えです)



「で、でも?」


「すと?すとら…?」




エミリはみんなを、置いてきぼりにすると自分一人で納得した様に話をつづける。




「今の彼らって、完全にブラック企業の新人研修モードなんですよ。

“仕事ができない自分が悪い”って刷り込まれてるから、理不尽でもがむしゃらに要求に応えようとするんです。

でも、“え、働かなくてもいいの?”って気づく人が出てくれば、一気にやる気になってくれるでしょう。群衆心理ってやつですね。

最初は一人で動けなくても、誰かが声を上げると、みんながそれに引き寄せられて動き出すんです」






エネルが少し考えてから呟く。




「…全くよくわからないが…何をどうやってやるのかだけは教えてくれ…」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ