四話 応該が強くなりました
四話 応該が強くなりました
黄可以の時より弱い光だった。その光は応該の全体を覆い、消えた。
視力を奪うほどではなく、要はその一部始終を見ていた。
応該の手のケガは塞がり、血も止まり、むしろ元気になったように見える。
「力がみなぎる」
応該はシールドが寝ていた小人用のベッドをつかみ、握り潰した。老人の握力では考えられない事だった。
「私に超能力が……」
応該はしみじみ言うと、シールドに目を向けた。
「お前等はさっさと帰れ。モーニングスターを置いてな」
応該は調子に乗っている。中途半端な主人公が超能力を手にして、イキっている状態に近い。
パァン!
動きの速い物が応該の腕に当たった。エスパーダがスナイパーライフルを撃っていた。しかし弾丸は貫通しておらず、皮膚で止まり、床にポトリと落ちる。
「無駄だ」
腕を誇らしげに見せてくる。無傷をアピールしたいようだが、鼻につく。
エスパーダは諦める事なくもう一度撃ったが、状況は変わらなかった。
「うるさいな」
応該はエスパーダをつかもうと手を伸ばした。
「させるか!」
アックスがハトを操り、剣で刺そうとする。弾丸を跳ね返す身体に勝てるはずもなく、バランスを崩した。
「シールド!」
ハトからアックスと一緒に乗っていたシールドが空中に投げ出された。
小人としては無事に着地できるかあやしい高さだったが、人間の手がキャッチした。その手は応該のものだった。