最終話 参列しました
最終話 参列しました。
応該の通夜が行われ、要とエスパーダは遺族側に座った。あいさつをしてくれる人は、みなエスパーダを見て驚いたが、要はその都度、自分の婚約者であるとアピールした。
奇異の目で見られたが、構わない。彼女は家族なのだから、隠す必要はないのだ。
滞りなく通夜を終え、翌日の告別式に参列した。喪主のあいさつて要は言った。
「みなさん、今日は父のためにお集まりいただきありがとうございます。父は仕事と恋に生きた人でした。その二つに関しては純粋だったと思います。家族には好かれなかったのですが」
自虐ネタをすべっていた。葬式でウケを取ってはいけなかったようだ。
その後、無難にあいさつをシメると、式は終わった。後は出棺して、火葬場に行くだけだ。
出棺となった時、ハトが一羽飛んで来た。ハトにはアックスと、喪服にヘルメットの女性が乗っていた。マダムだった。
「私も連れてってくれないかしら」
要に訴えてきた。
「なぜですか?」
「え?」
「振った相手なら無視すれば良い。父の死は父のせいだ。なのになぜ」
「私の気持ちの問題。私はあの人を頼ってしまった。そしてシールドを手に入れたら、あの人のそばから消えてしまった。身勝手な女なんです。だから自分の気持ちに決着をつけなければなりません」
マダムもまた自分の気持ちを優先していた。自分の気持ちだけで突っ走って、悦にいってる。それは要も同じだ。
「乗ってください」
要が声を掛けるとマダムはようやくヘルメットを外して、アックスに渡した。




