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探求者、世界を救う!?  作者: 真宵 にちよ
第二章~ルゼル王国動乱~
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EPISODE27、実力差

 瓦礫を退かし、マレイとデゴが姿を現す。

 驚いたことに大した傷を負わせるに至っていない。

 元より倒せると思っていない。

 だが、戦力を削ぐ目的を果たした。

 響くのは騎士達の呻き声ばかりだ。


「幹部と言われるだけはあるな」


 エスティは挑発的な笑みを浮かべる。

 完全に嘗めきってはいるが、それはマレイとデゴも同じだった。


「おいマレイ!あの魔法使いは俺に殺らせろ!」


 デゴは舌舐めずりをして、下卑た笑みを浮かべながら品定めをする。


「胸は控えめだが、太腿と尻は締まってるなァ。こりゃ楽しめそうだぜ」


【屠りし者】デゴは、魔法に関する知識が凄まじく繰り出される魔法1つ1つの殺傷能力が高い。


 長年の残虐行為から来る嗜虐的な興奮を覚えていた。

【屠りし者】と呼ばれ、その名に恥じない恐ろしい実績の持ち主だ。


「はっはっは」

「何を笑ってやがる!」

「少しは実力差を理解したらどうだ?」

「何ィ?」


 エスティが踵を踏むと役目を終えた五本指の蛇(ハンド・スネーク)が霧散する。


「何の真似だぁ?まさか魔法でオレ様に勝てると思っているのか?」


 エスティの問いに激高したデゴは全身に魔力を巡らせ魔法を発動させようとしていた。


「試してみるといい。確実に貴様は死ぬ」


 エスティが空間から杖を取り出し、静かに構えた。


「アタシも退屈だからさー。全部殺さないでよ?」

「うるせぇッ!まとめてぶっ殺す!!」


 マレイは肩を落として瓦礫に腰掛けると成り行きを眺めた。


「俺も加勢するぜ…!」


 腹を決めたベルドが拳を握るも、デイルが手を肩に置き制止する。


「やめとけ。邪魔になるぞ」

「何言ってんだ。デゴは、魔法に対する耐性が凄まじい。歴戦の魔法使いが何人も命を落としたと聞く…。いくらあの女だって」


 デゴは、人魔解放戦線と聞けば真っ先に名が挙がる事が多い。

 それだけ積み重ねて来た悪行が認知されているからだ。

 魔法使いにとって天敵となり得る存在でもある。


「それでもなんだよ」


 デイルの言葉には、信頼と諦めが織り交ざり微妙な響きとなった。

 エスティが率先して戦闘する時は、何を言っても無駄という事を知っている。


 探求者ギルドでのエスティの役割は全面的なサポートだ。

 その彼女が、好戦的になっているという事はデゴも標的となっている。

 邪魔をするなという意思表示でもあるのだ。


魔法円鍵マジック・サークルキーッ!」


 デゴが右手に渦巻く魔力を収束させ、手の平を中心に黒と赤が混じり妖しく光を発する。

 手首を捻る様は、見えざる鍵を開くような儀式のようだった。


 浮かび上がった魔法陣は、激しく光が交錯し脈動しており荒々しくも厳粛で見る者に畏敬の念を抱かせる。


 魔法を発動させる為の詠唱が魔法文字として、魔法陣を走り配置された。


「皆殺しだッ!」


 魔法円鍵マジック・サークルキー

 魔法使いとして大成したデゴの英知の結晶ともいえる。


 魔法は想像力や乗せる魔力が反映され、威力も変化する。


 自身の保有する魔力で魔法陣を形成し、魔力操作によって描かかれた文字列を揃える事で詠唱の役割を果たし威力の底上げ、文字の組み換えによる属性変化も可能とさせた。


 5列に分かれた魔法陣の基盤を(ヴァッサー)に設定し、詠唱を組み換え放つ。


 炎に雷が纏い、水魔法の効果で暴風雨のように自然を狂わせたようにエスティ達を襲う。


 災害のように変幻自在に放たれた魔法に畏怖したベルドは魔力防御に徹する。


 デイルも剣に手を掛けていた。


 液体化する魔法が押し寄せ、3人を瞬く間に呑み込む。


「くそッ!?」


 ベルドの短い悲鳴が響き、デゴは勝利を確信していた。

 この魔法は魔力防御を溶かし、肉や骨さえ何も残さない。

 液体化した炎と雷は、死ぬまで苦痛を与え続けるのだ。


「魔法使いは、オレに勝てねぇんだよッ!」


 デゴの勝ち誇った声が響き、歪んだ笑い声が溢れたが、それは長く続かなかった。


 次の瞬間、胸を突き刺す刺すような驚愕が広がっていた。

 強大な魔法は霧散し、その中から3人の姿が現れたのだ。


「何をしやがったぁ…!」


 デゴは信じられないという表情で呟いた。

 これまで、自分の魔法を受けて無傷で立ち続けられた者は誰一人いなかったのだ。

 それどころか、防ぐ事など、不可能とまで自負していた。


 しかし、エスティ達は確かにそこに立っていた。


 ベルドの魔力防御が功を奏したのか。

 それともデイルの剣が魔法を斬ったのか。

 あるいはエスティ自身に秘策があったのか。


 デゴの目には理解し難い光景が広がっていた。



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