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探求者、世界を救う!?  作者: 真宵 にちよ
第二章~ルゼル王国動乱~
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EPISODE20、迫る敵

 向かって来たのは、ルゼル王国兵士だった。


「何事ですかな?」


 兵士は乗馬したまま、言葉を続ける。


「バリナ村の村長だな!?今すぐここを離れろ!」


 兵士は切羽詰まっているようだ。

 息も荒い。


「ここより南西にて、魔物の大群が確認された!急ぎ避難せよ!」

「避難って何処へ…?」

「ルゼル王国を目指してくれ!既に南西の村々で被害が拡大している!」


 兵士の話では、南西方向を偵察していた兵士が突如として現れた魔物の軍勢を補足した。

 数は2千を超えており、応戦した兵士も命を落とし、村も壊滅状態になったという。


「そこの兵士、南西には契約騎士が交戦しているのか?」


 エスティが尋ねる。


「契約騎士様は、まだ出陣していない!騎士や兵士達が迎撃に向かったが連絡が取れないんだ!それに…先日の任務で主力となる騎士達が重傷者多数で…」


 騎士達が倒された可能性が高い。

 出現した魔物も強力なものばかりだろう。

 それよりも、エスティは重傷者多数という言葉が耳に残った。


「その重傷者多数って言うのは、何かあったのか?」


 嫌な予感を払拭するため、念の為に聞いてみる。


「廃村騎士討伐に向かった騎士達が、小競り合いに巻き込まれ負けたらしい」


 デイルは、心当たりしかないため顔を伏せ、ライは何のことか分からないと言った様子だ。

 主力の騎士達というのは、ベルド達の事である。

 デイルが騎士達を殺さない程度に半殺しにし、ライはベルドを虫の息にした。


 明らかにルゼル王国の戦力を削いでいる。


 原因は、探究者ギルドにあると言っても過言ではない。


「ルゼル王国兵士よ。我々は冒険者ギルドでな。良ければ手伝おう」


 エスティが申し出る。

 原因が少なからずある為、当然だ。

 念の為に探求者ギルドという事は伏せた。

 申し出を断られるのは目に見えている。


「本当か?それは助かる」


 兵士も快諾する。

 少しでも戦力が欲しいところだ。


「ティー、魔導書に転移魔法も刻んでいたはずだ。使ったか?」

「ん?まだだよ?」

「我々は南西の加勢に向かう。悪いが村人達を王国まで送ってくれないか?」


 エスティが話を進める。


「おっけー。気を付けてね」


 ティルシアが手を振りながら見送る。


「ライ、デイル。行くぞ」

「はい!先生!」

「…おう」


 ライとデイルは、エスティ肩に触れる。


「転移」


 青い光が3人を包み、南西に転移した。


 転移魔法。


 一度行った事がある場所に限りどこでも転移できる魔法だ。


 世界中を練り歩いたエスティにとって、行ったことがない場所は殆どない。

 それでも転移魔法に頼らず旅を続けているのは、ティルシアの意思だ。


「俺は次の村へ知らせに行く。避難をどうか頼む!」


 兵士はティルシアに頼み、次の村へと馬で駆け抜けて行った。


「ティルシア、何か手伝える事はあるか?」


 ルゼルが気にかけてくれたようだ。


「送り届けるだけだから、何も無いよー」

「そうか…」


 ティルシアは、ルゼルを含む村人30名を集めて密集させ、囲むように枝で円を書く。


「魔法展開、転移!」


 ティルシアは魔法を発動させるが、何も起きなかった。


「あれ?」


 もう一度、転移魔法を発動させるが、何も起きず不発に終わる。


 今まで魔導書が機能しなかった事はない。


 原因が分からず、思考を巡らせようとすると2つの禍々しい魔力を捉えた。


「きひっ。やっぱり魔法封じ(マジック・シール)の魔術は絶大だなぁ」


 ニタリと不敵な笑みを浮かべる黒マントの男が近付いて来る。


「これで殺し放題って訳だねぇ」


 もう一人は、糸目で高身長の男。

 捉えた2つの禍々しい魔力の正体は、この2人で間違いないだろう。


「誰?」


 ティルシアが聞くと、男達は顔を見合わせて笑い出す。


 下卑た笑いだ。


「人魔解放戦線って言えば、分かるか?」


 聞きたくない言葉が出る。


「人魔解放戦線…だと?」


 ルゼルが反応する。


「知ってるの?」


 デイルがいたら、知らない方が珍しいとツッコまれる所である。


「人魔解放戦線は、魔王軍を崇拝している組織だ。まだ存続していたなんて…」


 200年前に行動を共にしていた冒険者と壊滅状態に追い込んだ事があり、まだ存続しているとは思わなかった。


【人魔解放戦線】。


 戦力数が不明の犯罪組織で、魔王軍を崇拝し、世界支配を信念としている。

 各国から指名手配されているものの、拠点が未だに特定されていない。


 悪逆非道の限りを尽くしているという。


「なるほど。じゃあ今、魔物の群れが現れたのは、こいつらのせいってわけね」


 ティルシアが錆びた剣に手を掛ける。


「きひっ。抵抗する気満々じゃん。良いねぇ、良いねぇ。大歓迎だぜ」


 男は不敵な笑みを浮かべたまま、腰にある短剣を引き抜く。


「ガキが多いなぁ。ガキを殺すのは楽しいからな。楽しむも良し、刃で皮膚を1枚1枚剥がすのもたまんねぇんだよな」


 細目の男は、村人達に目を向ける。

 引き抜いた剣からは、血が滴っていた。

 乾いていないという事は、既に村々での犠牲者は、この2人が実行したという事になる。


「ちょっと聞きたいんだけどさ。もしかしてここに来るまでに村とか襲った感じ?」


 ティルシアが聞くと男が腹を抱えて笑う。


「当然だろぉ!俺らは人魔解放戦線だぜぇ?皆殺しに決まってんだろうが!!」


「やはり、今も変わらず悪事を働いているようだな。ティルシア、助太刀するぞ」


「ありがとう!」


 ティルシアは、ルゼルに笑顔を向け、錆びた剣を構えた。


「ところで」

「ん?」

「武器を貸してくれないか?」


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