表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士団の繕い係  作者: あかね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/30

IF 針子の令嬢、モテ期がくる2

IFの続きを少しばかり。

「君が悪いんだ」


 なにがだよっ! と叫びたくてもモゴモゴ言うしかない。口を抑えられて自由ないし、なんか、よくわからないし!

 今日も仕事疲れた……と歩いていたら、襲撃される理由はさっぱりわからなかった。

 二人連れで私を引きずるように連れ居てこうとしている人と偉そうな人がいる。


「他の男とは遊び歩いて良くて、なんで僕は駄目なんだ」


 ……。

 理由は判明したけど、誰かはわからなかった。というか、これはまずい。

 ジタバタと暴れても男相手では分が悪く、そのまま引きずられ物陰へ……。運悪く日暮れ、人もあまりいない時間帯。残業して夕食の時間に間に合うかなと焦っていたのも悪かった。

 一人で動くのやめなよ? という忠告が無意味にっ!


 私はポケットの中を確認した。指ぬきがちゃんとある。中指に装着。ぐっと拳を握った。


「坊ちゃん、足の方持ってください。さっさと連れ帰りますよ」


「あ、ああ」


 渾身の蹴りをお見舞いしてやればいい?

 おーけー、女の靴の痛いとこみせてあげるわっ!


「おまえにもいい話だろう。

 良家に嫁ぐなんてな」


「暴れるな、殴るぞ」


「いてっ」


「本当に、ご令嬢なんですか」


 大人しくしたところでろくな目にあいそうにない。痛いの嫌だけど、その後のことを考えれば全力抵抗する。

 こちとら田舎育ちの野生児でもあるしっ!


 でも泣きそう。


「なにをしているんです?」


 まずは後ろに頭突きと身をくの字にしたあたりで、声をかけられた。

 助かったと頭をあげたら、ぐふっと……。意図せず頭突きがヒットしたらしい。


「……嫌がる御婦人になにをしているんです?」


 一瞬の間を置いて、仕切り直された。私はと言えば緩んだ拘束を幸いと振り切って、声の主に向かおうとした。

 ……ちょっと足が止まった。


 薄暗くなってきていてよくわからないが、なんか、ものすっごい、おおきい。うちの平均を極める家族からすれば1.5倍でかい。

 ちょっとビビる何かがあったけど、よく見れば制服着用だ。この城で制服を着る職業なら安全だろう。たぶん。


「たすけてください。なんか急に襲われて!」


 さっさと背後に隠れる。わぁい。大きい。隠れ放題。


「話し合いをするつもりだったのに、ついてこないから悪いんだ」


「どのような話を?」


「二人の将来についてだ」


「断絶です。私、誰ともまだ結婚したくない婚約しないって言っているのに、しつこいったら」


「他の男ならよくて僕がだめな理由はなんだ。家柄も将来性もあるだろう」


「王家を除いてうちより良い家柄ないですっ! 建国より血をつないでますので!」


「弱小男爵家がいったところでな」


「クレア殿は、この男性との付き合いは望んでいない」


「はい」


 あれ?なんで、私の名前知ってるの?


「あなたは、まず、家同士で話をつけてから本人と会うべきだし、それができないからこうやってつきまとうなら王弟殿下に報告します」


 そこで私は気がついた。よく見えなかったけど、この人、騎士団の人だ。兄が所属していたからその制服も見覚えがある。

 騎士団とは必ず、王族が団長を務めることになっている。さらに貴族の子息だけで構成されており、ないがしろにしてよいという相手ではない。


「どこの家のものだ」


「……騎士は慣例的に家名を名乗りませんが、サーライトのものです」


 ほぼほぼ、名乗ってる。私は家名までは思い出せなかったけど、海の方だという記憶はある。海賊になると叔父が……いや、現実逃避だ。


「おー、なんかやってんのー?」


「おやおや、遅いなぁと思ったら」


 ぞろぞろと誰かやってきた。視線を向ければ、やっぱり大きい人たちが……。


「招集に遅れるとは許しがたい」


 最後にやってきた人は、明らかに雰囲気が違う。俺、偉い人ですという匂いがする。


「おまえ、名を名乗れ」


 そういって私を捕まえた二人に聞いていた。


「ああ、私が名乗ったほうがいいか。

 聞けば、事件にするが?」


「大変失礼いたしましたっ!」


 なにかを察したのか、一人が坊ちゃんを引っ張って逃げていった。


「追っていけ。王弟殿下が処理する」


「はい」


 二人ほど追いかけていったけど、静かで速い。


「さて、お嬢さん。事情をききたい、んだが……」


 そう言って推定偉い人がものすっごい困った顔をした。そのまま、ぽりっと頭を掻く。


「アトス任せた」


「え? ちょ、副団長」


「泣いている女の子の慰め方は知らん!」


「そ、そんな、俺もしらないですっ!」


 泣いてる女の子?

 現場の女子、私一人。


 おやおや?


 知らずに零れていた涙を自覚した。


「あ、その」


 戸惑ったような声は優しかった。

 そのまま、しがみついて泣いてしまったのはほっとしたせいだろう。


 ただ、そのせいで探しに来た同室の子に、あたしの友達になにしてんのよっ! と詰められる事件が発生したのは大変申し訳なかったと思う。

 迷惑をかけたお詫びとして訪れた騎士団寮は、魔窟だったのだった。

副騎士団長はイケオジ。口ひげ付き。こっちのほうが団長? とよく勘違いされる。

なお、悪行をした二人組はご実家から勘当され、田舎へ隔離。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ