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第3話 誘拐部活

 私は部活勧誘。いや、誘拐させられていた。

 手口は姑息な睡眠魔法によるものだ。学校の中だからか、流石の私でも油断していた。

 というわけで、強制的に学校の中でもかなり辺鄙へんぴなところにある教室へと連れてこられたわけであるが。

 その部屋は何やら異質であった。

 魔法学校には似つかわしいコンピュータ、ゲーム機が並べられている何やら異質な部屋であったのだ。


「エロゲ開発部って……。どんな部活なのかが分からない……」


 私はそんな部長のような男と副部長のような男にそう訊ねた。


「その名の通りだ」


 ただ彼は言った。

 そう言うのであれば、本当にそうなのだろう。

 その名の如く、ただエロゲを開発する部活。どんな部活だと正直思う。


「……というわけで、お願いします!ここにサインを!」


 そう、彼らが土下座しながら提示してきた紙は既に「エロゲ開発部」というものが記入されていた入部届であった。


 みっともない……。このような学生にはなりたくないものだ……。


「いえ、結構です」


 私はそうやって、彼らを一蹴した。


「そんな殺生な!」

「このゲス特待生!」

「断った途端の態度の豹変すごいな!」


 すると、部長は私も渡された学校支給の杖を取り出した。


「入部しない女の子にはお仕置きが必要だな」

「お、部長、その杖をソイツのま●こに突っ込んで、ブルブル振動させてイかせるのですな?」

「そんなことするつもりだったの?!」

「んなわけがなかろう!!余計なこと言うな!」

「えーだって、あくまでもエロゲか開発部だし、そういう感性を持つのがエロゲ制作者ってもんじゃない?」

「お前、日本のエロゲ制作者のみなさんに後で土下座しろ」


 まぁ、実際日本のエロゲ制作者の皆さんがどんな感性を持っているかなど、全く持って知らないのであるが。


「ここは魔法学園モノらしく、魔法に召されて、散れ!!『ファイヤーボール』!!」


 すると、部長の杖の先端から、サッカーボールくらいの火の玉が生成された。

 そして、その火の玉は超スピードで私の身体めがけて発射した。


 私はとりあえず、猛スピードで退室した。扉は勿論開きっぱなしである。

 私はファイヤーボールとエロゲか開発部室の方向に……。


「よっと」


 魔法術名も叫ばずに杖から水を放出した。


「おい、お前……。水はヤバいって!!」


 部長の『ファイヤーボール』は即消火され、水はコンピュータが鎮座している部室へと侵入を図った。


 瞬間、部長と副部長は部室の出入り口に結界魔法を張った。


「耐えろ!!耐えるんだ!!」

「これが無くなったら、流石にヤバい!!」


 感じる。凄まじい魔力だ。やはり、ミミニアリスト魔法学校の生徒なだけある。


ん?結界魔法に過重して何か魔法がかかっているぞ?しかも、そのことは彼は気づいていない様子であった。

 無意識による魔力暴発あろうか。しかもビーム砲を放つやつ。


 流石にあんなの当たったらひとたまりもないだろう。


 私はさっと横に避けた。


 そして魔力ビームは最大チャージを充填して放たれた。


 激しい紫色の光を放ちながら出た光線は私の横を素通りし、魔法学校の壁を突き破り、そして、空の彼方へ飛んで行ってしまった。


「あ………………。やっちまった」


 その事の絶望さは部長の焦り散らかす表情と壁に開いた穴から吹く隙間風が物語っていた。

 何だ……。この重い空気……。


「あ!あんたたちね!!」


 廊下の奥のほうから何やら強気な女声が聞こえてきた。


「げっ……。生徒会……」

「鍵つけるの早いな……」

「どうする?ずらかるか?」

「ああ、そうだな」


 そうすると、二人はそこから逃げ出した。


「あ、ちょっと……」


 私がそう呼び止めてももう遅い。

 彼らは私が使ったような素早さを向上させる魔法。以下俊足魔法とも言おうか。それを使用し、爆速で逃走したため、私の声はとっくに聞こえないところまで行ってしまっていた。


「くそ……。あいつら、少し猶予を与えてやったらこれか……」


 その生徒会と思わしき人は頭を抱えていた。


「そういえば、この穴についてはあなたも関係者なの?」

「穴って……」


 私は自らの股間を見つめた。


「そっちじゃない」


*****


「関係者ならば、そこで待機してて!」


 と言われてしまったので、待機することしかできなくなった私。

 これ……。待機していたほうが私にとっては都合が悪くないか?

 このまま私もこっそり逃げてしまったら……。


 いや、多分顔バレてるから無理だな。


 私は立ちっぱなしも疲れるので部室内にて座って待機することにした。


*****


「ほら!さっさと歩く!」

「生徒会の魔力パネェ」


 例の二人は無様に連行させられていた。


「全く……。せっかく猶予を与えたのに、なんでこんな余計なことするかな……」


 エロゲ開発部の謎行動にこの生徒会の人は呆れた様子を見せていた。


「すまねぇよ」

「てか、その女にも責任があるだろう!」


 部長はそう言って、私を指差した。


「私?!」

「そうなの?」

「はーい、その女が放った水を阻止しようとしたら、こんなんなっちゃいましたー」


 くそ……。チクリ魔の小学生みたいに……。


「それは事実?」

「あ、はい」


 嘘ではないからな……。


「なら、見逃すわけにはいかないか……。じゃあ、君、この部活に入部しなさい」

「へ?」


 生徒会の人はいきなりそんなことを言い始めた。

 そして、エロゲ開発部の二人のほうを見てこう言った。


「そして、エロゲ開発部諸君に告ぐ。本来、あの紙に書いた実績というのはゲームを作るっていう実績一つで十分だったんだけど、今回のことから、今度のミミニアリストアカデミーで大賞を取らないと十分な実績でないということにします!」


「「な??!!!」」


 エロゲ開発部の二人は声を揃えて言った。

 そして、生徒会の人はまた私のほうを向く。


「そして、君はそのエロゲ制作に加担するように!アカデミーが過ぎたら、別に好きにしたらいい!もし開発部が残っても退部しても良し!続けても良し!」


「な、なんですか!それ!」


 こうして、私はミミニアリスト魔法学校エロゲ開発部へと入ることになってしまった。


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