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猫拾い  作者:
19/21

十九

大半が馬鹿話です。

「大丈夫?」

 美江が直樹を覗き込む。

 直樹は数瞬、焦点の合ってない目で美江を見つめた後、

「美江さん!?」

 グバァ! と音速で起き上がる。

 と、

 ズキン、と頭が急に悲鳴を上げる。

「ッ……!」

 頭を反射的に押さえた後、

「あ、いや、大丈夫ですよ?」

 あはははは、と愛想笑いをする。

 直樹は、美江が訝しげに見つめている事に気付かずに周りを見渡す。

 白い壁に白い天井。

 薬品のツーンとする匂いのする此処は、

「病院?」

「そうよ! 坂本さん、あの時何したの?」

 ずい、と顔を近づけ訊く美江。

 綺麗な碧眼が自分に向けられてる事実に照れながらも、あの時の事を思い出す。

「あの時は……ただ、ヤバかったから」

 別に意識してやった訳ではない。

 火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか? そんなのが働いたとしか言いようが無い。

「え、と……どんな事をしたの?」

「よく分かんねえや、あはははは」

 頭を恥ずかしそうに掻いて言う。

 どんな事をしたの? か。

 強いて挙げるとするならばシャルとのキスだろうか。

 あの魔力を渡す時の感覚に似ている。

 多分、あれを日常的にやってなければあんな力は出せなかっただろう直樹は言えた。

「んで? 何で俺はここに居るんですか?」

「えっと、倒れちゃった後に気絶してて、病院に連れて行こうって事になって」

「スカンクと、あの男は?」

「坂本さんを病院連れて行くのに必死で、知らない間に逃げちゃってた……」

 しゅん、と可愛く (本人は意識していない) うなだれる。

「あ~、ライブはどうなったんですか?」

 訊いてから直樹は一瞬で自分の失敗に気付いた。

 美江は微笑みながら言う。

「ライブは一週後に延期されただけで何にも変わらないから、別に良いの」

 本当に、残念そうでもなく、辛そうでもない。

 本心から微笑んでいるのだ。

 美江は誰も死ななかった事に、喜びを感じているのだ。

「そういえば、シャルとあの男の人はどこに居るんですか?」

「シャルは、猫になって外で寝てるよ。マロも犬になって寝ちゃってる」

「は!? 犬!? まさか、どうぶつ!?」

 サラリと言われた事実に驚愕する。

 そして、数十秒たった後に出てくる疑問を口にする。

「犬の状態でキスしてます……よね?」

 お願いします! 犬の方で! 犬! 犬! 犬!

 と直樹は心の中でお百度参りをする。

 ついでに、心の中の流れ星に三回願い事を言ってみた。

「犬の方でしてるよ。坂本さんは?」

 美江はキラキラ笑顔でそう言った。

 よし! よし! よし! とガッツポーズを三回。

「いや~、僕だって、美江さんと一緒で猫の状態でキスしてますよ~」

 と、言ってから、

「あ」

 思い出す。

 あの時、シャルとキスをしてしまった事を――。

「あれはノーカウント、あれはノーカウント」

 不思議そうな顔をして、美江は言う。

「何がノーカウントなの?」

「い、いやいやいや、何でもないです! 何でも」

 あ~麗奈は無事に帰ったかな~。この状態を見たらどう思うかな~、などと独り言を開始。

 現実逃避である。

 俺思うんだけどさ、因数分解って要らなくね? つか、数学要らなくね? 英語って要らなくね? つか、学校要らなくね? あ~、麗奈の彼氏に会ってみたい。あれ? 美江さんって彼氏居んのかなぁ。居たら大ショックだぞ? いやいや、俺に惚れるなんて天地がひっくり返った上に、地球が破壊されて、時が一万年程いきなり飛んだ上に、神様が死んで、俺が神様の座を乗っ取る程有り得ないって分かってますよ? だけどさぁ、妄想ぐらい良いじゃない? いや、いかがわしい妄想はしないですよ? ただ、二人で海に行ったり山に行ったりね、する妄想をするぐらいで。

「ねえ、直樹って呼んでもいいかな?」

 と急に言う美江。

 急な事に少しテンパりながらも答える。

「いいです、いいです」

「じゃあ、私の事もみ、美江って……」

 徐々に尻すぼみになっていく美江。

「え~み、美江?」

 呼んじゃった! 呼んじゃった! キャー! とか心の中で絶叫する直樹に美江は質問をぶつける。

「血液型は? 歳は? 好きなタイプの女の子は? 彼女居る!? 好きな動物は? 好きな料理は? あ、後、敬語も止めて欲しいな」

 お、おおう? と質問の嵐にタジタジしながらも律儀に答えていく直樹。

「血液型はO。歳は一五。好きな女の子はリューカ姫です。彼女は居ないです。好きな動物は犬です。好きな料理はすき焼きです。敬語は止めます……じゃなくて止める」

 ふう、と額を拭う。

「ええっと……リューカ姫?」

「ぁ~あれですよ!? 二次元の娘を好きになったりはしませんよ!? ただ、二次元の女の子が三次元に現れるんだったらな~みたいなね!? いやいや、そんな目で見ないで! だって、現実の女の子って可愛くても性格がちょっととか、可愛くても幼なじみとか、可愛くてもアイドルとか……」

「そんな趣味が……二次元萌だったなんて……」

「いや違うって! いやほら、テレビとか見ててさ、この子可愛いな~とかあるじゃん! あれみたいな物なんだって! 本気で惚れるとかは無いから!」

『そうだ! 言ってやれ少年! 二次元萌えだって現実と非現実は分かると言ってやれ!』

 なにか、魂の叫びが聞こえる。

 多分、この部屋に居る他の人が言っているのだろう。

「そうだ! 俺はなぁ」

『三次元に良い女なんざ居ねえんだよ! どうせ会社が首になったら棄てるんだろ!? けっ! 二次元の女の子は違うもんね! 俺はリューカ姫と結婚する!』

『ざけてんじゃねえぞこら! 三次元だって俺の彼女みたいな良い女が居るんだよ! 二次元萌えとかキモイんだよボケ共!』

『ああ!? 舐めてんのか? 現実と非現実はしっかり区別してるっつってんだろ!』

『けっ! テメエらには分からねえさ! 二次元の女の子はよ~、絶対裏切らねえし? 可愛いし? 三次元とは違うね』

「テメエら! 美江みたいな可愛い女の子がまだ三次元に居るのを忘れたのか! 因みに俺はビアン○派ですが皆さんはどうですか!?」

 直樹の発言により一気に空気が変わる。

 美江が呆けたように直樹を見る。

『美江……だと? あれは確かに可愛い……。あと俺はフロー○派だぁ! ビア○カなんて。はっ! 一生山で看病しながら暮らしてりゃいいんだよ!』

『くっ! だが二次元の方が良いね! あと俺もビア○カ派です!』

『俺は断然、デボ○派だね!』

「『『趣味悪ッッ!』』」

『あんだと! テメエら!』

「『○アンカに決まってんだろうが! ビ○ンカ以外俺らは認めねえ! あれ断ったら「おめでとう」とか言ってくるし! 一生独身貫くし! フロー○は結婚すんじゃねえか! ○ボラは論ッッ外!』」

『フロ○ラに決まってんだろうが! お嬢様ってどんだけだよ! ビア○カはあの…………あれ! しつこいんだよ! デ○ラは大気圏外!』

『テメエらぁぁぁぁぁぁ! デボ○を馬鹿にすんのかぁぁぁぁぁぁ!』

『『「よ~し、分かった! ビアン○ (フロー○) は良いとしよう! だけどデ○ラは有り得ねえ!」』』

 ギャーギャー騒ぐ四馬鹿を美江は看護士さん (女) が四馬鹿を注意するまで呆けて見ていた。

この小説サイトで自分とそっくりな主人公を発見しました!

いや、それが言いたかっただけなんです。

あと、今回のは馬鹿話が大半を占めています。

直樹とデボ○派の人は二次元萌えではありません。

他二人は二次元萌えですが。

PS看護士さんって使いにくくね?

看護婦さんと看護士さんに是非とも分けて欲しい。

看護士さん(男)を呼んだつもりなのに看護士さん(女)が来て焦ったりするし……。

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