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猫拾い  作者:
17/21

17

「テメエェェ! ふざけてんのか!?」

 護が激昂する。

「うるせぇよ。テメエは黙ってぶっ飛ばされろ」

 直樹の怒りを押し殺した声に、全員ビクッと震える。

 が、

「大人しく飼い主をぶっ飛ばさせるかよ!」

 スカンクが決意を持って言い返し、オナラを手から圧縮して飛ばす。

「うぜえ……」

 ドオン! 顔面にぶち当たる。

 まるで、ドッチボールのボールが当たったようだ。

 あとからくる匂いはオナラだろう。

 多分、オナラをぶっ飛ばす魔法。

「うぜえ……」

 本気でうざい、うざった過ぎる。

 麗奈が楽しんでいたライブを滅茶苦茶にされ、美江を守ろうとしていた男は無惨に倒され、シャルはボコボコにされたのだろう腕に痣があるし、美江は泣きながらキスさせられそうになっていた。

 それが直樹には堪らなく許せない。

 堪らなく、うざい。

「うぜえ……」

 ドオン! 次はバスケットボールが当たったような痛さで数歩下がる。

 鼻血がタラリと流れる。

 直樹はツーンとなる匂いが辺りに充満している事に気付く。

「ハッハァ! コイツの魔法はなぁ、匂いを操る事! 酸素なんかは匂いが無いし無理なんだが」

 アンモニアならいけるんだよねぇ、と残酷なまでにゆったりと言った。

「なっ……!?」

 全身が凍った。

 アンモニアには神経性の毒がある、という話を聞いた事がある。

 尿が身体の中のアンモニアを出す作業をする事で毒を外に出しているのだ。

 アンモニアが大量に身体に入った場合は?

 尿ぐらいで全て出せるのか?

 それは、否だろう。

「ハハハッ!」

 息をせずに、真っ直ぐ走る。

「アンモニアはお前を追いかける」

「オオラァァ!」

 護の言葉を無視して、机の上にあったちりとりを護に投げつける。

「ちっ!」

 オナラを圧縮して投げつけ、ちりとりから護を守るスカンク。

「また、オナラかよ!」

「オナラじゃなく、空気銃(エアガン)と言え!」

 と、護。

「ん? アンモニア……どっかに行った?」

 直樹が疑問に思った、瞬間。

「今度はコッチに!?」

 護を背後から討とうと思っていたシャルが走って逃げている。

「シャル! 息を止めろ! でから毛玉アタックだ!」

「ちっ! スカンク! 空気銃だ!」

 二人の指示が飛ぶ。

 美江は息を呑んで見守る。

 毛玉が現れ、それを蹴る。

 超低空の超速飛行で毛玉はスカンクに向かう。

「ハアッ!」

 ドオン! という激しい音と共に、衝突する空気銃と毛玉。

 空気は弾かれて、机に乗っている衣装を飛ばし、美江の髪が吹き荒れる。

 空気銃が押し負け、毛玉が押し勝つ。

 が、毛玉は弱い威力でしかも、空気銃により、狙い通りにスカンクの元に飛ばなく、護の元に飛んだ。

「ラァァ!」

 スカンクが空気銃で毛玉を飛ばす。

 シャルは追撃の為、魔力が尽きるまで、毛玉を飛ばす。

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 パンチで飛ばしたり、蹴りで飛ばしたり、アタックしたりする。

 そして、その全てを空気銃で飛ばしたり、身を呈して護を守る。

 シャルは擬人化のまま、床に倒れる。

 多分直樹のそばに居るために擬人化出来る程の魔力は残っているのだろう。

「ハッハァ! コレでしまいだぁぁぁぁぁぁ!」

 護が猛り、それに呼応するようにスカンクが空気銃を飛ばす。

 直樹はシャルに駆け寄る。

 シャルは一言。

「キスして」

「ああ」

 そう、もう猫になってとか言ってられる場合ではない。

 簡単だ。

 シャルにキスするのと、アッチに勝ちを譲るのとどっちが嫌かという話。

 アッチに勝ちを譲った瞬間、直樹達は倒され、美江はキスされるだろう。

 なら、シャルとキスをする。

 瑞々しい唇にカサカサの唇を押し当てる。

「ン……く……」

 シャルは今、得た魔力を毛玉に還元する。

 そして、物理的現象では無く、魔法で飛ばす。

 最大級の毛玉アタック。

 空気銃を跳ね返し、護に直進する。

 スカンクは毛玉に向かって飛び出す。

「ガッ……!!?」

 背中に毛玉が当たり、護と一緒にロッカーへと飛んだ。

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