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50(ハーフ)  作者: 周防 羽日真
1/1

半獣

地球から遠く離れたある星に、衛星会社の人体実験に利用されて飛ばされた1人の人間がいた。


「ど、どうゆうことですか?!こんなの…見殺しにするのと同じだ……」お父さん…そんなこと言われたらもっと行きたくないよ!そう思いつつもお母さんの方を向いた。目に涙が溜まっていて、あと少しでこぼれおちそうだった。その時航空衛星会社Earthの社長が言葉を発した。「仕方ないですよ。あなたのお子様がほかの子供たちを差し置いて選ばれたのですから。逆に誇りに持つべきですよ…」「何を馬鹿なことを言うの!どうして…私はこんなものに応募したつもりは無いわ!取り消してちょうだい!」お母さんのこんな怒鳴り声を聞いたのはいつぶりであろうか。「まだ騒ぐんですか?もう確定しているのですよ…少し応募のさせ方は良くなかったかもしれませんが、終わり良ければ全て良しなんですよ!」社長は眉をしかめた。「お前が行け…」「お前が行けと言ったんだ聞こえてねぇぇのか!」お父さんが狂気に満ちているような声で言った。「私は社長の身ですから…この地球でやりたいことが沢山あるんですよ。」「だからといって子供にやらせるのかよ!」「子供はまだ若いです。違う星でも楽しく暮らせるのでは?」社長の笑い声がその場の空気を包む。「なんてことを言うんだ!とりあえ…」「社長、準備が整いました。」「そうか。では賢太くんこの緑色の枠内に行けるかい?」「え、いや、え…」僕はよくこの状況を理解していなかった。もう何もかも終わってしまうような気がした。「賢太ぁ!いやああああぁ」「行っちゃダメだ!父さんから離れるな!」「私の計画の邪魔をするな!。」ドンっっ!社長は怒りが爆発したような表情でお父さんとお母さんを押した。「きゃあああ!行かないでぇ賢太!!」お母さん、、ごめん、、ね…… プログラムヲキドウシマス ジュンビカンリョウ イジョウナブブンハアリマセン カイシシマス カイシシマス

ウィィィンゴゴゴゴゴォォォ

ワープゾーンである緑色の枠内は外の人間からは触れられないようになっていた。「お父様、お母様、順調に進行していますよ。」社長はニヤついた表情で言う。お父さんとお母さんが泣き喚いているのが枠内からでもわかった。今までのことを思い出していると脳が、いや、体全体に妙な感覚が走る。もう終わりだと思った。逃げ出したい。家に帰りたい。みんながいるあの家に。お母さんと目が合ったような気がするが、体が爆発するように熱くてそれどころではなかった。

プログラムシュウリョウ プログラムハセイジョウニキドウシマシタ ワープサキノエイゾウヲウツシマス ウツシマス 「こ、これは…やはりあの星、フェーラ星だ!来たぞ…ついに成功した!アッハハハハハハハハハハハ」社員達は皆喜びあっている。私は妻と共にその場で眠ってしまった。もう生きる気力を失ったように。生きる希望が消えてしまったように。数時間ほど眠り、起きた瞬間「岩沼さん、こちらが報酬金の1000万円です。このお金で楽しく暮らしてください。」社長がおかしいという気持ちはもう誰も持っていない。宇宙飛行を子供にやらせたというような感覚なのかもしれない。しかし子供が宇宙飛行をするなんて無理に決まっているであろう。怒りが呆れに変わり言葉が出なかった。いや、もう何もしたくなかった。しかし、あの子が生きていますようにと祈ることだけは辞めなかった。祈ることだけは、絶対に。「あなた、帰りましょう。」外に出て、空を見上げるとと月の一部が雲に隠れていた。見上げるだけで涙が出そうだった。妻に涙を見せると妻も泣いてしまうような気がしたので我慢した。足がふらつきながらも家路を辿った。

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