第60話 昇級と降級
「っち! このくそアンチが! 単勝は馬券の基本だっつーの! くそが! なーにが3連単当てろよだボケがぁ!」
師匠はそう呟くとスマホを力任せにタップしている。
「師匠、そんなの相手にしなくてもいいですよ……」
「いいやだめだ! 腐ったみかんを放置したら周りまで腐るって聞いたことあるだろ? だからこいつは言葉でで分からせてやる必要があるんだよ!」
「まあ、まってくださいよ。そんなのとレスバしたところで分からせられるわけないじゃないですか……」
「じゃあこの腐ったみかんにどうやって分からせられるっていうんだよ!」
師匠にニヤッと笑ってこう言ってやった。
「簡単なことですよ。次のレース3連単取りましょ」
そういうと師匠はきょとんしてから答える。
「はぁ……圭一郎お前いい事いったとか思ってんだろ? 3連単がそう簡単にとれるなら俺達は今頃億万長者になってるんだよなあ」
「俺、競馬始めてから貯金100万以上増えましたけど……」
「……嘘だろ……」
「師匠だって競馬でめっちゃ勝ってるじゃないですか」
「ん……なんか勝ってる気しないんだが」
「そりゃ競艇やらなんやらで使ってるからでしょ!!」
「あー……」
と二人で話していたらアカネが話しかけてくる。
「なんや、おっちゃんえらいエキサイトしてたけど」
師匠がアカネに話しかける。
「アカネ、これ見てみ?」
そういうと師匠はスマホをアカネにみせる。
「なんや! このクソリプ! こんなん相手にせんとブロックしとき」
「ブロックする前に分からせないといけないんだこういう腐ったみかんは」
「分からせる?」
アカネはそういうと首をかしげる。
「そうだ。分からせようとレスしようとしてたら圭一郎が3連単とればいいって」
「3連単ねぇ」
「そうだろ? そんなに簡単に三連単とれたら蔵が立つってーの」
「でも次のレースは3連単狙うレースやで。3連単しか配当つかへんで」
「え……カチカチ?」
アカネが頷くと師匠は手に持った新聞を見ている。
「あ……」
師匠に話しかける。
「なにか新聞に書いてるんですか?」
師匠は持っている新聞を俺に見せる。そこには大井6レースの3番の馬に◎が並んでいる。
「3番オシリイジリー18戦14勝。圧倒的本命」
「4回しか負けてないんですか! 3番の馬」
「ああ、4回しか負けてないし、オッズは1.1倍だった」
師匠の言葉にアカネが口を開く。
「まあ。このクラスじゃ負けへんやろな」
その言葉に師匠が頷く。
2人に話しかける。
「なんでこんなに負けてないのG1とかにでないんですか?」
アカネが口を開く。
「あんちゃんほんまになんもしらんのやな。この馬はな体質的に2,3回使ったら半年は休まんとあかんの。ほいで地方が中央と違って年間で一定の賞金を稼がんと降級があるんよ。地方で8歳で18戦しかしとらんからまだC1クラスってわけやな。ただここ勝ったらB3クラスにあがるけどな」
「なるほど……その制度のおかげで弱い相手と戦え続けるってことですか」
「まあ平たく言えばそうやね」
師匠はうんうんと頷いている。
「師匠、知ってました? このからくり」
「も、もちろん! 何年競馬やってるっと思ってるんだ? 地方は降級があるから面白んだぞ。上のクラスで通用しなかった馬が降級してきていきなり走ったりとかあるんだからな!」
「でもこれって馬の力をちゃんと評価できる力があれば当てることできるってことですよね。この馬の力が本当にこのレベルでいいのかって評価できれば」
アカネが口を挟む。
「せやで。ただそれができたら誰も苦労せえへんねんなあ。ってあんたらの独自のアルゴリズムが正しいちゅうなら地方の方が勝てるかもしれへんな」
師匠はなにやら一人でぶつぶつと呟いてる。
「あっそうか。確かに俺たちは地方の方が勝てるかも……いやまてでも地方は中央に比べて注目度が低いし……オッズも……いやなんなら予想は出さずに俺たちだけで儲けるとかも……」
「あ、もう馬きとるで、パドックいこや」
アカネはそういうとザキさんとパドックの方に向かって歩き出した。
べ、べつになんかPVが増えたから更新したわけじゃないんだからね……
失踪すんません。もう春競馬ですね。
いやあリバティアイランドがクソ強かったですね。なんというか本当に強い馬の前ではバイアスすら無意味ってことなんですね。
4コーナー回って後ろから差してるのリバティアイランドだけなんですよね……
あと川田騎手の騎手カメラ凄くよかったですねぇ。後検量に行く前までのスタッフとの会話とか新鮮でしたし参考になりました。
できれば週2ぐらいで更新したいですね!(適当)




