キメラ
戦闘シーンはあっさりです。
9.キメラ
「グギョガラーーーーー」
となりの山頂から眺めると、様々な魔獣がごちゃごちゃにくっついたような真っ黒な何かが暴れている。
「あれは何だ?あんな生物がいるのか?」さすがにギンガも驚いている。
「あのような生き物はいません。たとえ魔獣でも」ランが断定する。
「母様から貰った知識にもない」アルもお手上げのようだ。
「・・・苦しんでいる」ヴェルが悲しそうに言う。
「どういうことだい?」ルジェが聞く。
「あんな生き物はいない。なら、無理やりくっつけられた。そしてその影響で魔力を吸い込み続けている。自分の限界を超えて吸い込み続ければ苦しいに決まっている」アルの分析はいつも的確だ。
「お腹いっぱいなのに食べ続けているの?」ジョヌらしい。「可哀そう」。
「どうするのですか」ランが尋ねる。
「滅び、そのものだよな」
「「「「「「えっ?」」」」」」
「あいつが生きていれば周囲の生き物が滅びる。自分自身も苦しむ。それは 滅び だ」
「滅びは、絶つ」。
「しかし、あの形だ。切っても再生しそうだな」
「なぜそんなことが判るのですか?」
「あの融合具合は、合理性が全くない。むしろ最初の本体、もうどこだかわからないが、そいつを攻撃して傷をつけた魔獣がその傷に取り込まれたように見えないか?」
「そう、かも」
「どこかにその異常融合を起こすコアがあるんだろう。どこか判らないか?」
ヴェルが集中を始める。
5人と一匹は声を潜め、ギンガはじっと融合獣キメラを見つめていた。
キメラはそれぞれの頭から瘴気ブレスを放つ。完全にバラバラの動きだ。
「ひどいな」ギンガが顔を顰める。
「泣いてる」ルゥが涙を流している。
「・・・たぶん、真ん中にある。もうわからないけど、最初に取り込まれたのはグレートホーン」。
その時、キメラのいくつかの頭がこちらに気が付いた。こちらに来ようとするが、体の統制が全く効かないので動くことができない。いくつかの頭が瘴気ブレスを放ってくる。
剣を抜いたギンガがブレスをはじく。
「すぐに終わらせる。それが唯一の解だ。しっかりつかまってろ」。ギンガが次の山に向かって走り始める。統一した動きができないキメラはこちらに向かって山頂から転がりこちらに向かってくる。
かつて湖だったであろう荒れ地にで交錯する両者。「烈風斬」ギンガのつぶやきとともにキメラの体が爆散する。しかし、飛び散った肉片から触手が伸び、再びくっつこうする。
ギンガのほうにも触手が伸びてくる。
「キャーーー」ジョヌが悲鳴を上げる。今は誰もつっ込まない。
「あそこ」ヴェルが禍々しい輝きを指さす。
ギンガの気が一気に研ぎ澄まされ、一転に集中していく。突き一閃。数多の色を煌めかせた光が禍々しい輝きを飲み込む。「微塵撃」。
肉片が地面に落ち崩れ始める。一瞬で灰と化し、風に散っていく。
「キン」澄んだ音と共に納剣。「ふーーーー」ギンガの息吹。しかし、気の放出はまだ続いている。