昼ごはん
ゆっくり進めたいと思います。
目標は毎日更新。
3.昼ごはん
「お腹すいた~」ルゥが騒ぎ出す。
「実体化すると、魔法とか使えるし、経験つめばいろんなことができるようになるはずだけど、実体を維持するために食事も必要になる」アルが説明してくれる。「知識は持っているのだけれど、成長に合わせて解放されるようになっているから限定的。母様がそう決めた」。
「スター・スピリットの仕様か?なるほど」
「ところであれは食えるのか?」黒い竜の開きを指さす。
「魔獣は、魔力が毒に変わるから食べられない」ルゥが残念そうに答える。
「じゃあ、あれは?」ギンガが草原の向こう側にいる鹿に似た動物を指す。「ディアン。あれは動物だから食べられる。じゅるるり」ルゥは食いしん坊確定。
ギンガは右手を振った。ディアンの首が飛ぶ。「「えっ?」」ルジェとルゥの目が点になる。
「真空斬」ギンガが歩きながら言う。「血抜きして焼いて食おう」。
獲物の近くまで行くと、肉をさばき始める。
「火は私が着ける」とルジェ。
「魔法使いたいのね。気を付けてよ。ルゥ、水も準備して」これはラン。
「ルゥも初めて。気を付ける」アルが注意する。
問題なく焚火は起きたが、ギンガはそれをじっと見ていた。
捌いた肉に塩だけふり、枝にさして焼き始めた。焼きながらもう一つ火を起こし残りの肉をいぶし始める。
「そっちは何?」よだれを垂らしていたルゥが訪ねる。
「生は日持ちしないから燻製にしているのさ」。
「まだいっぱい残っているよ」。
「もう掃除担当が来ているさ」。
灰色の毛皮が離れたところに見え始めた。「あれはヴルフね。襲ってくるかも」アルがそちらに目を向けて注意を促す。
「群れをつくるやつは自分より圧倒的に強いものには挑んでこない。マジュ粒子によってイカレていない限りはな」。
「そんなことより食べていい?」ルゥは焼けてきた肉にくぎ付けだ。
「あぁ、いいぞ」と言った瞬間、「「「「「「いただきます」」」」」」六人ともかぶりついた。
「なんとまぁ、元気なもんだぜ」ギンガもあきれつつ肉に手を伸ばす。同時にヴルフに目をやると、視線をやわらげ軽くうなずく。
ひときわ大きな漆黒のヴルフが「ガウ」軽くうなり、ディアンに近づく。ギンガがなんの反応もしないのを確認すると、残った臓物にかぶりつく。「ガウ」静かにうなると群れの中から子ヴルフが飛び出してきて獲物を食べ始めた。見守りながら群れのヴルフが序列順に食べ始める。
がっつく六人とヴルフを見比べながら、ギンガは面白がるような笑みを漏らしていた。
六人の初食事後。
「なんか苦しいよぉ」ルゥがお腹をさすりながら訴える。
「食べ過ぎよ!」というルジェも同じだ。
「初めての食事だろ?これから加減をおぼえるんだな」
「「「「「「はーい」」」」」」返事だけは良かった。