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白日  作者: 瑞條浩幹
第一章 始まり
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第七話 探偵

 11時。約束通り、夏は誠介を起こすべく寝室へと向かった。しかし、化粧を施した美しい顔は曇った表情をしている。

 ゆっくりと深呼吸をして、体を揺すって叫んだ。

「誠介!起きて!」

「んだよ……うっせーなー。もうちょい寝かせろよ」

 そういうと誠介は夏に背中を向ける。予想はしていたのか、無言で睨んでいる。やがて軽く首を振ると、一度リビングに戻った。

 そしてすぐに戻って来た。夏の手には邦海の竹刀が握られている。

 夏はもう一度睨んだ後、竹刀を思いっきり誠介の横っ腹に叩きつけた。

「そっちが起こせって言ったんでしょうがぁ!!」

「すいやせんでしたぁ!!」

 極まりが悪そうにそそくさと着替えを済ませる誠介を横目に、する事が無くなった夏は勝手に誠介の勉強机をちらりと見た。そして、鉛筆立て以外特に何も乗っていない殺風景な机の上に白い封筒が置いてあるのを見つけた。

「誠介。これ何?」

 髪を整えていた誠介は、夏が持ち上げた封筒を見て首を傾げた。

「いや……俺も知らないな」

「開けていい?」

 封を開けた後に誠介のほうを向いて聞いた。誠介は一瞬ポカンとしたがすぐに封筒を奪おうと手を伸ばした。

「いやまてまて。ラブレターかもしれねーじゃん」

 こんな冗談を言いながら。

 案の定夏は思いっきり哀れな目で見た後、冷たく言い放つ。

「お前に限ってそれは無い」

 癪に障ったのか言い返そうと誠介が口を開いた途端、玄関のチャイムが鳴った。

  例のお客さんだ。

「あ、はーい。なっちゃん、それ持ってリビング行っといて」

 誠介は夏を置いて玄関へと向かう。夏は封筒の中身をちらりと見てからリビングへと向かった。





「はいはいー。あ、真紀さん」

 誠介はドアを開けると、そこには真紀と、もう一人背の高い男の人がいた。

 ぱっと見身長差カップルにも見える。クラスにいる該当者を思い出して苦笑いした後、家の中へ入るように促した。

「お邪魔しまーす」

 真紀はニコニコ顔で誠介の後についていくが、男性は無言で辺りを見渡している。二番目に奥に位置しているリビングに入ると、そこには盆を持った夏と隣で真紀たちの方をぼんやりと眺めている邦海がいた。どうやら接客の準備をしていたようだ。

 邦海は着替えたのか服が変わっており、Tシャツに半ズボンというラフな格好をしていた。サイズが合っていなくて半そでが七分袖になっている。

「その人が真紀さん?」

 邦海が尋ねてきた。夏から事前に説明をしてもらっていたのか名前は知っていたようだ。誠介が説明しようとしたら、真紀がそれを遮って喋り始めた。

「こんちは、古河真紀です。んでこっちが——」

「高木理音です。探偵やってます」

 真紀が隣にいた男性を指して紹介しようとすると、これまたご本人に遮られた。

「見習いでしょ?まだ大学卒業してないんだから……」

 遮られたのが癪に障ったのか高木の自己紹介に茶々を入れた。その顔はとても楽しそうだ。

「それを言うな、古河。えっと、そちらは?」

 いつもの事なのか軽く流し、高木は邦海と夏を指さして言った。どうやら誠介の事は真紀から聞いていたようだ。

「俺は有間邦海です。剣道部入ってます」

「私は矢口夏です」

 軽くそれぞれの自己紹介を終え、全員でリビングの机を囲むように座った。

「でと……とりあえず何があったか聞いていいかい?ぱっと見友人の失踪以外の何かかも起きてるよね、これ」

 どうやら、玄関についていた無数の足跡のことを言っているようだ。リビングや寝室についてあったものは既に掃除済みで綺麗に無くなっているが、玄関は大丈夫だろうと何も手を付けていなかったようだ。

 しかし、玄関で争ったような足跡がついていたのは事実だ。先程自分の目でも確認した誠介は感心して少し微笑んだ。

「流石ですね……俺がいない間に何かがあったみたいなんです」

「それ……教えてくれるかい?」

 興味深そうに口角を上げ、高木は出されたお茶をゆっくり飲んだ。

 邦海と夏は、ちらりと互いを見た後、ゆっくりと昨夜のことをしゃべり始めた。

とりあえずこれで第一章は終了です。次は人物紹介します。

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