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39.シスコン悪役令嬢、メイドを学ぶ

いつも投稿時間が守れずすみません……

「失礼しました……私、てっきりお二人でナニかしているのかと……」


「いや、スキンシップだから! 決してやましいことではなく!」


 あれから私達のところに来たメイドさんを慌てて呼び戻して、やっとご対面となった。


 というか……


「貴女、学園で会ったわよね? 確か、ミリさんだったっけ」


「お、覚えててくれたんですか!?」


 そう、メイド服を着ているせいで見た目は変わっているが、彼女は私が病気から治った後、学園で初めて関わった人物でもある。


「ここでメイドをしてたの?」


「はい。私の家は長男がいますので、私は花嫁修業も兼ねて王城で働かせてもらっているんです。といっても休日だけなのですが」


「そうだったんだ……」


 トレース家令嬢、ミリ。落ち着いた色のセミロングの黒髪と身長はその年代では少し低いだろうか。あと何気に妹である。


「今日はよろしくね。あ、この子はフィアナよ。私の妹なの」


「フィアナです。今日はよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いしますね!」


 とりあえずお互いに自己紹介を済ませる。聞けば彼女は私達が来ることは知っていて任されたらしい。確かに学園の生徒同士だったら動きやすいだろう。


「でもびっくりしましたよ。まさかバリス様と決闘をするなんて……」


「まぁ成り行きでね。ところでその本人は今日はいないの?」


「バリス様は休日は基本的に街に出てますね。何をしているのかまではわかりませんが」


「へー……」


 私達をメイドにした張本人がいないとは。別に会いたいというわけでもないのだが。


「それで、今日は何をするのかしら」


「えっと、とりあえず一日だけなので基本的に私と一緒に動いてもらう形になりますね。別に難しいことはないので気負わなくて大丈夫です」


 彼女の仕事は基本的に掃除や洗濯、後は王城連中へのお茶の用意などらしい。


「じゃあ行きましょうか!」


 そんなわけで私達の一日メイドが始まった。



#####



 実際のところミリの言う通りそこまで難しいことはなかった。掃除も用具や手順がキチンと用意されているし、洗濯も量があったせいで骨は折れたが難しいわけではない。


「やっぱり洗濯機って偉大だったのね」


 それでも文明の利器の便利さを痛感する。掃除だって掃除機があるだけでもだいぶ違うだろう。


「お姉様、お疲れではないですか?」


 それで今は昼の休憩時間である。ミリは昼食を取りに行くと言って席を外した。

 いつもは違うらしいが今日は城の広い庭にシートを引いてもらっている。さながらピクニックだろうか。


 というわけで今はそこにフィアナと二人きりだ。彼女は意外にも疲れた様子が見えない。単純だったが割りと重労働ではあったはずだが。


「ちょっと疲れたけど大丈夫よ。フィアナこそ大丈夫? 無理してない?」


「私は良く家でやってたので少しは慣れてるんです。結構上手だって誉められてたんですよ」


「へぇ、そうなんだ……」


 フィアナの言うそれは今はない実家のことだ。今はいない両親のことでもあり少し話すのには躊躇いがある。


「ねぇフィアナ?」


「はい?」


「その、ちょっと聞きにくいんだけどさ。私の家に来てからどうかしら。何か不便なこととか、苦労していることとかない?」


 しかし、こういう話の流れでしか聞けないこともある。私の問いにフィアナは少しだけ考える仕草をすると、フルフルと首を横に振った。


「ないですね」


「……ないんだ?」


 遠慮して言った感じではない。フィアナはそのまま続ける。


「勿論、お母さんやお父さんがいないのは寂しいですし、たまに辛いと思うこともありますけど……でも今はエトセリア家の皆がいますし、お姉様やシグネさんも一緒にいてくれるので、大丈夫です!」


「フィアナ……」


 強がりも少しは入っているのだろう。それでもフィアナはハッキリとそう言い切った。何だか言い様のない儚さに感極まって抱きつきそうになったが我慢した。何でも無闇に抱きつくだけでは駄目だ。私だってちゃんと言葉にしないといけない。


「私もフィアナが家に来てくれて毎日凄く楽しいわ。だからね、これからもよろしく」


「は、はい! えっと、こちらこそよろしくお願いします!」


 でも結局フィアナが寄ってきたので健気過ぎて抱き締めてしまった。いや、今のはそういう流れだったと思うしセーフだろう。


「えへへ……」


 最近はこうやって良く甘えてくれるようになったと思う。恐らく元のフィアナの性格がそうなんじゃないかと思う。

 それが最初のうちは塞ぎ込まれていただけではないのだろうか。


「撫でられるの好き?」


「んん、そうですね……お姉様にされるのは好きかもしれません……」


 あー何この可愛い妹! そんな言われたら撫でないわけにはいかないじゃないか!


 そんなわけでイチャイチャしていたせいで昼食を持ってきたミリが入るに入れずしばらく立ち往生させてしまったことは後でしっかりと謝った。

ブックマークや評価、感想などありがとうございます!

40話まで書いたら一度修正や改稿を行う予定です!

次回の投稿は明日の11時頃を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!

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