38.シスコン悪役令嬢、メイドになる
投稿時間が遅れて申し訳ありませんorz
妹属性にメイド属性が組み合わされると、それは即ち最強を意味する。
「やだなに可愛いいい!」
「お、おねえさま、くるしいぃ……」
メイド服は至ってオーソドックスなタイプだが、だからこそ際立っているように見えた。
まあ結局抱きつくだけの理由でしかないんだけど。
「あ、あの?」
イリサさんが困惑した声をあげるが、私の興奮は収まらない。
「どうですかイリサさん! この子私の妹ですよ!!」
「え、ええ、それは存じ上げているのですが……」
柔らかいフィアナの体を存分に堪能していたら、イリサさんが戸惑っていた声を出す。
なんだ、もしかして彼女もフィアナを抱き締めたいのだろうか。悪いがこの席は姉である私専用のプライオリティシートだ。
しかし、そうではなかった。
「その、申し上げにくいのですがフィアナ様が大変なことになっていますが」
「は? って、フィアナ……!?」
「きゅ、うう……」
「わあああああ!? フィアナ大丈夫!?」
いつの間にか腕に抱いていたフィアナはぐったりとなっていた。どうやら愛が行き過ぎたらしい。
「ご、ごめんごめんごめん! つい、暴走しちゃって……」
「い、いえ、全然……大丈夫です、はい」
「何をしているんですか貴女方は……」
慌てて解放したがイリサさんには呆れられてしまった。でも、これに関しては可愛すぎるフィアナにも問題があると言えなくもない。
「そんな無茶苦茶ですよ……」
そう言ったらフィアナにも呆れられてしまった。はぁ、ちょっと自制心を持たないといけないなぁ。
「それにお姉様だって凄く似合ってますよ」
「そうかな……なんか服に引っ張られている感じがするけど」
自分のメイド姿を見てみると馬子にも衣裳っていう感じしかしない。セリーネはスタイルもいいし、金髪のポニーテールだって似合ってなくはない。ただ中身が私っていう事だけが問題だ。
しかし、そんな私の言葉をイリサさんが否定してくれた。
「そんなことはありませんよ。二人ともよくお似合いです。本当の姉妹のように見えますもの」
「そうですか!? 姉妹のように見えます!?」
「え、ええ……」
そう見えるなら悪くはないのかな。フィアナもどこか嬉しそうだし、イリサさんには少し引かれ気味だけどメイドになった価値はあったかもしれない。
「それでは早速ですが、仕事について説明しますね」
ああ、そうだ、こっちが本題だった。見失ってはいけない。
「ただ、私はちょっと他にやることがあるので、他の者にお任せしますね。すみません、グダグダになってしまって」
「いや、着付けまでしっかりやってもらったし、全然大丈夫ですよ」
「そう言って貰えればありがたいです。すぐに他の者を呼んできますのでしばらくお待ち下さい」
イリサさんはそう言って部屋から出て行った。代わりの人って誰だろうか。
「実際にメイドさんって何をするんでしょうね」
待っている間はフィアナと談笑する。
「うーん、掃除とかがメインなのかな。後はお茶菓子を用意したりとか……アイカやシグネみたいな感じかな」
「私、掃除とかなら少しは出来るんですけど、お茶を淹れるのとか出来るでしょうか」
「大丈夫よ。私だってやったことないし、だから一緒に頑張りましょう。今日一日だけだけど」
「そうですね……頑張りましょう!」
張り切ってるフィアナ可愛いなぁ。フリフリと小さく揺れるホワイトブリムも相まって初々しさが堪らない。
思わず撫でたくなって手が少し伸びたが、今回はギリギリ踏みとどまった。流石に自制を覚えないと場所に構わずスキンシップするのはフィアナも困ってしまうだろう。
(綺麗な花を愛でるのに過度な力はいらない。ここは我慢、我慢するのよ!)
しかし、フィアナはそんな思い留まった私の手をジッと見つめていた。その瞳は明らかに物欲しそうな色がついていて、そして彼女自身からも私の理性を薙ぎ払う言葉が襲い掛かってきた。
「な、撫でてくれないんですか……?」
「撫でますううううううううううう!!!」
あっさりと打ち砕かれた理性と湧き出た欲望に従って、フィアナの頭を優しく撫でる。サラサラな髪の感触と、柔らかいホワイトブリムの感触、それにフィアナが目を細めて嬉しそうに撫でられているのを見て、私は我慢することは無理だということを悟ったのであった。
「えへへ……」
何だかこうしているとフィアナは13歳の少女だということを改めて認識する。きっと彼女ぐらいの年頃だったら誰かに甘えていたいと思うこともあるのだろう。
であれば、私がそういう存在になってあげたいと思う。遠慮なんかいらない本当の姉妹のような関係、それが実現出来れば何も思い残すことはない。
「ほら、おいで」
「……はい」
頭を撫でる距離をもう少し縮めて、今度は優しく抱くような姿勢で頭を撫でてあげる。
「~~♪」
フィアナは嬉しそうに撫でられ続けている。いっそこのまま時間が止まってくれれば、そう思った瞬間部屋の扉が唐突に開いた。
「す、すみません。遅れてしまい……まして……?」
そこにいたのはどこかで見覚えのあるような若いメイドさんだった。若いというか私よりも下に見えるような見た目だ。
そんなメイドさんだったが、彼女は私達を見て固まっていた。
そりゃ、部屋の中で抱き合うような姿勢になっていたらそうなるよね。わかるわかる。
「ご、ごめんなさい! お取込み中失礼しましたー!!」
「ま、待って! 違う、違うからぁ!!」
やっぱり場所と時間ぐらいは気に掛けるようにしよう。そう心の中で決心した。
ブックマークや評価、感想などありがとうございます!
次回の投稿は明日の11時頃を予定しております!
どうぞよろしくお願いいたします!




