37.シスコン悪役令嬢、メイドになった妹を見る
投稿時間が遅れて申し訳ありませんでしたorz
そんなこんなでその日は王城から解放された。
その帰りの馬車の中で私はフィアナと話していた。
「フィアナ……本当にやる気なの? メイドの仕事って結構大変かもよ?」
「きっかけは私ですし、それにセリーネお姉様一人に責任を取ってもらうなんて私には出来ません」
んー、いい子だ! 欲に従うならメイド姿に身を包む彼女は見てみたいし、私一人で王城に行くよりはずっと気が楽になるとは思う。
バリスもイリサさんも、フィアナの件に関してはこちらで決めていいとも言ってくれた。
「じゃあ、家に帰って今日の報告するついでに聞いてみましょう。でもお母様やお父様がダメだって言ったらその時は諦めてね」
「……わかりました」
微妙な間があったがとりあえずそれで納得してくれたらしい。
(楽しみな反面、ちょっと不安もあるわね……)
何よりフィアナの心配だけをしている場合ではない。私もまた、メイド未経験なんだから。
今回のそれは、メイド喫茶などというお店ではなく本物のメイド。そして日本の便利な機械が無いこの世界の家事全般が出来るかどうかは、やってみなきゃわからないレベルだ。
そんな事を考えながら家に帰った私達は、夜に一家が揃ってから今日あったことをフィアナの事も含めて報告した。
フィアナは張り切ってメイド体験をしたいと言ったが、もめるかと思いきや意外にも両親はあっさり許可をくれた。
「そういう経験も貴重だろうし、何よりやりたいことを意味もなく否定したりはしない。ただ、王城で働くんだから絶対に粗相はないようにすること、いいな?」
「は、はい! ありがとうございます!」
わぁ、フィアナ嬉しそう。そんなにメイドさんになりたかったのか。
「頑張りましょうね! セリーネお姉様!」
「う、うん。がんばろー?」
にしては喜びすぎな様な気もするが……
それから休日まではあっという間であった。
学園ではフィアナの周囲の様子は大体ゲーム通りだった。
魔法院に魔力の適性を認められた彼女には、途端に将来の立場的な価値が生まれてしまった為に、目ざとい生徒は何とかコネを作ろうと今まで避けていたり蔑んでいた者達ですらも、手の平をグルングルンさせながらお近づきになろうとしてくるのだ。
ゲーム内でもそういう描写はあったが、実際に昼食の迎えに行ったときに囲まれて慌てているフィアナを見てだいぶうんざりすることになった。
フィアナは優しい子でもあり、それでいて少し気が弱い。例え相手が含みを持って近づいてきたとわかっても、それを強く拒絶するようなことは出来ない子だ。
(まだ当分あの感じは続きそうね……)
昼休みの時は私が割って入ってフィアナを無理くり連れ出して事なきを得たのだが、出来るだけ早く沈静化して欲しいものだ。
ちなみに一緒に昼食を食べるアクシアはかなりゲッソリとしていた。フィアナと一緒に食事をとる友人という認識らしく、彼女にもフィアナの情報欲しさに突撃する人がいたらしい。こっちが悪いわけではないけど、食事中元気がなくて少し可哀そうだった。いつか埋め合わせをしよう、うん。
(とにかく今日は気持ちを切り替えなきゃ。何が何でもフィアナの姿を出来るだけ心に記憶しておかないといけないんだから!)
そんなわけでたった今、私は王城にある更衣室のような場所で人知れず決意を固めていた。
日本でいう土曜日、事前の告知通り朝方に馬車の迎えがエトセリア家の門を叩いた。それからすぐに移動した私達はイリサさんに連れられてまずは着替えという流れになったのだ。
「しっかしまぁ、やっぱり王城だからこんな良いメイド服なのかしら」
イリサさんは最初の着替えだけ担当して、後は溜まっている仕事に取り掛かるらしい。バリスの言う通り中々休みなく仕事をしているようで、確かにそれを受けると働き手不足な感じは否めない。
しかし、申し訳ないが今はそれよりも自分の着ているメイド服の方が気になった。
「実際セリーネの姿で着てみると、中々様になっているんじゃないかしら?」
今日はいつもの髪形ではなく、長い金髪をサラッとストレートに伸ばしたのをポニーテールにしてまとめている。これなら掃除する時も邪魔にはならないだろう。
「これを着れるだけでも価値ありそうだけどなー」
明らかに質の良いメイド服を触って確認する。我が家にいるメイド、アイカやシグネのメイド服を触ったこともあるが、それよりも明らかに材質が良い。
しばらく、クルクル回ってスカートを広げたり、鏡の前でポーズを取ったりしていると、漸く今日の(私にとっての)主役が準備できたらしく、仕切りの中から二人の声が聞こえてきた。
「こ、これで大丈夫なんですか?」
「ええ、とってもお似合いですよ」
私が着替えた後は、順番でフィアナが着替える番だった。彼女は髪を弄る必要がない分、私よりは準備完了までは早かったようだ。
しかし、中々出てこないなと思っていたら……
「あ、あのセリーネお姉様。おかしくても笑わないでくださいね……」
奥からそんな恥ずかしそうな声が聞こえてきた。メイドになりたがっているように見えた彼女だがここにきて恥ずかしくなったのだろうか。
「フィアナだったら何を着ても似合うわよ。さぁ、早く見せて頂戴! 早く!」
「じゃ、じゃあ、そっちに行きますね……」
そしてやっと仕切りが開かれた。そして、その中には……
「どうでしょうか……変なところありませんか?」
金髪のショートはいつも通り綺麗に整えられており、そこにホワイトブリムが完璧なバランスで合わさっていた。メイド服も彼女用のサイズピッタシで、元から身長が高い方ではないフィアナが着ると、幼さが残ったメイドさんという雰囲気で……なんかもう正直辛抱出来なかった。
「きゃあああ、かわいいいいい!!」
「ひゃあっ!? お、お姉様!?」
だから飛びついて抱き着いてひたすらスリスリと愛でちゃうのはしょうがないというものだった。
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