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29.シスコン悪役令嬢、決闘を終えて

5/1

魔法省を魔法院に修正しました。

 魔法覚醒イベントというものがゲームでは用意されている。バリスルート限定で、学園に獰猛なモンスターが侵入してくる事件が事の発端となる。


 そのイベントでは、バリスはフィアナと共に学園を守るべく迎撃に出るのだが、その途中で逃げ遅れた生徒を庇ってしまいバリスは怪我を負ってしまう。それで動けなくなってしまった彼にモンスターが襲い掛かった瞬間、フィアナは覚醒するのだ。


 フィアナは元から風属性の魔法を使えたがその適性は一般的なレベルだった。しかし、実はその体の中に物凄く強力な魔力を秘めていたのだ。それがバリスを救おうとして覚醒するのだ。


 それから、彼女の評価や評判はその日を境にガラッと変わることになり、国の中でも稀有な能力を持つ風魔法使いになるのである。

 それで今まで彼女を蔑んでいた周囲の目線は一変する。所謂手の平返しというやつだが、学園の皆から遂に認められた彼女は、その恋も急激に発展していくことになる。


 というのがゲームの中盤ぐらいに起こるイベントの筈だったんだけどなぁ。


「はぁ……」


 現在、私はだいぶ見慣れた自室のベッドに横になっている。魔力切れによってぶっ倒れた私は、風に切り裂かれて崩れゆく氷の壁を前に気を失った。その後、一度医務室に連れていかれて診察を受けた後、そのまま実家に送還されたわけである。

 ちなみに診断したのは、熱を出した時にもお世話になったアクシアの兄のフレイド先生だ。


「それにしたって、あんな怒らなくてもいいじゃん……」


 特に体に異常はなく、ただ魔力切れと疲労が重なって倒れただけと診断を受けた私は、両親からとんでもない量の説教を受けることになった。


 何があったのか事細かに説明を受けた両親は、強い言葉遣いではないもののじっくりゆっくりとエトセリア家の令嬢であることの自覚だとか、周りからの目線だとか、そういう貴族的立ち振る舞いを説教に乗せて私に伝えた。


 それが私を心配してだってということはわかるし、それに反省していないわけじゃない。


「ちょっと暴走しすぎたなぁ」


 こうしてベッドに寝ることになって初めて冷静になれたというか、よくよく考えれば中々とんでもないことをしてしまったことに気が付く。


 まず王族相手に喧嘩を売ったことがやばい。たぶんこの世界では前代未聞の事態だろう。いくら私が公爵家令嬢だったとしてもそれはあっさり許される行為ではない。バリスという人間はあまり貴族的立場を気にしない性格だから決闘することになったが、これが別人物──例えばアランだったらどうなっていただろうか。


「あまりにも迂闊だったかなぁ」


 両親から言われた言葉にもあったが、私は公爵家令嬢という立場のある人物だ。貴族は人々の規範とならなければならない存在であるが、今回の私は完全に自分勝手な暴走列車だったと思う。


 確かにフィアナを助けたいという一心ではあったが、果たしてそれが彼女の為になるのかというのも今になっては怪しい。寧ろ、場合によっては彼女の立場を悪くする可能性だってあったかもしれない。


「…………はぁ」


 何だかバカやっちゃったな、と思って深いため息をついたら横から間延びした声が掛かった。


「珍しく落ち込んでますねー」


「いや、まぁ、私だって落ち込むときは落ち込みますよ、ええ……」


 その声の主は私のベッドの横で椅子に座っているアイカだった。彼女は私の体調が崩れたりしないか、後は変なことをしようとしないかという看病と監視の任務についていた。


 ちなみにアイカは珍しく眼鏡を掛けて本を読んでいる。そういう姿を見るとゆるふわなメイドさんから知的メイドにガラッと雰囲気が変わるから不思議だ。


 彼女は本を読んだまま私に尋ねる。


「何か食べますー? といっても果物しかないですけど」


「……林檎食べたい」


「いいですよー。でも起きて食べてくださいねぇ」


 アイカはいつものんびりしたメイドさんだが、その雰囲気に似合わずかなり器用だ。私の髪のセットだって毎日彼女が行うぐらいなのだ。

 そんなアイカは読んでいた本を閉じると、すぐに苦も無く林檎を綺麗に四等分にして、そのうちの一つを渡してくれる。


「うさぎさん……」


 ただ、わざわざ林檎の皮をうさぎにしてきたのは彼女らしい天然なのだろうか。


「ねぇ、アイカ」


 そんな林檎をシャクシャクと食べながらアイカを呼ぶ。


「はいー?」


「フィアナ、大丈夫かなぁ」


 そして、私はさっきからずっと第一に心配だったことを口にした。


 そう、実はフィアナは今、この家にいない。


「大丈夫ですよ。何せシグネがついてますから。心配無用です」


「そう、だよね……」


 私の危機にフィアナが覚醒し魔法を使った時に、とんでもない魔力が放出された。それを察知した学園の教師が慌てて飛んできたのが始まりだ。


 事情を聴いた教師たちは、一応フィアナは魔法を専門としている組織で検査を受けるように指示を出したのである。いきなり強烈な魔力を放ってしまい、体に異常が出ることもあるらしく、それを確かめるらしい。


 そして、その検査が出来る組織は魔法院と呼ばれており、魔法のエキスパート達が日夜研究をしている組織らしい。そこでフィアナの身体に異常が起きていないか調べるということだ。


 検査時間は結果も含めて一日掛かるらしいので、フィアナは今この家にいないというわけである。ちなみにアイカの言う通りシグネが付き添いとして出張している。まぁ、彼女がいれば確かに大丈夫だろうがそれでも心配は心配だ。


「いくら心配してもしょうがないですよー。明日帰ってくるまでじっくり休んで待ちましょう」


「……うん、そうだね。ごめん」


 確かに今はどうしようもない。林檎を食べた私はそのまま再びベッドに横になった。すると、アイカは再び本を手に取りそれを読み始めた。


 静かな室内にはたまに本のページをめくる音だけが響き、それが子守歌になったのか、私は疲れも溜まっていたせいでいつの間にか眠りについていた。

ブックマークや評価、感想などありがとうございます!


いつも誤字報告も本当にありがとうございます! ミスが多くて本当に申し訳ありません。


次回は明日の24時ぐらいを予定しております。どうぞよろしくお願いします!


※私事ですが、色々と忙く執筆の時間がとれないため次回の更新を5/1の10時に致します。

突然の変更申し訳ありませんorz

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