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3.異世界の説明

バイトから帰って、茜にそのことを話す。

高校1年生で学年は一緒だが、クラスは茜とは違う。その茜のクラスでも、夢の話題で盛り上がったようだ。


茜も俺と同じで、ワクワクしているようだ。

それはそうだろう。普通に考えて、学校中が似たようなリアルな夢を同時に見るわけがない。そして、なぜか不自然な記憶のぼやけ。これは何かある。


俺たちは勘が当たる方だ。その二人が言っているのだから、可能性は高いと言える。



モヤがかかって思い出せない夢の内容。ただし、手がかりは俺のスマホにある。


[イガネオ]


メモ帳にメモした、という記憶は当然のように残っており、それを今開いたのである。

その文字を見た途端、思い出した。夢の内容を。


こうなると、もはや、夢を思い出させにくくするような何かしらの力、が働いていたとしか思えない。



まあとにかく、寝る前に[イガネオ]と唱える。これで全て明らかになるだろう。



寝る直前、おれと茜は声を合わせて言った。

「「イガネオ」」


そして眠りについた。



ーーーーーーーーーー



「よく来てくれた。二人とも。ではまずこの資料を渡そう。あとは、簡単に異世界の説明をしておこうかの。」


俺の隣には茜がいて、目の前には白髪の長い髪の毛をした、お爺さんがいた。このお爺さんが、自称神さまである。



「へー、やっぱり本物だったんだな。」

俺は言った。

「うん、なんか起きそうな気はしてたよね〜。」

茜も普段通りの穏やかな喋り方でそう答えた。



「ほっほっ。お主たち、もっと驚くとか、ここはどこだーとか、ないのかの?」


「うん、興味はあるけど、多分あんたが本当に神さまなら、俺たちには理解の及ばない能力を使っている筈だ。そこを聞くことは本質的ではないと思った。そんなことより、異世界について教えてもらいたい。」



俺の興味は、もはや次に移っていた。次というのは、俺たちが転移することになる異世界のことである。情報が多いに越したことはない。


これだけのものを見せられて、ただの偶然と思うのは逆におかしい。とりあえず信じて行動してみることが現時点における最善であるという確信があった。



「こんなに落ち着いていて、状況判断の早い若者もおるのじゃなぁ。おもしろいのぉ。では早速説明しようかの。」



神さまによると、俺たちが行くことになる異世界はだいたい、こんな感じらしい。


1.ファンタジーの世界で、インタレストワールドと呼ばれている。モンスターや魔物が存在し、魔法が使えて、冒険者や騎士などの職業がある。



2.長年、人類と魔王軍が対立してきたが、少しずつ魔王軍が勢力をのばしてきており、このままだと人類が危うい。そこで勇者として他の世界から人間側の戦力を送り込む大魔術が行われた。


3.この世界では、一生に一度だけ、{成長期間}というのが与えられている。15から18歳までの間に発動させる魔法であり、


この魔法を使うと、{ダンジョン}という場所に飛ばされる。この、{ダンジョン}では、肉体が老いることはなく、1年間がインタレストワールドにおける1日となる。また、モンスターなどを倒した時に得られる経験値がとても多い。

{成長期間}とはつまり、{ダンジョン}において1年間過ごすことである。1年が経過すると自動的にインタレストワールドに戻ってくる。このとき、実際には1日しか経っていないということである。


さらに、もし{ダンジョン}において死んだとしても、いくらでも復活できる。ただし経験値ペナルティがある。



これらの仕組みは、弱い人間を強くするために作られたものだ。要するに神さまによる工夫である。



「ついてこれておるかの?結構複雑じゃろ?」

俺たちの顔を覗き込みながら、神さまは言った。


「ん?どこが?今のところ大丈夫だぞ。」


隣をみると、茜も平然とした顔をしている。


俺たちはゲームや漫画、アニメなどが好きだし、頭を使う遊びも大好きだ。だからあのくらいの説明なら余裕で理解できる。



「でさ、神様。俺たちにその{成長期間}について詳しく話すってことはさ、つまり俺たちもダンジョンに行けるってことだよな?」


「ほっほっ。察しがいいのぉ。その通りじゃ。学校の生徒たちに無断で転移させるのも可愛そうかと思っての、夢でお告げをしてやったんじゃ。それなのに無視する人間は、、、放置じゃ。ほっほっ。」


「随分と勝手だなぁ、神さま。もうちょっと親切に教えてやるべきじゃないのか?」



「ほっほっ。そう思うのなら、お主たちがほかのみんなに教えてやればよいではないかの?」


「まあ、たしかにそうだな。だが、俺はべつに茜以外の人間には興味が無いし、そもそも言ったところで信じてもらえない。俺たちは俺たちで頑張っていくよ。今までもこれからも。」



「ほっほっ。好きにするがよい。それとな、転移は1週間後じゃ。お主たちは特別で、それまでずっと{ダンジョン}にいてもよいぞ。7年もいるなんて集中力がもたんと思うがの。」



「それはありがたい。俺たちが一緒なら7年なんて余裕だよ。あ、ちなみにほかの学校のやつらはどうなるんだ?流石に{ダンジョン}での成長無しに転移したところで、戦力にならないと思うのだが。」


「それは問題無いのじゃ。転移後すぐに{ダンジョン}に全員送る上、特別にワシから、ユニークスキルを授けるのじゃ。しかも自分で選ばせてやるのじゃよ。その状態で{ダンジョン}に行けば、さらに効率良く成長できるじゃろ?」



「なるほど、たしかにそうだな。逆に言えば、それ以上の加護は世界のバランスを崩すといったところかな? まあいいや。そのユニークスキルの一覧はこの資料に乗ってるな。この中から選べばいいのか。よし、{ダンジョン}でじっくり選ぼう。神さま、もう今すぐ{ダンジョン}に送ってくれ。」



「・・・お主、本当に16歳かの?怖くないんか?普通ならもっとあたふたすると思うのじゃが。」



「こうしている時間ももったいないくらいだよ。{ダンジョン}で得られる経験値の量は、インタレストワールドで得られる経験値とは比べものにならないくらいすごいんだろ?なら、一瞬でも早く行きたいと思うのが普通だろ?」


「お主、変わり者じゃの。分かった。では飛ばすぞ。2人だけのための{ダンジョン}じゃ。普通はもっと大人数でパーティーを組んで、{成長期間}に臨むのじゃが、、、本当にいいのかの?これから7年間は戻れないんじゃぞ?」



「ああ、むしろほかのやつらがいても邪魔だ。信用出来ないやつと組む気はないよ。少なくとも、最強と呼べるほど俺たちが強くなるまではな。」


「ほっほっ。おもしろいのぉ。ではいくのじゃ。」



こうして、俺と茜は{ダンジョン}に飛ばされた。

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