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復活の時  作者: 第三群二十一隊
9/21

なのだ少女と南極へ

 私が物語を、小説を書けるのか少し心配だったが何故か書けてしまった。

 それにマリの挿絵と合わせて結構な評判となり、少しづつだけどお金が溜まる様になっていった。

 やはりまだ人間たちを思うマジンがまだ大勢いる、と思いたいな。


 そして又十年の月日が流れ、流れてしまったの。私だって早く見つけに行きたかった、でも私の稼ぎでは十年掛けないと十分なエネルギーが買えなかったの。

 そして私はあの日確かにテレビでユーヤを見た。

 偶然かも知れないがそこは私がメイド達の戦闘を見た場所の案外近くだった。

 私とマリは情報を集めるために近くの町の入口へと降り立つ。

 入り口と言っても門や壁があるわけでは無い、ただ凸凹の道が石畳に変わり両側に石の家が建ち並んでいるだけだ。


「姉さん、やはり白い防寒着を着たメイド達がー」

「ええ、上空からも見えてたけどウジャウジャ居るわね。何事?」


 私達マジン用に改築された家や道路に溢れんばかりにごった返している。


「近くに数体マジンがいるニャ、聞いてみるニャ」


 タマはそう言うが、けどこちらが声を掛ける前に向こうからー。


「あんたら旅行かい? 大変な時に来ちゃったねぇ」


 森の中から何体かの工事用マジンが現れて声を掛けて来た。この声は近所のおばちゃん設定?


「ええ、これはどうしたんですか? こんなに集まってくるなんて」


 マリが対応してくれた。すると農業用らしいマジンが。


「ああ、こっちもいい迷惑なんだよ。これじゃあ町へ入れねえ、なんでも食料庫に人間が現れたって誰かがメイドにチクッタそうなんだ」

「人間! どんな人間だったの? 歳は、格好は?」


 私が詰め寄るとー。


「ち、ちょっと待ってくれ。俺が見た訳じゃないんだから……、わかんねぇよ」

「そ、そうよね、ごめんなさい」


 落ち込む私に別の調理師マジンが。


「俺が聞いた話じゃその人間はまだ子供だったって聞いたぞ」

「えっ! 子供!? やっぱりー」

「どうします? 姉さん。私のセンサーなら半径百メートルに人が居たら関知出来るとと思います」

「でもこんな大勢メイドが居たらー、何とかメイド達をここから……、」


気が向かないみたいにマリがゆっくり手を上げた。


「姉さん、もしよければ……」

「なにマリ、もしかしていい作戦があるの?」 

「はい、でもこの作戦は危険です。特に姉さんが……」


 そうか、マリは私を心配して。


「大丈夫、私は丈夫だけが取り柄なの。だから聞かせてその作戦!」

「はい、ではー。姉さんは人間の子供型のロボットになれますよね? だからー」

「ち、ちょっと待って、なんでその事を知ってるの? 話したこと無いはずよ」

「え、えーと、覚えてませんか? 去年の忘年会」

「あの時は凄かったニャ・・・・・・」


 タマ、何が凄かったの? マリも意外という感じで頭を傾げる。


「去年の忘年会? 作家仲間と編集者さんとの?」

「そうそれです、あの時のかくし芸大会でいろんなロボットに変身したじゃないですか」

「えええつ! そんなことー、したのかな? 確かぁあの時はー、あ、覚えてないや」

「……ですから、あれほど新しく開発されたお酒は取り込まない方が良いって言ったのに」


 あー、あの時は私達マジンが飲めると言うか、頭部から液体を掛けると表面装甲から吸収されて酔うことが出来る新種のお酒が開発されたので、正に浴びる様に飲んだっけ。


「そ、それはこっちに、置いといて。作戦を説明してくれる?」

「はい、まず見通しの良い広い農業地帯へ行きます。出来るだけ姉さんは町から離れて下さい、何とか町から見える程度に。そしたら私が大声を出してメイド達を集めます、姉さんに気付いたメイド達は姉さんを追いかけるでしょう。そのすきに私が町に入って人を探知して匿います」

「ニャーも協力するニャ」

「なるほど、私はできるだけメイド達を引きつければいいんだね?」

「はい、でも無理はしないで下さい。危なくなったら直ぐにマジンに戻って下さいね」

「ええ、じゃあ人が見つからないうちに移動しましょうか」

「はい」


「タマ、マリの操縦席に移って」

「了解ニャ」


 私がフン! と気張ると全身が光り始め見る見る縮んでいでー。

 私は少女型のロボットになる、緑のロングヘアーにモスグリーンのワンピース。自分でもなかなか可愛いと思っているのよ。


「よし、準備はオーケー……」

「どうしました姉さん」


 両手を見つめ黙り込んだ私にマリが声を掛けた。


「あ、いや、大型のレーザー銃でもあればだいぶ時間が稼げるのになぁと思ってね。電源は勿論私の残り少ないエネルギーから」

「えっ! エネルギーが少ないのですか? だったら直ぐに交換をー」

「……無駄です、私の電池は完全埋め込み式なんです」

「な、何を言っているのですか姉さん」

「あ、ごめん。つい」


 なーんかこのセリフ言いたくなったのよねぇ。あ、タマがジト目で私を見てる」


「いきますよ、姉さん」

「うん、どぉーーんと来い!」

「じゃ……」


 マリは胸を張り、内部スピーカーをガチャン! と外部へと飛び出て来た。

 おおっ! 背中にそんなオプションがー、あ、以前いたなぁこんなの付けて俺の歌を聞け―! って暴れるマジンが。と思ってたらー。


「人だーーーーー! 人間が、居たぞーーーー!」


 マリの大声はビリビリトボディと空気を震わせ、小さな町中にその声を響かせた。

 町中のメイド達の目が一斉にこちらを向くのが分かる。うわ、なんかゾワッとする。

 大丈夫かなぁ、タマが泡噴いて倒れてるけど。でも今はー。


「き、キャー、み、見つかっちゃったー」


 私はわざと目立つように麦畑を走り出す。


「姉さん! 気を付けて」

「うん、後を頼むよ。必ず人を見つけ出してー」

「はい」


 マリと離れるといきなり銃弾が私の真横を通り過ぎた!

 うわ! 正確に撃って来た、ヒエ、手榴弾も転がって来た! 痛い痛い! 爆風や弾丸に跳ね飛ばされて転げまわる。いくらバリアーがあるとはいってもこれはキツイ。


「うっひゃあああああ!」


 ドカドカドカ、バッカン!

 数十の爆発に巻き込まれ私は宙を舞う。

 吹き飛ばされながら町の方を見ると、メイド達がワラワラと私の方へと走り寄って来るのが見えた。よし、もっと、もっと付いて来い。


「あー! また右腕が取れちゃったー。回収回収っと、あー、止めて右腕がー」


 吹き飛ばされた右腕を空中で掴み取り、また走り出す。そうだ、その調子で付いて来い!


「うぁあああ! ごめんなさい、冗談ですぅ。止めてー」


 弾丸をできるだけ避けてるけど、爆風で転げまわる。

 元に戻るタイミングがー、でも出来るだけ逃げ回らないとー。ワキャア! マリ、頼んだわよ。


 その後、何とか作戦は成功してマリが町はずれの納屋で藁にうずもれて眠っていた子供を見つけ保護した。

元の姿に戻り、ボロボロになった機体で待ち合わせの空港へたどり着くのに三日かかってしまった。

 空港に常駐しているメイドがいつもより全然少ない、皆私を探しているのかな? でもこれでユーヤと安全に会える! と、思ったのだが……。


「クミは南極へ行くのだ! もしかしてお前がミーナなのか? かぁちゃんが言ってたことは本当だったのだ!」


 開口一番にユーヤにそっくりな少女はこうのたまった。

 そう、この子は女の子。物心ついた時からお母さんと数名の青い髪のメイドしかいなかったそうだ。

 お母さんは一年前に……、そのお母さんが言っていたのは。


「これは私のお爺さんが言ってたのだ、少し抜けているがミーナという強くて優しいマジンが必ず助けに来てくれる、それまで生き延びるのだ。ってぇ言ってたのだ!」


 ユーヤ……、抜けているだけ余計よ。間に合わなくてごめんなさい。でも、あなたの曾孫のクミは私が確り守るから、絶対。

 それにしてもあの青い髪のメイドは人を守るという噂は本当だった、それ以上に驚いたのがメイドの寿命よね、クミが青髪のメイドから聞かされたことによると、なんと百年近く姿が変わらないメイドにも寿命があった。全然老いたり死んだりしないので不死身だと思ってたら、個体差があるがだいたい百年で白い泡になってしまうらしい。


「ううっ、クミと一緒に大きな洞窟で暮らしてたペリーヌもフローネもみんな泡になったのだ、最後に残ったアン姉が、クミはここから出るべきだと言ったのだ……、あの時」



「アン姉も一緒なら何処でも行くのだ!」

「クミ様、それはもう無理なの。メイドが減る今がチャンスなの、ザブンさんに乗って南極を目指すの」

「嫌なのだ、ザブンは故障して動けないのだ」

「大丈夫なの、人型にはなれないけど車として動けるの」

「なぜなのだ? もうクミには、クミにはアン姉しかー」

「ごめんなさいなの、もう私はクミ様を守ってあげられないの。ザブンさんが南極に対メイド兵器があると言っているの、クミ様はそこでその兵器を起動させるの、そして私達メイドを全滅させてー、そしてご主人様とお嬢様を……。

 あぁクミ様ー、再生の復活の時は迫っています。急がないと又私達は生み出されます」


「その後、あーハグ、モグモグゴクン。アン姉も泡になって消えたのだ。だから、ングングッハー! だからクミはアン姉達が拾って来たザブンに乗って山を下りたのだ。美味しいのだ、もう無いのだ?」


 マリに引かれて飛ぶ私の操縦席でクミは携帯食料五人分を食べ、ジュースを飲み干しながら今までの事を話してくれた。

 タマはクミに玩具にされるのでマリの所へ逃げている。


「ごめんクミちゃんもう無いの」

「そうか、うん、腹八分目が体には良いのだ」


 クミは明るく言ったが、何か物足りなそうだな。


「クミちゃん、ザブンさんはどうしたの? 一緒じやなかったよね」


 ワイヤーを伝って聞いていたマリが聞いてきた。


「うん・・・・・・、ザブンはクミを逃がすために自爆したのだ」

「そう、でもザブンは大丈夫だよ。自爆ぐらいじゃコアは壊れないから」


 私がそう言うとクミはパァッと笑顔になり。


「えっ、そうなのだ? 良かったのだ」

「それよりそのご主人様とお嬢様ってえのが気になるわね」

「はい、姉さん。都合良く青い髪のメイドが何処かに居れば良いのですが」

「それよりマリニャン、クミが持っていたチップの解析は終わったのかニャ」


 クミは南極にある基地の情報を持たされていた。


「ええ、だいぶ破損していたのですが基地の場所は読み取ることができました、ただー」

「何か問題があるのかニャ?」

「はい、対メイド用兵器のデーターがほとんど読み取れません。読み取れるのはー」

「読み取れるのは?」

「ユウコと言う名前と、金髪バニーガールという文字だけです」

「・・・・・・なんか、悪い予感がする」

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