分岐生命4 欠片02
『「分岐生命四番」記録されない世界の話2』
建物から落とされそうになっている旅人が目の前にいた。
旅人は銃を構えて、誰かへと向けている。
そしてその旅人の近くに立つ少女は、その首に縄をくくられていて、屈強な男たちに両側から抑え込まれて身動きを封じられている。
少女の首の縄は旅人の手首にある縄に繋がっている。
旅人が建物から落ちたら、男達に身動きを抑え込まれている少女の首は締まるか折れるかするだろう。
そんな縄で繋がった両者を見るのは、旅人に銃を向けられているひとりの少女。
彼女は楽しげに口を開いた。
「私のゲームは気に入ってくれた? 選ばせてあげるよ。まず一つ……貴方のポケットにナイフを入れてあげたから、銃を捨ててそのナイフで自分の縄を切ってそこから飛び降りる。そして二つ……絶対に私に当てられれない銃を撃って、私に突き落とされて二人で死ぬか。そして三つ。そこの子が自ら死ぬように貴方が言って、足手まといを減らしたうえで、私と戦闘するか」
赤紙の少女は言った。
旅人が死ぬか。
旅人と少女が死ぬか。
少女だけが死ぬか。
どれか一つを選べ、と。
旅人は口を開く。
「お前は自分の世界を取り戻したかったんじゃなかったのか。その為に、俺に協力して欲しいんじゃなかったのか。だましていたのか」
「嘘は言ってないよ。それは本当、でも気が変わっただけ。だから、このゲームで死んで」
「狂ってる」
「お互い様だよ?」
微笑む赤髪の少女に向けて、旅人は選択した。
自分一人が死ぬことを。
赤髪の少女はそれを予想していたようだった。
「次は上手くいくといいね。私の事とか忘れないで、正気でいられるといいね」
旅人は銃を落とし、ナイフで縄を切って建物から落ちていく。
少女が手を伸ばすが、その手はまったく届きはしなかった。




