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メンタルブレイクしても大丈夫だよ、という方はどうぞ。
「いない人」
織香ちゃんが死んでしまった。
織香ちゃんはお姉ちゃんだ。
本当のお姉ちゃんじゃないけど、あたしのお姉ちゃんになってくれた人で、家族になってくれた人。
だけど、病気をしてたからそれに負けて死んでしまったのだ。
あたしは、とても悲しかった。
織香ちゃんとは、最後に病室にあって次にオセロ持ってくるって言って別れてそれっきりだった。
ちょっとだけ口ケンカもしちゃったりして、それが最後だった。
もっともっとたくさん話したかったし、遊んで欲しかったのに。
もういない。
どこにもいないんだ。
けど、そんなあたしよりもお母さんとお父さんはもっともっと悲しかったと思う。
だって、あたしよりもずっと二人はずっと織香ちゃんと過ごしたたんだから。
二人は毎日悲しそうにしてて、辛そうであたしはどうすれば良いのか分からなかった。
その日も学校に登校して一日中「どうしよう」って考えてたけど、元気を出してもらう良い方法は思い浮かばなかった。
登校時間になると、あたしは悲しくなる。
だっていつも何も思いつかないから。
何もできないから。
何であたしは人を不幸にするばっかりで、何もできないんだろう。
あたしを生んでくれた本当のお母さんたちもお父さんたちも、あたしがいると不幸になるから捨てたんだよね。
友達なんかじゃないけど、よく会う砂粒も私というと「気分悪い」とか「面倒くさい」とか言ってくるし。
そんな風に考え事してたから、ゆっくり歩きながら帰ろうとしてたあたしは、土砂降りの雨が降って来て、途中で何度も雨宿りする事になった。
いつもより時間をかけて家に帰る。
「お母さん、ただいま……」
だけど、いつもならいるお母さんの靴が無かった。
買い物に行ってるか、あたしのいる学校に傘を届ける為に入れ違いになってしまったのかもしれない。
そうだったら申し訳ないなって思いながら、あたしは玄関を上げっていった。
お仕事が早く終わったのか分からないけど、お父さんの靴があった。
でもその事をあたしは特別不思議には思わない。
ここの所元気がないから、よくお父さんは早く家に帰って来る事があったからだ。
けどおかしいなと思ったのは、物々しい音がリビングの方から聞こえてきたから。
「お父さん?」
私はリビングへと向かっていく。
リビングが散らかってた。
何かを急いで探し回ってたような、そんな後だ。
そこで、目にしたものは、真っ赤な血に染まって倒れている知らない男の人と、何か大きなものを持って振り上げているお父さんの背中だった。
そのお父さんが振り返って私を見て…・…。
「誰だ……!」
怖い顔をしてこっちを見た。
たぶん視線があうよりもその行動は早かったと思う。
お父さんは持っていた何かをこっちに振り上げた。
私は頭に何かの衝撃を受けて、直後気を失ってしまった。