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最下位の優等生  作者: 月乃ゑ 浩二/天鵞絨
第1章 フェスタリアン学園
6/6

6話 チームその1

よくわからない表現はスルーしてください

昨日はひどい目にあったな。俺はそんなことを考えていた。結局、光加護(プロテクト)が数時間解除できずレイシアに迷惑をかけてしまった。今登校中だがこのペースだと朝礼まで10分前ぐらいに着くだろう。呑気に歩いていると後ろから肩を叩かれた。一瞬背後を警戒したが聞きなれた声が聞こえたので警戒を解いた。


「おはよー」

俺は疲れたように言った。


「なんだよ。琴音か脅かすなよ」


俺は朝に弱いので朝にこのようなことをされるのはとても困る。それよりチームのメンバーがあと二人足りない。どうしたものか。


「ねぇ茂雄、今日また転校生来るらしいよ」


「そうか。じゃあその子をチームに誘おうかな」


「へ?」

琴音は不意をつかれたのか変な声を上げた。


「俺今なんか変なこと言った?」


「いやいやいや急にチームに誘うとか普通思いつかないでしょう」


琴音はため息混じりの呆れた声を出した。そうこうしているうちに学校に着いた。下駄箱に外履きを入れて内履きを取り出し、地面に落とした。すると隣の下駄箱からすごい物音がした。ドン!


「え、なに?」琴音はいまいち状況が掴めず呆然と立ち尽くしていた。


「ん?」


俺は音がした場所へ向かった。すると目の前には、腰にかかるほどの金色の髪の毛の少女が倒れていた。声を掛けようか迷っていると彼女が動き始めた。


「いてててて」


彼女はよろけながらその場に立った。彼女はとても可愛いかった。金色の髪に深い青色の双眸を持っている彼女に優しい声で話しかけてみた。


「大丈夫か?」


彼女は周囲を見て誰もいないことから自分に指を差し私?と聞いているように見えた。


「うん。君しかいないし。あとさっき、隣から大きな音がしてきたけどどうしたの?」


「転んでしまいました」


彼女は笑いながらそう答えた。その笑い方は自然で普段から笑顔を絶やさないのだなと思わせる笑顔だった。


「そうなんだ。これからは気をつけろよ」


「はい」彼女は愛くるしい笑顔を見せると階段を上っていった。



キーンコーンカーンコーン昼休みのチャイムが鳴った。


茂雄はリュックから弁当を取り出し、屋上にでも食べに行こうかと準備していると武田が近寄ってきた。


「なあ横田」武田は低い声で話しかけてきた。


「ん?なんだよ?」


「今日転校生来たらしいだろ?その子が可愛いってみんな言ってるからさ見に行かないか?」


茂雄は今日転校生が来ていることを思い出した。まぁ下見をしてからどんな風にチームに誘うか考えるか。


「行こうか」

茂雄はそう言って自席を立ち武田と一緒に廊下に出た。


「その転校生って何年何組だ?」茂雄は武田に尋ねた。


「確か同じ一年でB組らしいぞ」


「じゃあ隣のクラスか」


茂雄は隣のクラスに行き、そのクラスの人に転校生を呼んでもらった。


「すいません。今日転校してきた女の子を呼んでもらえますか?」


「わかりました」そのクラスの少女は笑顔で答えてくれた。その少女はすぐに戻って来た。


「呼んできましたよ。では」


その少女はクラスの中に戻っていった。そして現れたのは今日の下駄箱出会った金髪の少女だった。


「転校生って君なの?」

茂雄はその少女に聞いた。その少女は口を開いた。


「はい。そうですけど、どうかしたんですか?」

金髪の少女は頭の上にクエッションマークが飛び交っていた。


隣にいる武田はうつむき、体をもじもじとさせていた。


「いや、もう少しすると大会があるから俺のチームに入らないか誘いに来たんだけど。どう?」


金髪の少女はいきなりの誘いに動揺しているように見える。俺はその少女の様子を観察していた。


「入れてもらってもよろしいですか?」少女は恥ずかしそうに顔を見上げて訊いてきた。


「もちろんだよ」茂雄は嬉しそうにそう答えた。


「突然で悪いけど名前言ってなかったよね。俺の名前は横田 茂雄。そして、隣のでかいのは武田 慎吾。よろしく」


「私の名前は葉月セナです。苗字が漢字なのは父が日本人で母が緑の国出身だからです。よろしくお願いしまつ。ああ、噛んじゃった」


葉月さんは慌てて手で顔を覆い顔を赤らめていた。茂雄は葉月の可愛さに思わず見惚れていると隣の武田が咳払いをした。


「ごっほん。突然だけど葉月さんは何属性なの?」


「えーと、自然属性ですよ」セナはなんともはなしに無心な微笑みらしいものを浮かべた。


「あの葉月さん一緒にご飯食べないか?」


「え、いいんですか?」


「「うん」」武田と茂雄は必死の形相で頷いた。


「じゃあ屋上で弁当食べるか」


「はい」


歩くこと数分目的地が見えてきた。


「着いたよ」茂雄は武田と葉月さんに伝えた。

葉月さんは興奮した様子で屋上を走り回りっている。子供だなと長い目で見ていると横から凛とした声が聞こえた。


「ちゃんと周りのことも考えなさい」聞きなれた声だ。銀髪をした少女がこちらへ向かってきた。レイシアだ。


「す、すいません」セナはびくびくおびえながら謝った。


「葉月さん紹介するね。この人は同学年のレイシアクロスフォード。同じチームだよ」


レイシアは顎に手を添えた。


「という事は、この葉月という人が同じくチームに入るということかしら?」


茂雄が頷くとセナがおどおどしながら喋り始める。

「あの、さっきはすいません。あと今日からこのチームに入ることになりました。葉月セナです。」セナは小さい体をさらに小さくした。


「葉月さん。多分もうレイシアは怒ってないと思いますよ?そうだよなレイシア?」


「まぁ、さっきは怒ったけど今は怒ってないわ。」

レイシアは先ほどと表情を変えずに淡々と喋った。

茂雄はセナの近くに行くと耳打ちで話した。

『レイシアは表情を出すのが苦手だからとりあえず今は怒ってないらしいからいつも通りにね』

茂雄はセナに笑いかけるとセナは『そうですね』と、小声で言った。


「目の前でこそこそされるのは不快なのだけれど」

レイシアはトゲトゲとした声で言った。


「ごめん」


「それよりご飯食べねーか?俺腹減ったわ。」武田は腹を抑えながらこちらを見ている。


「そうするか」


茂雄は短くそう言うと地面に座った。そしてセナとレイシア、武田はその場に次々と座る。茂雄はレイシアの方を見て聞いた。


「今日も特訓あるんだよね?」

レイシアはこくりと頷く。


「だったらチーム全員呼んで特訓しないか?まだみんなの実力も完璧に把握できているわけじゃないし」


「そうね。じゃあ昨日と同じ時間だから4時半に集合ということで」


茂雄と武田とセナは頷いた。







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