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最下位の優等生  作者: 月乃ゑ 浩二/天鵞絨
第1章 フェスタリアン学園
3/6

第3話 決闘

なんだかんだで3話まで書けました。

これからも自分のペースで楽しい小説が書ければいいなと思います。

応援していただけると励みになります。

よろしくお願いします!

今は6時間目。これが終わればレイシアさんとの決闘だ。

「はぁー、決闘か」


魔法は使えるけど、これを使えるというのだろうか。

俺が使える魔法は一つ。

閃光(フラッシュ)だ。

閃光(フラッシュ)というのは、単に敵の視界が数秒奪える程度だ。つまり、俺は相手の行動を止められる。だが、攻撃できないので意味がないのだ。そう思い頭を抱えているとチャイムがなった。席を立とうとすると、琴音と武田が走ってきた。


「聞いたよレイシアさんと戦うんだって?」


「おい横田、なんでそんな大事なことを相談しなかったんだ!」


「別に相談するほどでもないだろ?」


「しげわかってるの?レイシアさんは火の国の中で最も強いとされる貴族の後継者なんだよ?」

隣で武田がうんうんと頷く。


「げ、マジかよ」


「しげなにしたの?悪いことしたら謝らない。」


「そうだ!横田。なんなら俺が一緒に謝りに行ってもいいぞ」と、武田が断れないことをわかっているような笑みを向けてきた。


「結構だ!」

武田はその場に縮こまった。


「じゃあなにしたっていうの?」


「いやだからな、何かをしたんじゃなくてなにもしてなくてだな。

俺は魔法という魔法が使えないから、教えてもらおうと思ってたのんだんだ。その結果戦うってことになったってわけ」


「ど、どうなってもしらないわよ?」琴音は青ざめた顔で去って行った。


「おい、武田そこ邪魔」武田は無言でその場を立ち去った。まぁなんとかなるだろ。そのままレイシアさんの元へ行った。


「レイシアさんどこで戦うの?」


「では、校庭で戦いましょう」


「わかった」


緊張を覚えている俺に比べ、レイシアさんは坦々と歩みを進めていく。そうこうしている内に校庭についた。広さはだいたい東京ドーム5個ぐらいだろう。

太陽が沈みかけあたり暗くなってきた。ひんやりとした風が吹いてきてちょうどいいくらいだ。


「ルールは相手が気絶するまでよ」


「ん?えーと、降参とかは?」


「そんなものないわ」


「ちょっとたんま」


間髪を入れずにレイシアは言い放つ。

「このコインが地面に着いたら始めよ」

宙を舞ったコイン。もう腹をくくるしかないか。

キンという高い音が聞こえた。


「行くわよ」高く結った銀髪を揺らしながらこっちに向かってくる。


「魔法は使わないのか?」


「…」


「武術なら負けねぇ」

レイシアはまず右の拳で殴ってきた。それを俺は避けて次に来た頭を狙ったハイキックをしゃがんで避けた。


「今度は俺の番だ」と、大声で吠えた。


俺はしゃがんだまんまレイシアのを蹴り体勢を崩そうとしたのだ。しかし、レイシアはそれを避けて頭を蹴ってきた。


俺はとっさに手で顔を庇おうとする。だが、それすら間に合わずそのまま10メートルほど後方に飛ばされた。


『さすが次期後継者だけあって武術も出来る、ってか』


無性にイラついてきた。


閃光(フラッシュ)!」

あたり一面光に覆われた。


これでどうだ、と殴りかかった。その拳は空を切った。

雷火撃(らいげき)

凛とした声が聞える。

だんだん辺りが暗くなり、意識が薄くなっていった。


#########################################


………ん?ここはどこだ?緑色に生い茂っている大きな木があって。

あの少女は?

「ねぇ、話聞いてるの?」少女は頬を膨らませながら拗ねていた。

「うん。」

あれ?目の前の少女は誰だろう。

俯いた彼女の視線には、木洩れ日色のブレスレットがあった。


#########################################



意識が遠くにあった気がする。

ぼやけた視界があけると、無機質な白い天井が見えた。


「..げ..しげ!しげ!」


「ここは…?」声が掠れた。


「ここは学校の保健室だよ」


「どうしたっけ」


「レイシアさんと戦って負けたじゃん。」


「そうだったな」


「レイシアさんは?」


「多分教室だと思う」

俺は体を動かそうとしたが、思うように肢体が動かなかった。


「ちょっと無理しないで私が呼んできてあげるから。」

再び天井に視線を戻し、しばしぼーっとしていると。

複数人の足跡が聞こえてきた。



「レイシアさん呼んできたよ」


「ありがとう」


「じゃあ私、用事あるから帰るね」


「おう。さっきはありがとな」


「うん。バイバイ」

いつもの笑みで部屋を出て行った。



「それで、レイシアさんなんで俺と戦ったの?」


「そうね。まず、あなたの才能がどれくらいなのか調べるために勝負したのよ」


「その結果は?」


「まぁ魔法を使えない、とか言ってたわりには魔法使ってきたけど、体術はそこそこじゃない?まぁいいわ。ちょっとだけ教えてあげるわ」一つでも魔術を使っていたことを不服だ、とでも言うようにこちらを睨んできた。


「いやー、魔法という魔法が使えないと言っただけでさ。まぁそこは大目に見てよ」と、苦笑いをしながら言った。


「突然で悪いけど、レイシアさんのことレイシアって呼んでいいかな?なんだか壁を感じて」


「ふーん、別にいいわ」


「じゃあ俺のことも茂雄って呼んでな!」


「わかったわ、茂雄ね。覚えておいてあげる」

そうして、痛めている体を無理やり動かして立とうとするとレイシアが言った。


「待って」


呼び止められたことに驚いた俺は、なさけない姿勢のまま言った。


「なんで?」


「回復魔法をかけてあげるわ」


「へぇー!レイシアはそんなこともできるのか、すごいな。」


治癒(キュア)


宙に浮いているように体が軽くなった。

「すげー、体がすごく軽くなったよ!」

思わずベッドの上で跳ねながら叫んだ。


「じゃあ私は帰るわ」


「あぁ、バイバイ」


「…」


挨拶はしてくれなかったが、たくさん話せて良かったな。それだけで今日は満足だ。



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