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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

『浮気探偵シリーズ』

浮気探偵カプチーノ☆~女は強し!強すぎる!~

作者: ふみわ

逞しい女性を書きたかったので、男性たちが少々情けないですが、ご容赦ください。

面白いかどうかは置いといて、ただのコメディです。

 皆様どーもこんにちは☆

 (わたくし)(ちまた)で浮気探偵カプチーノ☆と呼ばれている古河(ふるかわ)ゆぅと申します。よろしくね☆

 さてさて、今は仕事中です。

 仕事内容は勿論、浮気調査です。

 し・か・も、今回の依頼人は某政治家の奥様でぇーす。どうやら旦那様が若い女に入れ込んじゃって、血管プッツンしちゃったみたいでねー、もー依頼受けた時は大変だったぁ。


「離婚よ! 離婚んんん────っ!! 仮にも社会を支える政治家が既婚の身でありながら、女に(うつつ)を抜かすなんてっ、あのロクでなし! ──ハァハァ、ということであの人の浮気の動かぬ証拠を掴んできてちょうだい。慰謝料ガッポリもぎ取れたら、報酬は弾むから」

「は、はぁ・・・・・・」


 ・・・・・・うん、なんてゆーか、もうあの人が政治家になればいいんじゃないかな? 逞しいからきっと安心して政治を任せられるよ。

 と、まぁそれは横に置いといて、報酬さえ貰えれば誰であろうとどーんと来い!

 てなわけで、今はターゲットの政治家さんが入ったマンションの向かいのマンションにいまーす☆

 双眼鏡で覗き──コホン、じゃなくて調査調査。


「ふーむ、どうやらお相手はホステスさんみたいだなぁ。って、若っ! まだ二十歳くらいじゃない? 政治家さん何歳だっけ?」


 ビックリしてると政治家さんとホステスさんがドアの前でイチャイチャちゅっちゅっし始めちゃった。

 うん、動かぬ証拠だー☆

 にしても、こっちとしては助かるけど、もうちょっと人目を気にしよーよ、お二人さん。

 じゃ、早速知り合いの発明家に頼んで作ってもらったこの双眼鏡越しでもしっかり不貞の現場を撮れる超高性能一眼レフカメラで現場を撮影してちゃっちゃと退散しましょー☆


「はい、マーガリン☆」


 パシャ、パシャパシャパシャパシャパシャ!


「よっし、調査かんりょー☆ 後はこれを依頼人に渡せばおーわり♪ ・・・・・・それではお気の毒様、政治家さん。恨むなら自分を恨んでくださいね──ん?」


 カメラをカバンにしまって帰ろうとしたら、ふと、さっきまで二人がラブシーンを繰り広げてたドアの前に人影が見えた。

 この春の日に全身黒ずくめで黒いニットを目深に被り、顔はサングラスとマスクで隠してるみたいで手には包丁を──あれ? 包丁?

 ・・・・・・・・・・・・・・・


 包丁!?


 「はいいぃ──────!!?」


 包丁!? なんで包丁?

 あれって銃刀法違反だよね? だって明らかに刃渡り6㎝以上だもん! つーか、ここに来るまでどうして捕まらなかったんだ!?


「これは、流石にまずい!」


 慌ててエレベーターに駆け寄り、下ボタンを押すが、こーゆー時に限ってなかなか来ない。仕方なく、階段を飛び降りるようにして走る。

 どうか間に合って!


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「なっ、なんだ君は!」

「きゃあっ」

「うるせぇっ、俺の姫子さんから離れろ! クソ親父!!」


 中で言い争う声が聞こえる。うわー、大変なことになってる。

 浮気探偵として、一番の命取りは面が割れること。

 顔を知られてしまってはこの業界ではやっていけない。だから、私はターゲットと接触することは避けてるが、この情況が進めば良くて傷害事件、最悪殺人事件だ。探偵として見逃すわけにはいかない! ・・・・・・とゆーか、人として放っとくわけには。


「死ね!」

「うわぁっ!!!」

「ちょっと待った──!!」


 政治家さんの悲鳴が聞こえると同時に、部屋に突入した。


「誰だ!」

「通りすがりのカプチーノ☆です! あなた、今すぐその包丁を下ろしなさい!」


 私は黒ずくめの男が驚いて固まっているうちに男と不倫カップルの間に入り込み、力強く言った。

 この時、後ろの政治家さんが土手っ腹を出したパンツ一丁だろうが、ホステスさんが無駄に扇情的なランジェリー姿だろうが、黒ずくめ男が顔面真っ赤で鼻血を流してようが気にしない!


「黒ずくめさん! 一体どうしてこんな物騒なことするんですか? 話を聞かせてください!」

「く、黒ずくめさん? まぁいい。いいか? そこの豚親父はなぁ、俺の姫子さんを無理矢理奪いやがったんだ!!」


 背後で震えているホステスさんは姫子嬢というらしい。

 うーん、俺のってことは・・・・・・


「えーと、彼氏さんですか?」


 振り返って姫子嬢に訊くと、ふるふると首を横に振った。

 え? 違うの?


「しっ、知らないわ! そんな人!」

「え? どーゆーこと?」


 疑問符を飛ばしながら黒ずくめさんを見やると、真っ青な顔で絶望の表情を浮かべる。

 赤くなったり、青くなったりと忙しい人だな。

 黒ずくめさんはぶるぶると震えだし、強張った声で叫んだ。


「そんなわけない! お、おおお俺はいつも、いつもいつも、姫子さんを見つめて、ずっと側にいたんだ! どうしてそんな嘘をつくんだ!?」

「知らないわよ! あなたになんて会ったことない!」

「って、言ってますけど?」

「違う! 違う違う!! 俺は姫子さんの恋人だ! 毎日電話してるし、毎週プレゼントだって・・・・・・ほら、先週は君の好きなピンクの薔薇の花束を送っただろう? 喜んでくれた?」


 黒ずくめさんの言葉を聞いて、姫子嬢は顔を強張らせた。心当たりがあるらしい。


「ピンクの薔薇・・・・・・? まさか! あなたなの!? いつも私の後をつけてたのは!」

「はい?」


 その言葉に思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。


「そうよ! いつも無言電話や気色悪い贈り物をしてきたのも全部あなたね?」


 無言電話。

 気色悪い贈り物。

 彼氏を自称。


 えーと、これってあれかな? あれだよね?


「ストーカー?」


 思わず黒ずくめさんに訊いちゃったよ。

 あーあ、またお顔が真っ赤っか。でもこれは羞恥じゃなくて怒りだなー。

 案の定、黒ずくめさんは血管プッツンしちゃったみたい。


「俺はストーカーなんかじゃない! 俺はいつも優しくてピュアな姫子さんに悪い虫がつかないように常に影で見守ってるだけだ! ストーカーなんかと一緒にするなっ」

「いえ、それは立派なストーカーです」


 うん、ストーカーさんって自覚がないとは聞くけど、リアルで見るとドン引きしますね。

 どうしよう。黒ずくめさん改め、ストーカーさんはもう色々イッちゃってる。目は血走ってるし、息は荒いし、今にも切りかかってきそうだ。

 つい忘れていたが、ストーカーさんの手には包丁。

 こっちは丸腰。どうしよ?


「ストーカーじゃない! そもそもお前は邪魔だ! エスプレッソだかブルーマウンテンだか知らないが、部外者はすっこんでろ!」


 カプチーノ☆です、なんて訂正している暇もなく、ストーカーさんは包丁を降り下ろしてきて──


「うわわっ」


 無意味だと分かっているが、咄嗟に両手を頭にやり、しゃがみこむ。

 しかし、私が包丁で切りつけられることはなかった。

 恐る恐る目を開けると、そこには意外過ぎる人が包丁を持ったストーカーさんの手を掴んで立っていた。


「あ、あなたは──」

「べっ紅子!」


 今まで空気だった政治家さんが上ずった声を上げ、これ以上下がれないのに足を動かして逃げるように体を壁に押しつける。

 そう、そこには政治家さんの奥様──つまり、今回の依頼人である紅子さんがいたのだ。

 え? え? なんでクライアントがここに? でも、それより──


「紅子さん、この場所知って──?」

「ええ、以前、そこのアホとその女が一緒にこのマンションに入ってくのを見かけてね、私が近くをうろついてたら気づかれてしまうと思っていたから、あなたに証拠集めを頼んだんだけど、なんだか胸騒ぎがして来てみたら、こんなことになっていて──驚いたわ」


 いや、こっちのほうがビックリです。

 てか、場所知ってたんなら紅子さんなら一人でなんとかできたんじゃ?

 てゆーか、ストーカーさん、かなり力込めてると思うんですけど、びくともしないってどうゆう握力してんですか? それとも単にストーカーさんの力が弱いのか?

 思わず、どうでもいいことを考えていたら、ストーカーさんがヒステリックに喚き出した。


「おい、ババァ。アンタ、その豚の女か? だったらちゃんと手綱握っとけよ」

「ちょっ!」

 ちょっと────!! ただでさえ、旦那様の浮気で怒りのメーター振りきってんのに火に油を注ぐような真似しないでよ!

 うわぁ、うわぁ、紅子さんからめちゃくちゃどす黒いオーラが出てるよ! ストーカーさんより怖いよ!


「ふふふふふ、そぉねぇ。あなたの言う通り、そこのクソは煮ても焼いても食えない腐れ豚野郎よ」

「え? いや、そこまで言ってないぞ?」

 うん、言ってない。奥様のほうがよっぽどひどいこと言ってるよ。

 ちょっと呆れていると、奥様は拳を握り、その拳をストーカーさんの頬に叩きつけた。見事な右ストレートでした。

 ストーカーさんは勢いよくぶっ飛び、鏡台に激突。鏡は割れるわ、化粧水の瓶や口紅やファンデーションは辺りに散乱した。

 慌てて駆け寄ると、死んではいないが目を回して泡を吹いている。

 紅子さんは紅子さんで、自分がのしたストーカーさんに目もくれず、今だ半裸状態の旦那様と姫子嬢にヒールを鳴らしながら歩み寄り(非常事態だったので私もスニーカーのまま)、旦那様をストーカーさんと同じように拳でぶん殴り、姫子嬢には一応手加減したのか思いっきり平手打ちを食らわせた。

 二人はぶたれた頬を押さえながら、震えている。


「あなたたちは本当に大馬鹿ね。だからこんなロクでもないことになるのよ。まぁいいわ。もう関係ないもの。次に会うときは法廷よ。せいぜい覚悟することね」


 そんな二人に紅子さんは唾棄するように言い捨てると、青い顔した二人に背を向け、私のほうへ目を向けた。はっきり言って、超怖い!


「カプチーノ☆さん、ごめんなさいね。馬鹿共のせいで怖い思いをさせてしまったわね、本当にごめんなさい」

「あ、いえ、平気です」

「そう。ところで、こんな時になんだけど、証拠は撮れたかしら?」

「あ、はい。一応は。後日現像して送ります」

「ありがとう。まぁ、こんなことがあれば当然スキャンダルになるし、すんなり離婚できるとは思うけど、証拠はあるにこしたことはないものね」

「そうですね」


 た、逞しすぎる!

 紅子さんはそのまま首に巻いていた赤いスカーフを翻し、ヒールを高らかに鳴らして去っていった。

 その後、気絶したストーカーさんと放心状態の不倫カップルをどうしようか迷ってると、騒ぎを聞きつけたらしいご近所さんが呼んだパトカーのサイレンが遠くから聞こえた。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 あのデンジャラスな事件あった週明け、私は学校に行く前に駅の売店で週刊誌を買いました。

 あっ、申し遅れましたが、私、普段は実家兼探偵事務所から二駅隣の私立高校に通うしがない女子高生をやってます。一応JKなんですよ?

 普段は週刊誌なんて買わないんですが、見出しが『●●氏浮気発覚!刃傷沙汰に発展!?』と銘打たれていては買わないわけにはいきませんよねぇ。

 昼休みにお弁当を食べながら読みました。

 あの後、警察があの部屋に乗り込んだらしいんですが、実は私、その前にバッくれちゃいました。探偵業バレたくなかったもんで。

 だから、その後のことはよくわかんないんですよね。

 記事によると、その後例のストーカーさんは住居侵入や銃刀法違反、傷害未遂などで逮捕されたみたいです。まぁ、当然の結果ですね。政治家さんは政治家さんで、奥様に離婚を言い渡され、裁判起こされ、しかもマスコミが家に押しかけて散々な目にあったようです。これじゃあ、次の選挙は立候補どころではなくなっちゃいましたね。自業自得ですけど。

 驚いたのは姫子嬢です。なんと、姫子嬢は今回のことを本にすると宣言しちゃったみたいです。姫子嬢が勤めているお店は、他の政治家さんもよく利用しているしているみたいなので、芋づる式にスキャンダルが掘り出されそうですねぇ。いやー、紅子さんといい、姫子嬢といい日本の女性は思いの外逞しいですねぇ。頼もしい限りです。

 しかも、紅子さんは翌年の選挙に当選し、ゆくゆくは総理大臣にまで登り詰めますが、それはまだまだ先のお話です。


 とまぁ、色々関心しましたが、こちらとしては報酬が口座に振り込まれさえすればいいので、知ったこっちゃありませんが。

 さてと、これにてミッション・コンプリート☆です。

 今回はあっさり解決しましたが、非常に濃い仕事でした。

 ガッポリ儲かったので、しばらく休業して骨休めでもしたい気分です。もうすぐG・Wですし、どっか旅行にでも行きましょう。

 そんなこんなで、浮気探偵カプチーノ☆浮気に困ったらいつでもご用命を。

 あ、後、今回の女性陣は逞しすぎましたが、か弱い女性もいるので、男性の方々、ファイト☆

 では、アデュー☆

逞しさは紅子さん>>>>>姫子嬢>>カプチーノ☆な感じです。

でも、姫子嬢とカプチーノ☆は逞しいというより、強かな感じですね。

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