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Keep positive  作者: 時計
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闘いの始まり

この話は登場人物の名前など固有名詞以外は、ほとんどノンフィクションです。そして、私は今もこの怪我に悩まされておりテニスをまともにできていない状況です。それでも、だれか私と同じように夢をかべで阻まれている人に少しでも力になれたらいいなと思い、私の体験談と私の思いを書かせていただきました。あまり明るい楽しい話ではありませんがお付き合いいただけると嬉しいです。

2012年夏。私は人生を変える事になった大きな出来事にあった。望んでおきた出来事ではなかったが、今となってはそんなことはどうでもよくなった。自分を見つめる時間。そんな時間がやってきただけだった。ただそれだけ。私の身に起きた事はほんの小さな事からだった。



あの時私はアメリカにテニス短期留学に行っていた。幼い頃からしていたテニスはいつしか夢になり、夢を追いかけて一人アメリカに留学した。まだ中学2年生だった。英語はうまく話せず、不安な事ばかりだった。初めてのアメリカ。そこでするテニスは刺激的な毎日だった。同じ時期に来ていた日本人の友達とばか騒ぎもして、世界各国の友達も突然できた。みんな英語が話せない私に優しかった。コーチも丁寧に私に教えてくれた。たくさんほめてくれた。嬉しかった。そんな私の貴重な時間にあの出来事は少しずつ近づいてきていた。いつもと同じようにコートで練習していた留学2週間目の午前中。相手のボールがかなりのスピードで飛んできた。私は振り遅れ、それでもなんとかコートに入れようと無理に手首を曲げ打った。その瞬間右手に鋭い痛みが走った。私はテニスラケットを落とし、ボールを返す事ができなかった。痛みはずきずきと脈と同じ早さで右手首を襲った。それでも練習中にやめる訳にいかず、結局最後まで練習をやりきった。英語がうまく話せない私はどうする事もできず、午後の練習が始まってしまった。午後は試合のみだ。いまだに痛む手首をかばいながら試合に臨んだ。もちろん打つたびに痛みは感じ、思う場所にボールが行かなくなった。さすがによくないと思いコーチ話してみたが、コーチは試合を続けろと私に告げた。痛みはあるもののやめられなくなった私は仕方なく続けた。常に痛みを感じる中でのテニスは本当にひどかった。やっと練習が終わったとき、コーチにつれられ、トレーナーのもとへ向かった。少し手首を診ると、トレーナーさんは私の手首にアイスをつけて冷やした。痛みがなくなるからと言われ信じて、言われた通りにした。その瞬間は痛みがなくなり、次の練習まで痛みは目立たなかった。しかし、次の日やはりまだ痛かった。留学終了までわずか1週間。なんとか乗り切れるような気がして、私は特にテニスをやめる事なくひたすら続けた。留学期間が終わり、日本に帰る頃、痛みは強くなっていっていた。日本に着いてもそれはかわる事なく、大きな試合を控えていた私は藁にもすがる思いで病院へ向かった。そこで聞いたのは私の人生をも変える事になった怪我の名前。

「TFCC損傷ですね。しばらくテニスはしない方がいいでしょう。」

大きな試合があるのに休むなんてできない。

「明後日大切な試合があるんです。その後休みますから今はテニスをやらせてください。」

先生は私の意見を飲んでくれた。痛み止めとサポーターをもらいその日は家に帰った。

試合当日、痛み止めとサポーターをつけ試合に臨んだ。試合中も何度か痛みを感じたが、耐えられるほどで済んだ。その日の試合は予選。予選の決勝に勝ち上がった。しかしその決勝は夕方。ちょうど痛み止めが切れてしまった時間だった。痛みは容赦なく私の手首を、精神を削った。それでも試合中に逃げる事はできなかった。学校初の予選突破を期待されている身だった私に皆が応援してくれていたのだ。その努力が認められたのか、神様がくれたのか私は勝つ事ができたのだ。

「おめでとう!」

部活の同級生、先生がほめてくれた。そして私は次の週に行われる本戦へと練習を始めた。予選で私が倒してきた対戦相手に恥ずかしくないように、練習を重ねた。しかし、手首の痛みは着々と強くなっていった。その度に痛み止めを飲み、なんとか過ごした。そして迎えた本戦。これで9位内に入れば都大会に出られる。応援は先生のみだったが、私には十分だった。1回戦順調に勝ち上がり、2回戦は敗北した。しかし私にはまだ道が残されていた。9位争い。9位をとる為に私は3回勝たなければならなかった。なんとかして都大会には行きたい。その思いの強さからか、私の右手にはもう痛みは感じなくなっていた。1つ2つと順調に勝ち進み、最後にあたった相手は強豪校の一人だった。相手はとにかくミスをしない確実なテニスをする人だった。私は始め攻めに徹しようとしたが、なかなか決まらないばかりか自分のミスが目立った。そして相手と同じペースでラリーする事にギアをチェンジした。すると長い長いラリーが続くが相手の体力の方が切れ始めたのだ。これはいけると踏んだ私はひたすら返し続けた。最後の私のマッチポイント。長い長いラリーを越え相手のネットボールで終わった。勝った瞬間私の身体全身に喜びが駆け巡った。勝利の果実は皮は苦くとも、実は甘かった。私の試合をほかの学校の人たちも拍手してくれた。私の試合は最も長く、その日の最後の試合だったのだ。そして何より喜んでくれたのは学校の顧問の先生だった。強く私を抱きしめ、褒めてくれた。初めての都大会への切符。それを表彰式で手にした時その重みを肌で感じた。私が踏みにじった思いのかずは7つ。7人の対戦相手を倒しこの場に立っている事の重大さをそのとき感じたのだ。

都大会までは一ヶ月ほどの猶予が与えられた。その間の1週間で手首を治すと決め、私は再び病院へ試合の翌日行った。しかし先生が言った言葉は私の期待を裏切るものだった。


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