第2話
ふぁー、よく寝た。
大きく伸びをして首をグリグリとまわす。
そして立ち上がってラジオ体操第一。はぃー、リズミカルにぃー、いっちにっ、さっんしっ!!
そう、 頭の中で元気なお兄さんが言っている。
大きく息を吸って、深呼吸。はい、終わり。
これが朝の日課だ。ラジオ体操は健康にいいからな。
「で、ここどこだ」
俺の部屋は狭いしパイプベッドだったのに、ここは広い和室のふかふか敷き布団だ。
寝心地は良かった。すんごい良かった。でも、俺の知っている場所じゃない。
あー、そーいえば昨夜もまた俺の巻き込まれ体質が発動したんだったか…。えーっと、たしか…。
「あー!目、覚めたんだ!!」
…あ、黒髪美少女(仮)。
黒髪美少女(仮)は、お盆を手に持って立っていた。
「なんか変な感じはしない?気分悪いとかは?」
「いや、大丈夫っす…」
「そっかぁ、良かった!んじゃ、これ食べれる?お粥なんだけど」
そう言って粥を差し出してくれた。
あったかうめぇ。黒髪美少女(仮)は戦えるだけじゃなく、料理も上手なのか。いい嫁になるな、うん。
黒髪美少女(仮)は俺の前に正座した。
「あのね、昨日の戦いで少し怪我しちゃったみたいなんだけど、それ、普通の怪我じゃないから病院行っても無理なんだよね。えーっと…でね、相談なんだけど、もし良かったら怪我治るまでウチにいてくれない?あ、私は鴉真結!よろしくね!」
そう言って、黒髪美少女(仮)こと、改めまして鴉真さんが微笑む。
え、マジで!いいんですか!!!
こんな可愛い女の子と暮らせるとかなんのゲームだよ。そんなもの、断れるわけがなかろう!
「えっと、俺は潮目蛍です。歳は17。よろしくお願いします」
俺も挨拶。正座をしてぺこりと頭を下げる。一応世話になるみたいだし、しっかりしとかなくちゃな!
天使やぁ…。
こんな黒髪美少女とひとつ屋根の下で共同生活をおくれるとか、俺の人生で一番の幸せかもしれない!!もー、俺幸せすぎて死にそぉーー…。
…なんて思っていた俺がバカでした。
「いやー、目が覚めてほんと良かった!さぁ、祝いだ!飲め飲め!!」
…いや、俺未成年なんですけど…。あとお願いだから怪我人をバシバシ叩かないで…。
「もー、何言ってんの、兄さん。蛍くんってまだガ…子供なんだし、そんな上等な酒飲んだらすぐ酔っちゃうよ。こっちの安いのならいいんじゃない?ね?」
…今、ガキって言いかけましたよね⁉︎顔はニコニコ笑ってるけど、目が笑ってないぞこの人!!ってか、絶対高い酒飲まれるのが嫌なだけなんだろ!安い酒ならいーのかよっ!
「いや、高い安いの問題じゃなくてだな、未成年なんだぞ蛍は!酒を飲ましちゃダメだろ!」
"!"のたびに肩を叩かないで。お願いだから怪我人を叩かないで…。
「なぁなぁ蛍ー、料理うまかったろ!あれ、俺が作ったんだぜぇー。あの粥にはな、隠し味があるんだぜ?なにか分かるか?ふっふっふ…愛だ」
ちきしょーーーーー、俺の純情返せやぁぁああ!!何が嬉しくって男からの愛をうまいうまい言いながら食ってたんだよ俺ぇ!俺がうまいって言うたびになに横でえへへって照れてたんだよ黒髪美少女ぉお!!何に照れてたんだよ…。
「お兄ちゃん達、みんな蛍くんのこと気に入ったみたい。良かったぁ。これから少し騒がしくなると思うけど、よろしくねぇ〜」
……お願いですから普通の日常を送らせろぉぉおおお!!!
鴉真兄妹は五兄弟。
長男…怪力変人
次男…覆面腹黒ドS
三男…この中では常識人
四男…野生不思議ちゃん
長女…天然黒髪美少女
※あくまで、蛍から見た感想です。