第二章 秩序の学園と崩れゆく誓約 第三話 実技試験 ― 選ばれる力
第二章 秩序の学園と崩れゆく誓約 第三話 実技試験 ― 選ばれる力
王立高等学園の中央訓練場は、石で囲まれた大きな皿のような場所だった。
白い石畳が円形に敷き詰められ、その周りを低い観覧用の段差がぐるりと囲んでいる。
まだ朝だというのに、生徒たちの吐く息や体温が集まり、空気にはうっすらと熱がこもり始めていた。
「静粛に」
試験官の声が響いた瞬間、ざわつきはぴたりと止まった。
深緑のローブをまとった中年の教官が、一歩前に出る。
太陽の光が肩口に当たり、その輪郭をはっきりと浮かび上がらせていた。
「これより、実技試験を開始する」
短い宣言だったが、その一言で多くの喉がごくりと鳴る。
「本試験は選択制とする。
受験者は、自らが最も力を示せる分野をひとつ選び、その結果をもって評価とする」
教官の背後に立てられた板に、三つの文字が書かれている。
――剣術
――体術
――魔法
「剣術、体術、魔法のいずれかだ。
自らの力量と適性を考えたうえで選べ。見栄や虚勢ではなく、今この場で“何をもって自分を語るのか”を示すつもりで来い」
その言葉に、また微かなざわめきが起きた。
魔法は、この世界では特別な位置にある。
魔力を持つ者だけが扱うことを許される力。
決められた言葉を正確に唱えることで、現象を起こす術。
仕組みは誰にも分からない。
意味も分からない古い言葉を、ただ覚え、間違えずに発する。
それだけで、火も水も光も呼び出せる。
だからこそ、人々は魔法を「選ばれた力」と呼び、特別視してきた。
その一方で、魔力を持ちながらも言葉をうまく扱えず、魔法をほとんど発現させられない者もいる。
生まれつきか、努力不足か。
理由はさまざまだが――少なくともここで、言い訳は通用しない。
「希望する種目ごとに列をつくれ。順に名前を呼ぶ」
教官の指示で、生徒たちはゆっくりと散っていく。
剣術、体術、魔法。
それぞれの列が中央から放射状に伸び、一本一本の線になっていく。
ユウ・ヴァルロードは、短く息を吐きながら周囲を見渡した。
(ここで何を選ぶかは、“今の自分が何を信じているか”を示すことでもある)
彼に迷いはなかった。
剣術の列へと歩き始める。
何年も積み重ねてきた鍛錬。
毎朝の素振り。
老騎士から教わった重心の置き方や、間合いの読み方。
それらを一度にまとめて出せる場があるなら、ここしかない。
横を通り過ぎる瞬間、ふと目に入ったのはリリス・フォン・グレイハルトの姿だった。
彼女は真っ直ぐ前を見たまま、迷いなく魔法の列へ進んでいく。
ドレスではなく、受験用に整えられたシンプルな衣装。
それでも、立ち姿には自然と人の目を引く気品がある。
足取りに無駄がなく、肩の高さもまったくぶれない。
揺らいでいる部分がひとつもない。
(リリス様は、自分の力をきちんと理解している人だ)
ユウはそう思った。
魔法という特別な力に頼ろうとしているのではない。
「自分がすでに持っているもの」をまっすぐ評価したうえで、それを示す場として魔法を選んでいる。
(自分の評価を下げないために無難なものを選ぶ人もいる。
逆に、見せびらかしたいだけの力を選ぶ人もいる。
だけどリリス様は、そのどちらとも違う)
彼女は「期待されている自分」でもなく、「逃げ道としての自分」でもなく、
本来の自分の力に責任を持とうとしている。
そう感じた。
(あの人は、自分の立場から逃げない人だ。
目の前にある試験からも、これから課される役目からも、きっと目をそらさない)
胸の奥でそう言葉になった感想を、ユウは誰にも見せずに飲み込んだ。
目をそらすことなく、しかし余計な長さで見つめ続けることもしない。
短く視線を交わし、それで十分だと判断して、剣術の列へと歩を進めた。
一方で――
「……はぁ?」
どこか不機嫌そうな声が背後から聞こえた。
振り返らなくても、誰の声かは分かる。
アルベルト・ルクレイン。
この国の第一王子にして、リリスの婚約者である少年だ。
「魔法、魔法って……そんなもん、ややこしいだけだろ」
聞こえてくる独り言は、あまりにも率直だった。
「剣のほうが分かりやすい。振れば当たるし、当たれば勝ちだ」
そう言って、彼は迷うことなく剣術の列へと入っていく。
彼にも魔力はある。
だが、言葉を正確に扱うことが苦手で、魔法はまともに発現しない。
教える側も途中で匙を投げつつあり、本人も既に半ば諦めている――そんな状態だった。
(自分の不器用さをごまかすために剣を選んでいるわけじゃないといいけれど……)
そう思いはしたものの、ユウは首を振った。
他人の選択に口を出せる立場ではない。
評価するのはあくまで学園側だ。
自分がやるべきことは、ただ一つ。
(今の自分を、きちんと出し切る)
それだけだ。
やがて列は整い、順番が決まる。
ユウは剣術列の三番目だった。
前方では、最初の受験者が木剣を受け取り、構えを取っている。
向かい合うのは、灰色の髪をした教官。
背筋が伸びていて、無駄な動きがひとつもない。
名はまだ知らないが、現役を退いた騎士であることは、その立ち姿だけで理解できた。
「始め」
短い号令。
木剣が打ち合う音が乾いた空気を切り裂き、石畳に小さく反響する。
最初の受験者は悪くなかった。
基本の動きはできているし、足運びも崩れてはいない。
だが――教官の剣はさらにその上を行く。
数合打ち合ったあと、あっさりと木剣が弾かれ、試験は終わった。
「ここまで。剣筋は悪くないが、相手の動きに反応しているだけだ。
“何をしようとしているか”を先に考えろ」
教官の指摘に、受験者は悔しそうに唇を噛む。
二人目も同じような結果だった。
そして。
「ヴァルロード・ユウ」
名前を呼ばれ、ユウは一歩前へ出た。
「木剣を取れ」
「はい」
手にした木剣は、少し軽く感じた。
ここに至るまでに握ってきた本数を思えば、当然だった。
石畳の中央に立ち、教官と正対する。
視線を合わせ、一礼。
呼吸を一度深く落とす。
雑音が、遠ざかっていく。
(やることは変わらない。
老騎士から教わった通り、“相手を見ること”から始める)
教官の重心の位置。
右足と左足の間隔。
肩と肘の力の入り方。
そこから、最初の一撃の軌道を予想する。
「構えを見せろ」
促され、ユウは木剣を上段から軽く下げ、体の中心に沿わせるように構えた。
誇張した形ではなく、いつも通りの位置。
「……よし。始め」
その言葉と同時に、教官が滑るように踏み込んできた。
重たい風のような一撃が、頭上から振り下ろされる。
ユウは、ほんの半歩だけ右へ足を運び、木剣を斜めに上げて受けた。
力を正面からぶつけるのではなく、流す。
打撃はユウの肩の横を通り抜け、木剣はわずかに空を切った。
教官の目が、少しだけ細くなる。
すぐに二撃目が来た。
今度は横薙ぎだ。
ユウは決して無理に打ち返さない。
腰を落とし、刃と刃が触れ合う瞬間に力の向きを変え、滑らせるように受け流す。
石畳を踏む足音。
木剣がぶつかる音。
観覧している生徒たちの息を飲む気配。
それらすべてを背景に、ユウは教官の動きだけを見ていた。
(この人は、こちらの反応速度を試している。
わざと読みやすい軌道と、読みづらい軌道を混ぜて、どこまでついてこられるか見ている)
三撃目。
打ち下ろしからの切り上げへと、一瞬で変化した軌道。
ユウは脚の裏で石畳の感触を確かめるように重心を移し、木剣でそれを受け止めた。
力を込める場面では、込める。
流すべき場面では、流す。
その判断を、ほんの瞬きほどの時間で繰り返す。
次第に、教官の攻撃に含まれる「試す色」が薄れていく。
今度は、実際の戦場にもあり得る流れが混ざり始めた。
踏み込みと同時に視界から消えるような低い姿勢。
フェイントを混ぜた肩の動き。
わざと「隙」に見える構えを取って、誘いに乗るかどうかを見る揺さぶり。
(ここで反撃を欲張れば、確実に反撃をもらう)
頭の中でそう言葉にして、自分を制御する。
受けるべき攻撃は受け、かわすべき攻撃はかわし、
踏み込める一瞬だけを待った。
そして――
視線と足運びが、一瞬だけ一致した。
(ここだ)
教官の木剣がわずかに外側へ流れ、胴の前に短い空白が生まれた瞬間。
ユウは一歩、前へ出た。
足音はひとつ。
木剣が動く音もひとつ。
剣先は大きく振り抜かない。
肩の力だけで押し込むように、教官の喉元に向けてまっすぐ伸びた。
木の切っ先が、教官の喉ぼとけのすぐ手前で止まる。
同時に、教官の剣がぴたりと止まった。
静寂。
数秒のあと――
「そこまで」
教官が低く告げた。
「手を下ろせ」
ユウは素直に剣を下げ、一歩下がる。
教官の目が、正面からユウを見据えた。
「無駄が少ない。攻めるべきところと、攻めてはいけないところの区別がついている。
見栄で前に出ていない点は評価に値する」
それだけの言葉だったが、十分だった。
「戻れ」
「ありがとうございます」
短く頭を下げ、列へ戻る。
戻る途中で、剣を握る手のひらが少しだけ汗ばんでいることに気づいた。
(緊張していないつもりでも、身体はちゃんと分かっているんだな)
そう苦笑しそうになりながらも、表情には出さない。
列の端に戻ると、今度は魔法の会場の方に視線を向けた。
ちょうど、リリスの番が始まろうとしていた。
彼女は訓練場の一角に立ち、両手を前に差し出している。
足元には、簡易の魔導円が薄く刻まれていた。
周囲には、魔法の発動と詠唱を確認するための教官たちが数名。
「グレイハルト嬢、準備はよろしいか」
「はい」
凛とした返答に、周囲の視線が自然と集まる。
「では、発動を」
促され、リリスはゆっくりと息を吸い、瞳を閉じた。
そして、静かに口を開く。
「――ルミナ・フェル・エス・ノア」
柔らかく、しかし芯の通った発音。
一音一音が濁らず、曖昧さもなく、途切れることもない。
「セリア・ルーク・ディア・ルー……フィン・ハルメ」
音は滑らかに連なり、まるで旋律のように空気を震わせる。
高すぎず、低すぎず、一定の高さを保った声。
息の配分も乱れない。
やがて最後の語が紡がれる。
「……アル・レイン」
言葉が完全に発せられた瞬間、彼女の指先の先に淡い光が生まれた。
白でもなく、金でもなく、夜明け前の空を思わせるやわらかな光。
だが、誰も注目しているのは、その光そのものではなかった。
評価席にいる教官たちの視線は、リリスの口元に注がれている。
「発音、極めて正確」
「母音の崩れがまったくないな。
舌の位置も理想的だ。魔語の緊張が途中で切れていない」
「息継ぎも自然だ。長文詠唱に慣れている証拠だろう」
低く抑えた声で評価が交わされる。
「発現も標準以上だが、それ以上に詠唱の完成度が高い。
魔法を文ではなく、言葉のように扱えている」
リリスは静かに目を開け、指先の光をそっと消した。
その動きにも乱れはない。
彼女は恭しく一礼し、列へ戻っていく。
(やはり……あの人は“できる”から魔法を選んだ)
ユウはそれを見ながら思う。
魔力を持っているから選んだのではない。
周囲からそう求められているからでもない。
詠唱の正確さ。
発音の明瞭さ。
一語一語に込められた集中と意志。
(あの人は、「自分の強みがどこか」を理解したうえで、その一番の部分を迷いなく差し出している)
対して、アルベルトの順番が来ると、空気の色は別の意味で変わった。
「王太子殿下だぞ……」
「剣を選ばれたのか」
小さなひそひそ声があちこちで漏れる。
アルベルトは気分をよくしたのか、口元だけで笑いながら中央へ進んだ。
剣を受け取ると、いかにも“派手な構え”と言いたげな姿勢を取る。
肩に無駄な力が入り、木剣の先は落ち着かずに揺れていた。
「始め」
教官が告げる。
アルベルトは待っていましたと言わんばかりに、大きな踏み込みで斬りかかった。
勢いはある。
剣が振られれば、確かに当たれば痛いだろう。
しかし――
(ここまで分かりやすい“隙だらけの攻撃”を、よく堂々と出せるな)
ユウは冷静に見ていた。
力任せに振り抜いた剣は、軌道を読まれた瞬間に価値を失う。
相手が一歩横へ動けば、それで終わりだ。
教官はほんの少し後ろに下がるだけでその一撃を避け、逆に足元へ軽く打ち込んだ。
アルベルトの身体がぐらりと揺れ、バランスを崩す。
「っ、この……!」
彼はすぐに体勢を立て直し、再び大振りの一撃を叩きつけた。
だが結果は変わらない。
脚の運びが軽すぎて、重心が前へ流れすぎている。
形だけは派手だが、足元が追いついていない。
教官はひとつひとつの無理を受け止めず、
あえて力をぶつけ合わない位置取りで、「空振り」だけを積み重ねさせていった。
やがて息が上がり、アルベルトの剣は目に見えて重くなる。
「そこまで」
教官の声が止めを告げた。
「……っ、まだやれる!」
アルベルトは悔しそうに叫んだが、教官は首を横に振る。
「実戦なら、今ので十分に斬られている。
力があることと、勝てることは別だ。覚えておけ」
その言葉に、観覧していた何人かの顔がぴくりと動いた。
王太子にそこまで言葉を向ける教官も、そう多くはない。
だが――この場所は学園だ。
学びの場であり、甘さを許さない場でもある。
アルベルトは不満を隠せない顔で列に戻っていく。
誰も彼に声をかけない。
かければ余計な火種になると分かっているからだ。
⸻
そうして全員の順番が終わり、訓練場に再び整列の号令がかかった。
「これにて、実技試験を終了する」
先ほどと同じ教官が前に出て、全体に向かって告げる。
「本日の評価は、後日掲示する。
合否だけでなく、クラス分けにも関わる。
自分が何を示し、何を示せなかったのかを、よく振り返っておくことだ」
ざわり、と空気が揺れる。
クラス分け――SからEまでの序列。
そこに、今日の結果も反映される。
誰もがそれを意識していた。
「解散」
号令とともに列が崩れていく。
深く息を吐く者。
悔しそうに拳を握りしめる者。
結果を予測して、黙って空を見上げる者。
ユウは、剣を返却したあと、訓練場の出入口へ向かいながら一度だけ振り返った。
視線の先で、リリスがこちらを見ていた。
目が合う。
先ほど、魔法の場で見たときと同じ、揺らぎのない瞳だった。
礼をするほどの場面ではない。
しかし無視するのも不自然だ。
「お疲れさまでした、リリス様」
ユウは静かな声でそう言った。
それは儀礼としても違和感のない一言だった。
「ユウ様も、お見事でした。
教官の方が、少し驚いていらしたように見えました」
リリスは穏やかな微笑を浮かべて答える。
その言葉や表情に、嫉妬や焦りの色はない。
ただ、自分の目で見たものを素直に認めているだけだった。
(やはり、この人は自分と他人を冷静に見ている。
感情で判断を歪めない人だ)
「まだ評価は出ていませんから、油断はできません。
ですが……そう言っていただけるのは、素直に嬉しいです」
ユウはそう返した。
「私も、もっと精度を上げたいと思いました。
今日は、自分の評価を知る良い機会でしたね」
リリスは、そう言って小さく息を吐いた。
疲れはしているはずだが、表情が崩れることはない。
「はい。ここから先は、学園生活そのものがまわりからの評価の対象になるのでしょうね」
ユウがそう答えると、リリスはほんの少しだけ目を見開き、それから小さく笑った。
「――きっと、その通りですね」
それ以上、言葉は続かなかった。
立場も、距離も、まだ変わっていない。
踏み込みすぎれば互いの立場を傷つける。
だからこそ、この程度の会話で十分だった。
二人は自然と別方向へ歩き出し、お互いの背中を見送ることもなく、人の流れに紛れていった。
(剣を選んだ自分も、魔法を選んだリリス様も、それぞれに“今の答え”を出した。これからの学園生活をいかに送るかが重要だな)
訓練場を後にしながら、ユウはそう考える。
王立高等学園での生活は、これから始まる。
試験だけではなく、本当の選別は、これから三年間、じわじわと進んでいくのだ。
試験という一日が終わり、学園という舞台がゆっくりと幕を上げる。
ごきげんよう、エリザベートですわ。
本編では別作品の住人ですが、今日は特別に「学園編・第三話」の感想係としてお邪魔しておりますの。
まずひと言。
――ユウ様、八歳にして完成度が高すぎませんこと?
剣術試験で「欲張らない」「見栄で前に出ない」って、あれはもう立派な領主候補の動きですわよ。
私の世界の王子や公爵子息たちにも、爪の垢をおすそ分けして差し上げたいくらいですわね……ええ、バケツに一杯ほど。
そしてリリス様。
魔法の詠唱が本当に美しかったですわ。
この世界では意味の分からない古語を、音だけで正確に積み上げていく――
それって、貴族令嬢に求められる「笑顔」と「社交辞令」を、何十通りも場面で使い分けるのに似ていると思いませんこと?
内心はどうであれ、一音も乱さず、息も乱さず。
その姿勢そのものが、彼女の“覚悟”を証明していましたわ。
対照的に、アルベルト殿下。
あの大振り、あの空振り、あの息切れ。
……まあ、ええと、その。
「良くも悪くも“王太子らしい”」と申しておきますわ。
ああいう殿方が一人いると、物語は確かに動きますの。悪い方向にも、面白い方向にも。
今回、わたくしが一番好きだったのは、
試験が終わったあと、ユウ様とリリス様が交わした、ごく短い会話ですわ。
「お疲れさまでした、リリス様」
「ユウ様も、お見事でした」
たったそれだけなのに、
互いの実力をきちんと認め合っていて、距離感も立場も守っていて、
それでも心だけは一歩、近づいている――
こういう“静かな一歩”を踏み出せる二人、わたくし大好物ですの。
ところで。
婚約者がいるのに、別の少女の手を取りたがる王太子。
抑圧された令嬢の心。
秩序だった学園。
……なんだか、どこかで聞いたことのある気配がいたしませんこと?
そう、どこかの世界にも、
「悪役令嬢になろうとしているのに、なぜか全部善行扱いされてしまう伯爵令嬢」が、
学園で右往左往しているとか、いないとか――。
もし、今日の第三話で
「貴族の面子」「学園という舞台」「崩れかけた婚約の空気感」
このあたりに少しでもときめいてくださったなら、
そちらの物語も、こっそり覗いてみてくださると、とても嬉しく思いますわ。
もちろん、今はいち読者として、ユウ様とリリス様の行く末を見守るのが最優先。
王太子殿下が次にどんな“やらかし”を見せてくださるのか、
悪役令嬢見習いとしても、大変興味深く拝見しておりますのよ?
それでは今回はこの辺で。
次の話で、またどんな「秩序のひび」が入るのか――
ご一緒に楽しみにいたしましょう?
エリザベート・フォン・ローゼンクロイツより。




