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神の駒になりました  作者: 朱華
4/11

父親は…

千里の道も一歩から、魔導の道も一歩から。

とかなの?

その一歩が進めない。


このゲームは生まれた時からスタート?

いや、職業のポイント勝負もあるのだから成人後何スタートになるのかな?


成人までに魔法が使えるようになるとか、茨の道な気がしてきた。

そんなこんなで過ごして、自分感覚で約一ヶ月が過ぎた。



当然、魔力は未だに感じれない。



詰んでる。赤ん坊の時に魔力操作練習してスタートダッシュとか無理ゲー!



きっついなぁ。



とかうだうだと考えてたら部屋の外が賑やかだ。

慌ただしい足音と共にドアが開くと、ババーン!

そこにはイケメンが立っていた!





え?あの人もしかしてダディ?パパ?父上?お父様なのぉぉぉぉぉ!




一瞬、白髪かと思ったけど違う。薄く青みを含んでる。白縹色って言うのかな?優しい色。



そして私を優しく見つめるその瞳の色は淡紅藤色。この世界の人はこんな組み合わせの髪色と瞳とかあるのか。



きゃー!イケメンとか一人盛り上がったけど、父親じゃなくて別人かもしれないよね。



すーはー!すーはー!




落ち着け自分!




恐る恐るイケメンが私に触れる。


その横で、お母さんが嬉しそうに笑ってる。嗚呼、そっか、お母さんその人が好きなんだね。そしてイケメンの人もお母さんを同じ様に思ってる。




なんとなくだけど、この人が私の両親なんだって感じた。


きっと、このイケメンはお父さんだ。


言葉が理解出来ないのがもどかしい!


イケメン、いいや、まだはっきり分からないけどお父さん認定しちゃお!


何やら二人が話してたら思ったら、急にお母さんが私の服を脱がして裸にする。




いやん、えっち!

と、ふざけてる場合じゃないよね。


 

お父さんは自分の指に着けていた指輪を外すと私の身体の上に置いた。



え?何?何か始まる?



飾り石の無い、でも細工は凝った淡い銀色の指輪。

その指輪にお父さんは左手人差し指を翳すと、右手に持った小さなナイフでさっと皮膚を切る。

ぽたりと血が一滴落ちる。


次にお母さんが左手人差し指を指輪に翳す。

お父さんが、同じ様にするとお母さんの血も指輪に一滴落ちた。


その後、お母さんがちょっと悲しそうに私の左手を持つと左手人差し指先がちくっとした。

どうやら、お父さんがナイフで軽く切ったようだ。



痛みでびくっとなり、私は固まった。


血を使うって事は何かの儀式?



指輪が少し光ると、二人は固まったままの私に微笑んだ。


うん、やはり何かの儀式のようだ。




その後、お母さんが用意していた紐に指輪を通すと私の首にネックレスのように紐を結び服を着せた。


服を着た私を、お父さんが恐る恐る抱き上げる。その姿にお母さんがくすっと笑う。


二人が私の方を見て何か話してる。とても楽しそうだ。





なかなかお父さんに会えなかったから、二人の関係を心配したけど取り越し苦労だったみたい。


うん、ちゃんとこの二人は愛し合ってる。


お母さんが、綺麗に細工された木の蝶らしきものを私に見せる。


お父さんが頷くと、その蝶が浮かび上がって私の目の前でふわふわと飛ぶ。




こ、これは魔法?

うわぁ!魔法だ!魔法!

ぜんぜん魔力とか感じなかった!

どうやって飛ばしたの?呪文とか唱えてる感じしなかったし。




うわぁー!テンション上がる!これが魔法。

蝶に触ると魔力を感じれる?



必死で触ろうとするけど、まだ赤ん坊の短い手は上手く動かせない!


物を握るとか無理だし。

初めて魔法を見たのに、何も分からないー!

もっと見せてー!

必死で手を動かす。じたばた、じたばた!魔法じゃー!



ふー!はぁはぁ!もうちょい!蝶が逃げる逃げる。




こうして、お父さんとの初対面と初魔法体験は興奮して私の寝落ちで幕を閉じた。





ーーーーー





お父さんとの初対面で寝落ちしてからも、自身の魔力を感じる事が出来ないまま過ごす。




うん、魔法とか魔力とか、舐めてました。

そんな世界行けばどうにかなる!



なーんて考えてましたよ。

実際は、理解不能!




これは大きくなって魔法を教えてもらわないと無理かも。


教えてもらう前に自分で出来るとか、天才だろー!



他のプレイヤーは魔法使えるんだよね。

これはかなり遅れをとってる。

魔力を高めないと寿命が延びないんだよー!


魔力を感じれませんでした。はい寿命ですゲームオーバー!


とか、ないわぁ。

別に上位に入りたいとかは無いけど参加するんだからそこはそれ!ある程度は長生きしたい!

ゲームとはいえ、新たな人生を送るんだしね。人生楽しみたいと思うんだよね。


目指すは、ポイントは少なく長生きしよう!


出来たら前世で経験出来なかった魔法を使いたい!


もう少し大きくなって、言葉が理解出来るようになったら魔法を教えて欲しいとお願いしよう。



今のままだと手詰まり。

本当にこの身体に魔力とかあるんだろうか?

全く分かんないよー!





ぐだぐだと悩んでたら、いきなりドアが開いた。




え?お父さん?

なんか慌ててる?

私を抱き上げて、ぎゅっと抱き締めると何か話し掛けた。

いつの間にか隣に来ていたお母さんに私を渡すと、私達を抱きしめて二人は見つめ合ってた。


お母さんの目は潤んでいた。

名残惜しそうにお父さんは私とお母さんを見ると、また抱きしめて何か話した。


それからは訳が分からないまま、お母さんに抱かれ外に出る。

お父さんは馬に乗る前に、お母さんを見た。

そしてそのまま馬に乗り走り出した。



お母さんの私を抱く手に力が入るのを感じ、私はお母さんに手を伸ばした。



ぽろぽろと涙を流しながらお母さんは、荷馬車へと向かって走り出した。



荷馬車には、お母さんによく似た女性。お母さんと一緒に私の世話をしてくれた女性が御者台に座っていた。



大声で何か叫ぶその女性に、お母さんは何か答えると荷馬車の中に乗り込んだ。



直ぐに走り出す荷馬車。荷馬車の外からは大声が聞こえてる。

沢山の人の声、他の馬車の音。



そして…。

カンっと打ち合う金属音。



もしかして戦争とか?内乱とか?



生後数ヶ月で、動乱に巻き込まれる波瀾万丈な人生のスタートとか要らないー!




ーーーーーーーーーーーー




後に知った事だけど、その時住んでいた王国に隣国が攻め入り二国間の戦争が始まったのだった。



そして、これが父親と最後の別れになるとはこの時の私は思いもしなかった。

読んでいただきありがとうございます

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