aikoさま
オギャア
という声と共にaikoさまはお生まれになられた。
オギャア
オギャア
aikoさまはすくすくと育ち大きくなられた。とても優しく穏やかで素晴らしいお人になられた。
中学生を過ぎた頃にお悩みになられた。
自分は何故生きてるのだろうか。そう、お悩みになられた。
普通の人とは違う環境でお育ちになられたので、そのあたりも結構お悩みになられた。
生まれたときからなんか超えらいのなんなん…
そう、感じていた。
aikoさまはおグレになられた。タバコをお吸いになられた。やってられっかとよくおっしゃっておられた。自分がなんなのかわけがわからないまま次々にやってくる、そのそういう人達用の仕事。つらかった。毎晩毎晩大変だった。荒れた。友達ともなんだか距離を感じる。aikoさまはお歌をお歌いになられた。超気持ちよかった。それだけが光だった。生きるという実感だった。
こういう風になりたい…とよくYouTubeを見て歌手の動画を見ておられた。
がんばり屋さんのaikoさまはお歌の練習を毎日なされた。来る日も来る日もなされた。雨が降ってもなされた。
心臓が止まる夢を見たとき、色々全部思い出した。小さい頃の事、空気感や色、匂いまで。そしてその場所にまた戻りたいと感じた。頭では理解できない本能的な何かが自分を突き動かした。
電車や新幹線、バスを乗り継ぎ向かった。
そこではあの頃の雰囲気がそのまま残っている
ひとりの少女が鳥に餌を与えている。
aikoは氷山が崩れるみたいに心がふにゃふにゃになった。もうひとりのaikoはaikoがまだそのままってこと、aikoはここにいるってこと
aikoはaikoなんだってこと、そこにずーっといるんだよ、ってことを教えてくれた。
オギャア
とお生まれになられてからは色々あって形は変わっていくが
オギャアの頃の自分はずっとそこにいて、いつだって帰って来ていつだって会えるよ、大丈夫さ。