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星色  作者: 水月
2/6

出会い

また短めですが楽しんでください。



 広くて狭い世界……


 何もない世界で孤独(ひとり)で過ごす……


 名を呼ぶ人もいない……


 ただの孤独。私が私を呼ぶ……


 忘れないように……


 誤魔化すように……




   *   *   *



<???side>


「やっと……桜が咲いた」


 この神社でどれだけの時を過ごしたのだろう。

誰とも交わることのない世界でただ一人。私の思い(願い)は叶うこともなく時間(とき)は過ぎてゆく……

私の世界と外の世界でどれほどズレがあるかもわからない。もうわからない……


 諦めたい……


 諦めたくない…………


 揺れる……


 ゆれる……


 ユレル…………


「あと……どれだけ待てばいいの? いつになったら私を……紺野 藍莉(こんの あいり)の名を呼ぶ人がここに来るの?」


 もう孤独(ひとり)は嫌なの……だから誰か…………



<紺野藍莉side out>



   *   *   *


<夕也side>


 石段を上り終え、鳥居をくぐると世界が変わった気がした。その感覚は決して勘違いではない。

何故なら、目の前には季節外れに舞い散る桜。そして、その奥にはかなり巨大な神木と神社。空は薄暗い……まるで日が昇ったばかりのようだ。


(何だ……これは…………!?)


 理解ができない。

しかし……理解しなくてもいいとも思ってしまう程に引き込まれた。この世界のもつ神聖さに魅了されてしまった。

 だから気が付かなかった。すぐそばに来ていた彼女の存在に……


「あら……人間(お客さん)なんて珍しい……。どうやって来たのかしら?」


 澄んだ声の先には、風になびく長いきれいな黒髪を軽く抑える女性が立っていた。

巫女服を着た、凛とした……しかし、優しい空気を纏った女性。彼女の手には竹箒があり、掃除をしていたことがわかる。……見たところ同じか少し上くらいの年齢だろうか?


「どうやっても何も石段を登って来ただけですよ」


「……変なことを聞いて悪かったわね。とりあえず、はじめまして。私の名前は紺野 藍莉。見ての通りこの神社で巫女をやっているわ。あなたの名前を教えてもらえるかしら?」


「緋咲 夕也……です」


「夕也……ね。私のことは藍莉でいいわよ。それに敬語も必要ないわ」


 女性……藍莉は、ふわりと微笑みながら軽い調子でそう言う。その笑みに見ほれそうになりながらも、俺は彼女に質問をなげかける。

この不思議な空間について…………。


「……ここには結界が張られているの」


「結界…………?」


 非現実的だと思うが、真夏に桜が咲いている時点で今更だと思い直す。


「えぇ。理由は言えないけどここには二つの結界を張ってあるの」


 悲しそうな顔をしている理由を聞くことが出来ず、俺はそのまま彼女の説明を聞くことにした。


「一つ目は人払い……というか、ここを気にも留めなくする結界。だからここには人が来ないのよ。」


 藍莉が最初にした質問はそう言う意味だったのか。人が来るはず無いのに俺は来た……。

驚くはずだ。


「そして、二つの結界は霊力収集。……力を維持するためね」


「…………なら、時間が外とズレてるのは?」


 彼女は苦笑いをしながら


「たぶん、結界自体の問題ね。結界というものは要は、()()()()()()()()()()()()って事だから、長い時間をかけてズレができてしまったのよ」


と答えた。ふと腕時計を見ると、針は17時半を指していた。そろそろ旅館に戻らないといけない。


「悪いがそろそろ旅館に戻んねぇと。外での明日にまた来るから……じゃあな藍莉」


 何でか明日もここに来ると無意識に口にしていた。しかし、悪くない。

軽い足取りで俺は旅館にかけていった。



<夕也side out>





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