始まり
短いですがどうぞ!
何時からだろう……
何かが足りないと思い始めたのは…………
何時からだろう……
理由も分からず涙が溢れるようになったのは…………
何時からか,自分でもわからない何かを探し彷徨うようになった
あぁ……誰か…………早く俺を満たしてくれ…………
* * *
<??? side>
車が激しく揺れて意識がゆっくりと浮上する。
目の前を流れていく風景に、俺は家族旅行に出かけていたことを思い出す。
「ん? やっと起きたのか……。もうすぐ旅館に着くぞ、夕也」
「……はよう。ふぁ~ぅ……こっちは『三日後に旅行にいくぞ』だなんて父さんに行き成り言われて、急いで高校からの宿題を終わらせたから眠いんだよ。移動時間ぐらいゆっくりしたっていいだろ?」
目の端に涙を浮かべ、父さんに文句を言う俺に
「そうね~。お母さん、宿題を三日で終わらせられたのに驚いたわ~」
と、のんびりした口調で母さんが答える。
「まぁ…………ある程度は夏休みに入る前からやってたからね……」
……そういえば紹介がまだだったな。俺は【緋咲 夕也】,高校二年生だ。
今日から二週間ほど、自然を愛し,それ以上にお互いを愛し合っている両親と一緒に家族旅行だ。流れる景色は緑ばかり……気付くとイチャつく両親。はっきり言ってキツイ。眠ってないとやってられないのだ。
「そう言えば、今年の旅行は何で二週間なんだ?」
毎年、長期休暇に旅行に行くものの、一週間程度だ。しかし、今年は二週間。
疑問を持ってしまう俺に対し父さんは、
「……大人には、色々あるんだよ…………」
と影を背負って答える。それに続き母さんの、
「最近忙しかったお父さんの慰安旅行なのよ~」
という言葉に察してしまった。
父さんよ、ゆっくり休んでくれ………。とか思っていると、旅館に到着した。部屋の案内をしてもらってからさっそく別行動をとる。
二人は、温泉や自然を眺めるだけ……訂正。イチャつく事もあったな、うん。……とは言え、それだけで時間を忘れられる人たちだ。しかし俺は、二週間もそんなことで時間を忘れることは出来ないのだ。故に、散歩とついでに暇つぶしができそうな場所を探す。
「つっても、そんな場所なんてそうそう見つからないけど。
小っちゃい頃は、知らん奴と混ざって遊んだもんだが……この年でそんなことはしたくねぇ」
そんなことを考えながら散歩を続ける。
周りが自然に囲まれているため景色に変化はないが、空気が美味しくて,動物の声も聞こえ,風が心地よくて涼しい。……別に、暇を潰せないだけで自然は嫌いではないのだ。むしろ好きだと言える。といっても、初めての場所で,こんな環境での散歩をしていると、数回のみなら時間も忘れられる。…………と言う程度だが。
「~♪…………ん?」
鼻歌を歌いながら歩いていると、妙に気になる石段を見つけた。
ただの石段にしか見えない……なのに気になる。求めている何かがある気がするのだ。
そして俺は、引き寄せられるかのように石段を駆け上がっていった。
<夕也side out>
* * *
あれからどれだけの時間がたったのだろう
私はいつになったら解放されるのだろう
もしかなうのなら……
もし許されるのなら……私は…………
どうか、私を……
長編の時よりも難しいですね……。