見たくないものが見えない僕ら~女の子視点~
教室の窓際、一番後ろでも前でもない中途半端な位置。
そこが私の居場所だった。
黒板に現れる文字を、ただひたすらにノートに文字を書き写す。
時間が戯れに私の手を引く。
吸い込まれそうな深い空が、私の意思を連れ去ろうと誘う。
静寂が終わりを迎える。
「ありがとうございました。」
一人呟いて教室を出る。
屋上と繋がるドアを開ける。
すでに空は暗く陰り、夕焼けの残滓が最後の抵抗を試みている。
屋上の床には一人の男子生徒が横たわっていた。
その生徒に近づいて彼を見下ろす。
「おはよう。いい夢は見られたかしら?」
腕を組みながら溜息も漏れた。
「夢なんて見なかったよ。」
彼はそう嘯いた。
「そう。」
でしょうねというセリフを飲み込み、彼を引っ張って屋上を出る。
階段を降り、廊下を歩く。
カツカツという二人分の足音が響く。
校門をくぐると、空は深い蒼に染まっていた。
ぽつりぽつりと愚痴をこぼした気がする。
自宅に着くと玄関ですべてを投げ出し、ありのままの姿で自室のベッドに倒れ込む。
私は逃れられない。