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健全な短編集

自動車免許教習所

作者: 海原 川崎

張り詰めた空気の中で待っている者達。

軽い会話を交わす者達。下を見続けている者。様々な人間が焦りと緊張感を持ちながら待ち続けている。

「ピンポーン」と乾いたチャイムの音とともに皆が前を向き動き始める。


これは自動車教習である。


自動車と呼ばれる四輪で動く鉄の機械を動かすには「免許証」という物が必要なのだ。

その免許証を取得する為の試験を受ける為には、年齢が18を超えている。そして「歩行資格証明書」が必要なのである。


機械によって全ての作業が行われる時代。

人間はただ機械に子供のように世話をしてもらい生きている。

食事、掃除、身だしなみ‥。様々な作業の中で歩行も機械によって行われている。

歩くという行為は地面に足の裏をくっつけ、片足を上げ下ろす際に最初にあった位置より前に向けて下ろす。この作業を続けて、前へ、前へと進んでいく。

だがそれすらも機械が行う。

機械が人間の足を上げて、機械が人間の足を下ろす。

全て機械が行う。

だが、車を運転している時に機械が故障した際脱出のために歩行が出来ないといけないのである。

その為の「歩行資格証明書」。

「全て機械が行うなら車など必要ないであろう。」と考えるだろう。

だが、機械での歩行では時間がかかり過ぎるのである。

そこで空を走る車が役に立つ。

空を走る車なら歩行の半分以上の時間で目的地に到着できる。

そして暇を持て余した人達の暇潰しに車は最適なのである。

こうして人々は車の免許研修を受ける。

暇つぶしの乗り物に乗るために‥。


数十歩、自らの足で動かし車の前まで向かう。この行為ですら、今の人間には苦痛なのである。

自動で開く扉を手動で開けて中に入ると人形ロボットが助手席に座っていた。

「はい、扉は自力であけられるね。はい、次周囲の確認。」機械の指示に従って周囲の確認を行うと、そのまま車に乗り込んだ。

「はい、次スイッチ。」ロボットに言われた通りスイッチに指を向けて押すと、自動車が動き出した。

「目的地。」ロボットに言われた通り目的地を言うと車は自動で動き出す。


一時間にわたる研修を終え教習者達は控え室に向かう。

これで一回の実技教習が終わったのである。

これを決められた回数行うことで免許証を受け取る為の試験を受けることができる。

だが、この時代の車の操作方法なんて押しボタンを一回押して目的地を言うだけで動くのである。

だが、そんな事も出来ないのである。

機械に頼りきっていた人間達はいつしか何も行えなくなっていたのだ。

これに危機感を抱いた人間達が車を乗ることによって長い人生の暇つぶしになるという宣伝を大々的に行った。

これにより全人類が免許証を持つことが常識となっているのである。

だが、いずれ車を持つ事に意味を見出せなくなり免許取得しなければならないという考えは新たな世代の人間によって消されてしまうであろう。

そうなった時。人はどれほど堕落するのだろうか‥。


凄い運転が下手で、運転のやり直しを何度も何度もやらされていたんですよ。

免許を取って数年ぶりに友達に運転を教えてもらって運転したら‥。

「教習所の先生ってわかりにくかったなぁ‥。」とふと思い出したのでこんな短編です。

あとがきじゃなくて感想じゃねぇか!

三ヶ月ぶりにお話を書きました。感想とかもらえると燃料投下です。


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